”毎日の料理を楽しみにする”料理レシピ投稿・検索サービス「クックパッド」では、利用者の検索・アクセスログを活用した「たべみる」というビッグデータサービスを提供しています。
クックパッドで検索されるキーワードは、サラダ・パスタなどのメニュー系キーワードや豚肉・キャベツなどの材料系キーワードだけではなく、地域性や季節性、また誕生日や運動会などといったシーンでの検索状況もわかるため、「たべみる」は、生活者の真のニーズが可視化できる便利なサービスです。
本稿ではレシピ検索を通して食卓の実態を探るべく、クックパッドに日々蓄積されるレシピ検索ビッグデータを可視化できる「たべみる」を用いて、「話題の食材とメニューの関係」を分析いたします。
第3回目は、「初夏の山菜」にフォーカスし、分析した結果をご報告させていただきます。
【クックパッド】
クックパッドは、”毎日の料理を楽しみにする”というミッションのもと1998年3月に開始した料理レシピ投稿・検索サービスです。現在の投稿レシピ数は320万品を超え、国内では月間約5,200万人に利用されています。また、世界74カ国・地域、32言語でもサービスを展開しています。(2019年12月31日時点)
【たべみる】
たべみるは、クックパッド株式会社が提供する、食の検索データ分析サービスです。
文=安達結(クックパッドトレンド調査ラボ)
5月は山菜の季節
春が終わると、芽吹きの季節初夏。旬の食材として外せない食材「山菜」が、一斉に芽吹くのもこの季節です。
山菜とは、山野に自生し食用にする植物の総称です。野生植物である山菜は、収穫量も少なく、苦みや灰汁があったりと調理が難しいものも多いです。そのため、一昔前までは加工された水煮が主流であり、その調理法も蕎麦やうどんや炊き込みご飯の具材といったものが定番でした。
しかし近年では、その味や栄養価などが注目され、ハウス栽培などをしている農家も出てきており、生鮮野菜として店頭で見かけることも増えたのではないでしょうか。
クックパッドでも、山菜類の検索頻度が上昇しており、2017年-2019年を比較すると、ふき(124%)わらび(139%)うど(119%)と代表的な山菜が軒並み上昇しています。これらの山菜は、3月後半から徐々に検索され始め、5月が検索のピークとなります。
●2019年月別検索回数
※SI値:クックパッドでの検索1,000回あたりのキーワードの検索回数

独特の苦味や香りが美味しさでもある山菜類ですが、その下処理方法がわからないという方も多いのではないでしょうか。
クックパッドには、それらの下処理方法も数多く投稿されているので、是非参考にしていただけたらと思います。
シンプルな調理法、旬の常備菜に
初夏の山菜の中で検索頻度が高く、店頭でもみかけることの多くなった「ふき」「わらび」「うど」について、クックパッドで人気の調理法をみてみたいと思います。
ふき
ふきは「煮物」と一緒に検索されることが最も多く王道メニューとなっています。次いで「佃煮」「きんぴら」「炒め煮」が多く検索されています。「煮物」や「炒め煮」では、同じ旬の竹の子や油揚げ、豚こま肉など一緒に調理するレシピが人気となっています。
わらび
わらびと一緒に検索されるメニューでは「おひたし」「ナムル」「煮物」が上位となっています。近年「きんぴら」「炒め煮」「つけもの」などの箸休めやおつまみメニューが伸びています。
うど(山うど)
うどは、捨てる部分が少なく丸ごと食べられるのが特徴です。うどと一緒に検索されるメニューでは「きんぴら」「てんぷら」「煮物」「サラダ」などが上位で、バリエーションも豊かです。皮は「きんぴら」、柔らかい葉や茎は「てんぷら」など、部位によってもお勧めの調理法が違っています。
3つの食材に共通にしているのが、「きんぴら」や「炒め煮」が伸びている点でした。どちらもフライパンで炒めた後、調味料を加え煮汁がなくなるまで煮る簡単な調理法です。汁気が出にくいのでお弁当のおかずにもぴったりです。濃いめに味付けをすると、保存がきくのも嬉しいポイントです。「作りおき」のニーズが高まっている中、旬の常備菜として作ってみるのも良さそうです。
●「ふき」「わらび」「うど」の組み合わせ分析
※マッチ度:「ふき×きんぴら」など「○○×●●」の組み合わせて検索される割合
クックパッドで注目度上昇中?!
