コラム・事例集

公開日時
2018/10/09 00:00:00

【クラウドファンディング】農業経営にも活用できる新しい資金調達の方法

この記事の執筆者
株式会社CAMPFIRE 遠藤 梓

1.クラウドファンディングとは?

農業経営にとって大きな課題である「資金調達」。ビニールハウスの設備の費用や農業機械はもちろん、人件費など多額の費用がかかります。
従来は金融機関からの借入れや、JAや地方自治体による融資、ベンチャーキャピタルの出資といった方法が一般的でしたが、近年新しい資金調達の方法として「クラウドファンディング」が注目を集めています。クラウドファンディングとは、群衆(crowd)と資金調達(funding)を組み合わせた造語でインターネットを通して不特定多数の人から資金を募ることを言います。6次産業化の新商品開発や、新規就農者の方が農業法人を立ち上げるための資金調達などにも利用されています。さらに、クラウドファンディングをうまく使うことで資金調達だけでなく、商品やサービスをより多くの人に知ってもらうPR効果も期待できます。
矢野経済研究所が2017年9月に発表した「国内クラウドファンディング市場の調査」によると、2016年度の国内クラウドファンディングの市場規模は、前年比96.6%増の745億5100万円と急拡大を見せています。CAMPFIREもこれまで16,000件以上のプロジェクトを掲載し、総額72億円・73万人からの支援を集めており、支援をする人もプロジェクトを実施する人も年々増加しています。(※実績は2018年8月末時点)

2.クラウドファンディングの種類

クラウドファンディングの種類はリターンの形式によって大きく3つに分けられます。

①購入型:支援者に対してモノ・サービス・体験といった、プロジェクトでしか手に入れることのできないリターンを返す形式。
②寄付型:あるプロジェクトに対して支援者がお金を寄付し、基本的にはリターンが発生しない形式。
③投資型:支援者に対して金銭的なリターンが発生する形式。

ここでは、CAMPFIREがメインで取り扱っている購入型のクラウドファンディングについて詳しく説明していきます。

3.購入型クラウドファンディングの2つの資金調達方法

購入型のクラウドファンディングを実行する際には、2つの資金の調達方法のどちらかを選ぶ必要があります。各社によって調達方法の呼び名は違いますが、CAMPFIREでは「All-orNothing」方式と「All-In」方式の2種類があります。

●目標金額に1円でも足りないと資金が受け取れない「All-or-Nothing」方式
「All-or-Nothing」方式とは期間内に目標金額に達していなければ、集まった資金を受け取ることができない仕組みです。例えば、目標金額100万円で99万円まで集まっていても、期間内に100万円まで到達しなければ、1円も資金を受け取ることができません。
あと少しで目標金額達成!というところで、募集期間が終了となり、プロジェクトが失敗となる恐れも十分あります。しかし、支援者側からすると、目標金額に達しないと決済がされないため、支援に対してのハードルは下がる可能性もあります。目標とする金額を達成しないとプロジェクトの実施ができない場合やリターンが履行できない場合にはこちらの方式で実行しましょう。

●目標金額に達しなくても資金が受け取れる「All-In」方式
「All-In」方式は目標金額に達成しなくても資金が受け取れる方式です。
目標金額が100万円で、50万円まで集まってプロジェクトが終了した場合は、その50万円を受け取ることができます。確実に資金を集めたい場合やテストマーケティング・PR目的で利用することができる仕組みです。「All-In」方式を選択する場合には「すでに実施を確約できる/リターンを確実に履行できるプロジェクト」である必要があります。(例えばイベントの開催はすでに決まっていて、追加の資金やチケットを販売したい場合など)こちらの条件に合うプロジェクトは、All-In方式がおすすめです。

4.クラウドファンディングのメリット・デメリット

●クラウドファンディングのメリット
クラウドファンディングの一番のメリットは、お金がないから夢を実現できないという問題を解決することができることです。多くのクラウドファンディングプラットフォームは成果報酬型を導入しているため、初期コストをかけずに始められる点も魅力です。またクラウドファンディングの支援の実績によって事業に対する信頼性が担保され、金融機関からの融資が決定したというケースもあります。

また、従来は商品は完成してからでないと販売することができませんでしたが、クラウドファンディングであればアイデア段階や試作段階から世の中に出すことができるため、テストマーケティングとして活用することが可能です。顧客のニーズを事前に把握できるため、在庫リスクや販売不振を大きく軽減することができます。
また、支援者の年齢や性別、居住地などの定量的なデータや、支援時に寄せられる応援コメントなどの定性的なデータを製品・サービスの開発に役立てることができます。一方で資金が集まらなかった場合には、その新しい商品やサービスが世の中に受け入れられなかったということでもあり、価格や内容の見直しを行う必要があるということが分かります。

消費者と直接コミュニケーションが取れるのも大きなメリットです。ページを通じて商品・お店の情報やストーリーを細かく伝えることで共感を呼び、新規ファン作りや既存ファンのエンゲージメント向上に役立ちます。飲食店の開業などでクラウドファンディングを使う場合には、お店で使える割引チケットや会員権などをリターン(返礼品)に設定すると、オープン前から一定の集客を見込むことができます。

さらに、クラウドファンディングはPRとしての効果も期待できます。プレスリリースなどで情報発信をすることでメディアからの取材が入ったり、SNSを通じてプロジェクトが拡散されることもあります。

●クラウドファンディングのデメリット
クラウドファンディングを行うためには、ページ準備、プロジェクト開始後の支援の呼びかけ・拡散、リターンの発送などの手間がかかります。金融機関を使っての融資であれば通常1ヶ月~1ヶ月半程度で資金調達を行うことができますが、クラウドファンディングではプロジェクトの準備からプロジェクト終了後に資金を受け取れるまで3ヶ月程度かかることが一般的です。
また、クラウドファンディングを利用するということは、多くの人に自分のアイデアを公開することになります。そのため、プロジェクトを見て気に入った人に真似をされてしまう可能性も考えられます。
その他にも資金を集めたにも関わらず、プロジェクトが途中で頓挫してしまい支援者に対してリターンが履行できなくなることも考えられます。そのためクラウドファンディングを始める前にプロジェクトの実現可能性をしっかりと見極める必要があります。

このようにクラウドファンディングは手軽に始められる一方で、準備やリスクを認識して準備を進めていく必要があるといえます。
次回のコラムではクラウドファンディングを実際に始める上で、どのようなことを準備すればよいかを説明します。

遠藤 梓(えんどう あずさ)
株式会社CAMPFIRE CAMPFIRE事業部 PR担当
1990年生まれ。東京都出身。早稲田大学卒。
楽天株式会社で楽天市場の北海道エリアの食品ジャンル等を担当。
その後、株式会社CAMPFIREに入社し、現在に至る。

当該コンテンツは、担当コンサルタントの分析・調査に基づき作成されております。

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