FAQ

公開日時
2016/05/16 17:00:00

法人化に伴い、農機具は個人(父)から賃借料を払いながら借りることとし、畜産にかかる債務(約40,000千円)を法人に譲渡しようと考えていたところ、譲渡した場合、税金が発生するとの話を聞きました。
法人になったばかりで経営が不安定ななか、税金の負担が気に掛かります。つきましては、節税できる方法がありましたならば、教えてください。

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 法人が債務を引き受けたにもかかわらず、棚卸資産も含めて事業用資産をまったく法人に移転しなかった場合、会計上は引き受けた債務と同額を個人に対する役員貸付金等として経理することになります。役員又は使用人に特例基準割合による利率(平成27年1.8%)に満たない利率で貸付けを行った場合、原則として特例基準割合による利率と貸し付けている利率との差額が、給与として課税されることになります。
 また、畜産に係る棚卸資産を無償で譲渡したうえで合わせて債務を譲渡した場合において棚卸資産の時価が債務の金額を上回るときは、法人については、その差額が資産受贈益として法人税が課されます。一方、旧経営主(父)については、債務相当額を対価として棚卸資産を譲渡したものと考え、その対価(対価が通常売買価格の70%相当額未満の場合は通常売買価格)と帳簿価額の差額に対して所得税が課税されます。さらに、負担付贈与としてその棚卸資産の時価相当額に対して消費税が課税されます。
 なお、法人が消費税の課税事業者を選択することでその分の消費税を仕入税額控除の対象とすることができ、課税売上げよりも課税仕入れが上回れば消費税の還付を受けることができます。
 税金の負担を避けるには、棚卸資産を法人に対して原価によって有償で譲渡し、法人においてはこれをいったん未払金(引継未払金)に計上したうえで、その金額の範囲内で個人から債務を引き継ぐことをお勧めします。この場合、譲渡した個人に消費税はかかりますが、所得税は課税されません。また、原価と時価とに差がなければ法人にも資産受贈益の課税はありません。
 なお、法人化する際に、法人の設立を年の初め(たとえば1月または2月)とし、法人が課税事業者となったうえで法人の決算を早めに行えば(たとえば3月決算)、譲渡した棚卸資産に係る個人の消費税の申告(翌年3月)及び納付(同月、振替納税なら4月納付)よりも、法人の消費税の申告及び還付が先になって資金繰りが楽になります。

当該コンテンツは、担当コンサルタントの分析・調査に基づき作成されております。

回答者
森 剛一(アグリビジネス・ソリューションズ株式会社)