コラム・事例集

公開日時
2017/11/14 00:00:00
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【 事業承継 】レポート②岩手県:有限会社かさい農産 代表取締役会長 葛西信昭氏
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この記事の執筆者
株式会社船井アグリフードシステム研究所 所長 楠元武久

親が自分の仕事に不平や不満を言っていたら、子供は親の仕事を魅力的には思わないでしょう。だから家庭では農業を通じて感動した事、嬉しかった事を出来るだけ伝えてきました。

もともと葛西家は養豚業を営んでいました。自分も大学の養豚学科を卒業したので家業を継ぐ意識は早いうちからありました。ただ、前もっての準備とかいうのは全く無かったです。父親が議員に当選して「あとはお前に任せる」といきなりでした。当時は養豚の他に野菜の生産や青果卸なども始めており、全く何も分からない状態で仕事を託されました。当然寝る暇もなく働いた訳ですが、今になって思えばあの時全て一任された事が逆に良かったと思います。仲卸の仕事で市場に行けば、今どんな野菜が売れていて、値段の動きがどうなっているか等すぐに分かります、それを観察して農場では“これから売れそうな野菜”を生産しました。マーケットを把握する事が大事で、どうやって栽培するかの技術は後からついて来る、そう確信できたのもこの時期です。

それから生協(いわて生活協同組合)との取引が始まりました。生協に出荷している生産者の集まりに顔を出すと凄い農家が沢山いました。そういう人達は農業にも信念というかポリシーを持っています。生協のバイヤーからは「生物多様性とは何か?」「持続可能な社会とは何か?」みたいな次元の違う話を聞け、次第に自分なりの農業経営のスタイルというものが固まってきました。その後、畜産を辞めて野菜でやってゆこうと決心。平成15年に「有限会社かさい農産」を立上げ法人化しました。この頃には将来は息子が事業を継いでくれたらいいな、と考えていましたので、農業を通じて感動した事、嬉しかった事を意識して子供達には伝えていました。でも息子には「継いでくれ」とは言いませんでした、ちゃんと話をしたのは息子が高校三年生の進路の時、息子のほうから「農業がしたいので農大の短大に行きたい」と言われたのです。

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