- 今回は、酒井さんが所属する総合気象情報会社「株式会社ハレックス」の北海道の落花生栽培における取組みをご紹介いただきます。
北海道で落花生
日本の落花生産地というと、千葉県・茨城県を思い浮かべる方がほとんどだと思います。しかし、いま北海道(主に十勝エリア)で落花生を新たな特産物にしようと、真剣な取り組みが行われているのをご存じでしょうか?ハレックスもその取り組みを少しだけお手伝いしていますのでご紹介させてください。
落花生の自給率はなんと1割。そのほとんどが千葉県・茨城県で生産されています。近年栽培面積が減っていると聞いて、最初は地球温暖化の影響で栽培環境があわなくなったのかな?と思ったのですが、話をお聞きすると、栽培面積が減っている理由は高齢化や担い手不足だというのです。どこでも同じ悩みなのですね。
なぜ新規の栽培生産者が増えないのか?それは栽培時の労働工数の多さにあります。
そこで、栽培から加工、流通までの課題をトータルで克服することを目指して、北海道の十勝で「十勝グランナッツプロジェクト」が立ち上がりました。今年5月に、プロジェクトメンバーの生産者グループが「十勝グランナッツ生産者有限責任事業組合(LLP)」を組織し、7月には他のプロジェクトメンバーとともに「十勝グランナッツ合同会社(LLC)」を設立し、事業を開始しました。
栽培規模が大きい十勝では機械化は絶対であり、そこをいかにクリアするかがポイントとなります。良い落花生を作り、高付加価値で高い収入を得ることができれば生産者はもっともっと増えるはずです。LLPは若手生産者で構成されていますので、とても動きが早く、考え方が柔軟で頼もしい限りです。
十勝エリアでの栽培が増えてきたこともあって、8月19日には帯広市、芽室町で北海道ラッカセイサミット2019 in 十勝(主催:拓殖大学北海道短期大学)が開催されました。北海道内の研究者や生産者、関係者がなんと100名近くも集まりました。皆さんの熱意を感じます。
※LLP代表の藤井氏の圃場にて
※LLPメンバー 高田氏の圃場にて
ハレックスの支援
落花生はどちらかというと暖かい地域で作られる作物ですが北海道でも栽培することができます。しかし!一筋縄ではいかないのです(泣)
播種の頃(5月頃)の北海道はまだ地温が低く、さらに朝晩の冷え込みもあるので積算気温を稼ぐためにマルチを張り、パオパオ(不織布)をかけます(弊社でパオパオが何か知っているのは私一人かも(笑))。
マルチは自動で張れるとしても、パオパオはどうしても人手がかかってしまいます。そこで北海道で栽培しやすい品種の選定を行い、さらに今後は品種改良も行う予定です。(パオパオも自動で設置できたらいいのに)
※LLP代表の藤井氏の圃場にて
なぜこの時期もパオパオがかかっている部分があるのか?それは来年用の種を採るためだそうです。落花生の種を手に入れるのも大変とのこと。
ハレックスは秋の霜予測で支援を行います。霜がおりると葉や茎が枯れ、カビが発生することもあり、土の中の落花生にまで影響がでてしまいます。そのため、霜が降りる前に刈り取りを行うのがベストなのです。
ギリギリまで落花生を熟させたい!でも霜が降りる前に刈り取りたい!しかも落花生刈り取り時期は他の作物の収穫時期とも被るため、人や機械の手配も考えなくてはなりません。その情報をどのように伝えたらよいか。今年の秋は試行錯誤し頑張ります!
収穫が楽しみ♪
※十勝クランナッツ合同会社の設立と事業支援について、詳しくは弊社HPをごらんください。
lhttps://www.halex.co.jp/press/20190708-16643.html
当該コンテンツは、担当コンサルタントの分析・調査に基づき作成されています。
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