- スーパー等の販売データや生活者へのアンケート結果等、様々なデータの収集〜集計〜分析を行っている株式会社インテージ。今回は、玉木さんが、「食卓から探る世代の特徴」について解説します。
こんにちは。インテージの玉木です。
新年早々にこのコラムを書いているのですが、久々に実家に帰省すると、普段の朝食や夕食では食卓に上ることのない煮浸しや漬物等が並び、改めて世代による食習慣の違いを感じました。
みなさんも、実家ならばともかく、他の家庭の朝食や夕食のことは知らないのではないでしょうか?年齢が離れていればなおさら想像しにくいかもしれません。今回は20〜30代と60〜70代という30〜40歳も年の離れた2世代の食卓を比較することで、世代による食卓の違いをつかんでいきたいと考えています。
20〜30代と60〜70代の”朝食”メニューにはどのような違いがあるのか?
まずは、1日の始まりである朝食において、20〜30代と60〜70代でどのような違いがあるのかを、インテージのデータの1つである1,260世帯の食卓調査「キッチンダイアリー」の出現率(TI値:1,000食卓あたりの平均出現回数)で確認してみました。
▼キッチンダイアリー “朝食” TI値(%)の違い
(京浜、中京、京阪神3エリア計 2人以上家族の主家事担当者、2019年1月~11月)
※TI値:1,000食卓あたりの平均出現回数 (回)
世代間比較して出現率の違いが高いTop10メニュー <朝食>
20〜30代では60〜70代と比較して5倍近い確率で“麦茶”が飲まれていることが確認でき、逆に60〜70代は20〜30代の6倍近い確率で“日本茶”を飲んでいることが確認できます。
また主食となる、おにぎりやシリアル、菓子パン・惣菜パンや食パンが20〜30代ではTop10にランクインしているのに対し、60〜70代には見られません。20〜30代は、朝食には単品で栄養を取り易く、手軽で時短になるメニューが好まれている事もうかがえます。
そんな中、シリアルや菓子パン・惣菜パンよりも年代差の大きい(20〜30代における出現率が60〜70代の約4倍ある)メニューが“おにぎり”です。若者の米離れなどを耳にする機会がありますが、おにぎりはお米メニューの中でも若者に支持されやすいメニューであると言えます。
様々なメーカーからおにぎり専用の商品(おにぎり具材の冷凍食品やおにぎり専用の海苔など)も発売されており、市場を賑わせていることが確認できます。”おにぎりの具材”のように、人気メニューに使われる材料として提案を行うのも良いかもしれません。
20〜30代と60〜70代の”夕食”メニューにはどのような違いがあるのか?
続いて、夕食においても、20〜30代と60〜70代でどのような違いがあるのかを、「キッチンダイアリー」の出現率(TI値)の違いで確認してみました。
▼キッチンダイアリー “夕食” TI値(%)の違い
(京浜、中京、京阪神3エリア計 2人以上家族の主家事担当者、2019年1月~11月)
※TI値:1,000食卓あたりの平均出現回数 (回)
世代間比較して出現率の違いが高いTop10メニュー <夕食>
20〜30代では、60〜70代と比較して“焼きそば”や“カレーライス”といった育ち盛りの子供が好みそうなメニューの出現率が高いことが確認できます。また、“野菜炒め”ではなく、“肉と野菜の炒め物”の方が好まれており、60〜70代と比較して、メニュー単体でもボリュームや食べ応えあるものが求められている様子がうかがえます。
一方、60〜70代は“ビール”や“発泡酒”といったアルコール飲料の出現率が20〜30代と比較して高く、食卓には料理と同時にお酒も登場する確率が高いことがうかがえます。ここでも若年層のアルコール離れが見て取れます。
また料理に関しては、“刺身・魚のたたき”の出現率が20〜30代の3倍以上となっていることに加え、“おひたし”“、“和風煮物(小さなおかず)、”冷奴“といった副菜系メニューの出現率が高いことも特徴として確認できます。やはり好みは和風に落ち着くのでしょうか。
朝食にしても夕食にしても、世代や家族構成により様子はかなり異なることがデータからも確認できました。その土地に暮らす人々の世代やライフステージに合わせた調理法やメニューの提案により、どんな食材でも売り上げを伸ばすチャンスがあるのではないでしょうか。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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