次にご紹介する山菜は、まだあまり馴染みはないですが、近年クックパッドで検索頻度が上昇している山菜です。
●SI値キーワード比較グラフ

淡竹(はちく)
淡竹の若竹は山菜代表格のタケノコの仲間になりますが、一般的なタケノコ(孟宗竹)の旬が4月なのに対して、淡竹の旬は5月中旬から6月初旬になります。タケノコの旬のピークが過ぎた頃店頭に出回ります。新鮮なものは、えぐみが少なくアク抜きをせずに食べられることも特徴の一つです。
クックパッドの検索でも、6月がピークとなっています。
淡竹と一緒に組み合わせて検索されているメニューキーワードをみてみると、「煮物」や「炊き込みご飯」など基本的な傾向はタケノコと類似していますが、近年、煮物などを抜いて急上昇しているのが「メンマ」で、2017年-2019年比は356%になります。茹でた淡竹を細切りにし、調味料と一緒に鍋やフライパンで炒め煮にします。滅菌した瓶に詰めると保存食にも良さそうです。
姫竹
姫竹は、タケノコと似ていますが笹(千島笹)の若芽になります。北海道、東北、信越、山陰地方などが主な産地となっています。降雪量が多い信越や東北では、地上に芽を出し始めた若芽が、雪の重みで根元が曲がっているものが多いことから「根曲がり竹」と呼ばれることも多いそうです。地域にもよりますが、5月から6月が旬となります。姫竹は竹ではなく笹の若芽なので、タケノコと比べると細くて小さいです。アクも少なく、生のまま齧ってもえぐみをほとんど感じないのが特徴です。
クックパッドの検索でも、5月下旬から6月初旬がピークとなっています。
姫竹も基本的な検索傾向はタケノコと同様ですが、柔らかくクセのない味から、素材の味を生かした「みそ汁」や「卵とじ」といったシンプルで簡単な料理が人気のようです。
行者ニンニク
行者ニンニクは玉ねぎやニンニク、ニラなどと同じユリ科ネギ属の多年草です。日本には近畿以北から北海道にかけて分布していますが、東北より南では高山にしか見られません。そのため「行者が食べるニンニク」ということから名付けられたという説が有力です。ニンニクと同じような香りがあり、滋養強壮に強い効果があるといわれ北海道では古くから山菜として食べられてきました。栽培物は1月頃から出始めますが、主に北海道の天然物は3月頃出回り始め4月中旬〜5月中旬に最盛期を迎えます。
クックパッドの検索でも、4月下旬〜5月にかけてピークとなっています。
行者ニンニクと組み合わせて検索されるキーワードで最も多かったのが「醤油漬け」でした。刻んだ行者ニンニクを醤油に漬けておくシンプルなもので、醤油の他に酒やめんつゆなどを加えたレシピもありました。長期保存がきくところがポイントで、温かいご飯や冷奴にのせたりする食べ方がお勧めされています。
その他には、素材の味を楽しむてんぷらやおひたし、餃子や炒めものなど「ニラ」と似た検索傾向がみられます。
コシアブラ
コシアブラはタラの芽やウドと同じウコギ科の木の芽の部分を山菜として食用に採った物です。北海道から九州まで沖縄を除く全国に自生して、比較的明るく開けた雑木林などで見られ、「山菜の女王」とも呼ばれています。コシアブラの旬は、自生している地方や標高によって移動していきますが、平地では3月中旬から、東北や高山などでは5月〜6月にかけてが旬となります。
クックパッドの検索では、5月がピークとなっています。
同じ若芽の山菜「タラの芽」に比べ、まだまだ店頭で見かけることが少ないコシアブラですが、豊富な栄養価と山菜特有の爽やかな香りなどで人気上昇中です。
コシアブラと一緒に組み合わせて検索されているメニューでは、「てんぷら」が最も多くなりますが、近年「ご飯」「混ぜご飯」が上昇しています。塩ゆでしたコシアブラを刻んでご飯にまぜたり、茹でたた後油で炒め醤油などで味付けしたものを、ご飯に混ぜ込んだりするレシピが人気のようです。
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