コラム・事例集

公開日時
2016/10/19 16:00:00
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「継ぐ気持ち」「継がせる気持ち」~事業承継の現場から~
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この記事の執筆者
株式会社後継者の学校 河合 由紀子

      

 事業承継には人の気持ちを中心とした苦悩や葛藤があります。事業承継を成功させるにはどのような考え方をすれば良いのか。立場の異なる「継ぐ人」と「継がせる人」気持ちにスポットを当てながら、実例をご紹介します。         

<<事業承継の事例>>

D社の後継者A氏は現在45歳。大学卒業後は全く業種の異なる会社で働いていましたが、15年前に父親であるB氏が経営するD社に入社しました。そして、様々な部署での経験を積んだ後、2年前に事業承継をし、代表取締役社長に就任しました。先代社長であるB氏は、A氏の代表取締役社長就任と同時に退任し、代表権のない取締役会長に就任しました。代表取締役交代時には、社員や社員OBを集め、ホテルで盛大なパーティーを開き、取引先や金融機関など外部にも丁寧に挨拶をして、スムーズに事業承継を終えられたかのように見えました。
代表取締役就任時は希望にあふれ、意気揚々としていたA氏でしたが、最近会長であるB氏に対し不満を持つようになり、本来力を注ぐべき事業に集中することができなくなっています。具体的には、会長がいつまでたっても権限を委譲してくれないため、船頭が2人いるような状態になり、社員が社長と会長のどちらの言うことを聞けばよいかわからず、右往左往するといったことや、何かを会長に尋ねても要領を得ない返事が返ってくるだけであてにできない、毎日出社するわけではないのに中途半端に口出しされて困るなどといったことです。
業績は好調なD社ですが、最近得意先の雲行きが怪しくなってきています。というのも、B氏が社長であった時代とは得意先の考え方が変わってきており、何をするにも相見積もりが必要になってきているため、毎回受注できていた仕事が受注できなくなってきているのです。また、最近の人手不足により人の雇用確保も難しい状態であり、定年をむかえる社員が増加してくる中、優秀な人材の確保が大きな課題となってきていますが、いまだ解決方法は見いだせていない状態です。

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