コラム・事例集

公開日時
2018/06/20 00:00:00

【営農】土づくりの技術~ BLOF(ブロフ)栽培~①

この記事の執筆者
一般社団法人日本有機農業普及協会 事務局 中村隆宏

1.自然生態系のメカニズムを理解し土壌環境を最適化する

農業は自然を相手にしますが、自然に委ねてしまうこととは少し違います。
農業の基本は、作物と人間の共同作業です。動き回ることのできない作物(植物)の代わりに、農業者は動くことで、その役割を発揮することができるのです。農業者にできることは、「作物を育てること」そのものではなく、土をつくること。土壌環境を作物に最適なものする。作物は人間が用意した土壌環境に応じて、自らの持てる生命力を謳歌するだけなのです。

高栄養価で高品質な農産物を多収穫することを目的にしている日本有機農業普及協会が、お勧めしているBLOF(ブロフ)栽培も、土づくりの技術が基本となります。農業は土づくりで、ほぼ100%その良し悪しが決まってしまうと言っても過言ではないと考えています。BLOF(ブロフ)栽培では、土作りに使用する肥料、つまり土壌環境を改変するために施用するものを、役割別に3つのカテゴリーに分類し、それぞれの肥料の特徴を踏まえ、その機能が最大限に発揮されるための技術をまとめています。

3つの肥料カテゴリーと役割は、
①ミネラル肥料をしっかり施肥して、光合成能力を向上させる。
②アミノ酸肥料を使用し、細胞をつくる力を向上させる。
③中熟堆肥を使用し、太陽熱養生処理を行うことで、土壌を団粒化し根の量を増加させる。
になります。

また、3つの肥料を使いこなすための技術として、
①ミネラル肥料を精密に施肥するために、土壌分析技術と施肥設計技術
②アミノ酸肥料を使いこなすために、発酵・液状化技術
③中熟堆肥を活用し土壌を根が張りやすいフカフカの団粒化するためには、太陽熱養生処理技術
が必要となります。

農業にとって一番大事なことは、何回作っても、毎回、ほぼ同じ結果が得られるという確かな再現性です。確かな再現性を確保し、安定した生産を続けるためには、自然生態系のメカニズムを理解することが重要と考えています。

下記の5つに示す自然生態系に対する基礎知識が備わることで、はじめて目的を達成するための正確な栽培設計図をつくることができます。
①動物とは明らかに異なる生き方をしている植物の生理メカニズムです。植物は動き回ることなく、生きるために必要なエネルギーや細胞の原料を得ることができます。
②土壌ができるメカニズムです。岩石が砕けただけでは土にはなりません。そこに有機物が混じって、生物の介在があってはじめて土壌となります。
③土壌にはたくさんの微生物が棲んでいます。土壌そのものをつくり、植物と共存している微生物たちの役割について知ることは重要です。
④発酵と腐敗の違い。有機物を発酵させて肥料化して利用する有機栽培において、極めて重要なことです。
⑤栄養価の高い農産物づくりを目指すためには、植物がつくる栄養とは何か、作物はどのように、それを生成しているのか。

以上のことが理解できているのと、理解できていないのでは、農業のやり方が根本的に変わってきます。





2.アミノ酸肥料を活用し細胞つくりをUPする

BLOF栽培の目標のひとつに多収穫があります。同じ面積から、より多く収量を上げることを示しています。有機農産物の価格を、誰もが手にすることができる価格に引き下げるために、多収穫はさけては通れない技術的な課題です。まずは、有機栽培が多収穫と高品質を両立し易い栽培方法であることを解説します。

多収穫とは、一言で簡単にいうならば、「細胞をどれだけ多くつくれたか?」ということになります。植物の細胞も、わたしたちと同じように数種類のアミノ酸を組み合わせたタンパク質で作られています。わたしたち動物は食べることでアミノ酸を摂取していますが、植物はアミノ酸を、葉の中の葉緑体で、水と炭酸ガスを原料に光合成を行い、生産した炭水化物と根から吸収した水に解けている窒素を原料に体内で合成しています。

有機栽培の特徴は、窒素をアミノ酸などの有機態で供給することです。化学肥料栽培の特徴は、硝酸態やアンモニア態で供給することです。化学肥料の歴史は、まだ110年ほどしかありません。空気中の7割を占める窒素ガスを高温高圧にして、触媒を使って水素と化合させてアンモニアを生産することができます。アンモニアを酸化させると硝酸ができます。窒素の天然鉱物はほとんどないので、空気から窒素肥料を製造できる技術が開発されるまでは、魚や蓄糞を窒素肥料として施用してきました。現代の世界の人口は76億人。わずか100年で3倍に増えています。この食を支えているは、明らかに空気からつくった化学肥料といえます。

では、「なぜ、今さら有機肥料なのか?」それは上の図で説明できます。
作物は硝酸やアンモニアを原料にして、アミノ酸を合成できますが、アミノ酸に合成する過程で、炭水化物をエネルギーとして多く消費してしまいます。アミノ酸を吸収させることで、炭水化物が余り、余った炭水化物で、①糖度が上がり、②栄養価が上がり、③重量が増え、④セルロースでつくられている外壁が強化されて病害虫に強くなり、⑤土の養分を積極的に溶かす根酸が多くなり、ミネラルの吸収も良くなります。

また、硝酸やアンモニアをアミノ酸に合成できるのは「葉」のため、根から吸収した後、一度、葉に上げて、合成してから根に戻す必要がありますが、アミノ酸肥料の場合は、アミノ酸なので、根から吸収した後、根の先端の生長点で、すぐに細胞になることができます。よって根の量が増え、これが果菜類では花の数を増やし多収穫につながります。

アミノ酸肥料には弱点があります。一度腐ってしまったものは、煮ても焼いても二度と食べられません。腐敗したものは、もう決して発酵しないのです。ここが有機栽培の難しい点です。土中で有機態の窒素を腐敗させないためにはどうしたらよいのか?答えは積極的に発酵させることです。アミノ酸肥料も、すべてがアミノ酸の状態になってはいません。まだ液状化していないタンパク質の部分を多く持っています。この部分を酵母菌や納豆菌の仲間のバチルス菌によって発酵させ、積極的にアミノ酸にすることがアミノ酸肥料施肥技術の中心となります。

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