- 農業にも携わる気象予報士 酒井紀子さんが、蓄積した気象データを分析し、これからの農場の天気を読み解きます。
今年の冬の寒さは?
暖かな秋が過ぎ、ようやく冬の空気が感じられるようになってきましたね。・・・と言ってももう12月。
去年もそうでしたが、今年も残暑が長引いて夏の終わりが遅く、秋っぽい雰囲気は一瞬で、すぐ冬!といった感じ。東京では11月でも20度前後まで気温が上がった日も多く、日中は汗ばむ陽気の日も有ったりして、個人的には洋服選びが難しかった秋でした。
では今年の冬の寒さはどうでしょうか? 今回は2019年11月25日に発表された気象庁の最新の予報(12〜2月の三か月予報)を私なりの視点でお伝えします。(気象庁が定める冬の定義は12月から2月)
全国的には下記の図のように「平年並みか平年より暖かい」冬になりそう、という予想です。
ただ!これにはちょっとカラクリがあります!
通常、この冬の予報というのは12月から2月までの三か月を通しての予報のことを言います。下記のように一ヶ月毎に気温傾向を見てみましょう。

12月は特に西日本・東日本で暖かく、1月は平年並か暖かい予想、2月は平年並みとなっています。
ということは、冬の初めは暖かいけれど、徐々に平年並みの寒さになる予想だということが言えそうですね。夏の予報のときにもお伝えしましたが、平年並みというのは寒くないという意味ではありません。いつもの冬と同じくらい寒い、と思ってください。
冬の天気でもう一つ気になるのが雪です。多いのか、少ないのか。この冬は寒気の影響を受けにくいため1月にかけては雪の日が平年より少ない予想となりました。
大雪で被害がでるのは嫌ですが、ある程度の雪は必要です。雪は貯水機能の一部を担っていますので、雪が少ないと春以降の水不足が懸念されますし、スキー場などは営業に直結する大問題になります。災害にならず、人々の恵みとなるちょうど良い雪が降ってくれるといいですね。
全般的な流れを説明すると、日本付近の上空を流れる偏西風が平年よりも北側を流れる予想のため、寒気が日本付近に流れ込みにくくなりそうです。また西高東低の冬型の気圧配置も長続きしない予想となっています。
ただし、予想が難しい北極付近の寒気の流れは考慮されていないため、一気に寒気が流れ込み、寒い冬となる可能性も残っています。常に最新の情報をご確認ください。
<まとめ>
・今年の冬は徐々に冬らしくなる ⇒ 「鍋需要」の野菜の出足は鈍いかも
・雪は平年並みか少なめ
冬に流行するインフルエンザはすでに流行りはじめました。皆様はこの流行には乗らないよう、お気をつけてお過ごしください。
当該コンテンツは、担当コンサルタントの分析・調査に基づき作成されています。
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