- スーパー等の販売データや生活者へのアンケート結果等、様々なデータの収集〜集計〜分析を行っている株式会社インテージ。前回に続き、新型コロナウイルスが及ぼしている家庭での食事の変化を深堀りします。
新型コロナウイルスによる内食需要の高まり
－ 家庭で楽しむホットケーキの定着 －
こんにちは。インテージの牧野です。
すっかり「ステイホーム」という言葉も定着してきましたが、みなさんどのようにお過ごしでしょうか？
このような状態の中で、オンライン飲み会や、オンライン体操、おうちDIYなど、様々なおうちの楽しみ方が提唱されており、実践された方も多いのではないでしょうか？
特に外食が制限されたことで、おうちで食事をどのように楽しむかが注目されております。今回は、新型コロナウイルスの影響により、家庭ではどのような食事の変化が起きているかを深掘りしたいと思います。
売上げが伸びた食品
インテージの小売店POSデータ「SRI」（全国約3,000店）で直近の食品の売上動向を確認したところ、緊急事態宣言が発令された4月以降は、エッセンス類（バニラエッセンス、ベーキングパウダーなど）やプレミックス（ホットケーキミックス、お好み焼き粉など）、小麦粉など手作りお菓子・パン関連の商品が大きく伸長していることが分かります。
学校の休校により子供たちとおうちクッキングを楽しむため、お菓子作りやパン作りなど「一緒に手作りを楽しむ」という視点のものの需要が高まっていることが推測されます。
▼2020年2-4月 食品 販売金額前年比 (%)
（市場：食品 業態：SM・CVS・DRUG・HC/DS 全国計 2020年2月3日週-2020年4月20日週）
ホットケーキミックスの買われ方は？
特に伸長率の高いプレミックスについて、誰にどのように購入されているか深掘りを行ってみました。プレミックスの中でも最も売上規模の大きいホットケーキミックスについて確認いたしました。
インテージの消費者購買データ「SCI」（全国約50,000人）で購入動向を確認したところ、2020年3-4月の購買金額は前年比180％と大きく伸長しております。購買金額は「購入者数（人）」と「一人あたりの購入金額（円）」の掛け合わせになりますので、それぞれの伸び率を見たところ、一人あたりの購入金額も伸びてはいますが、特に購入者数の伸びが伸長要因になっていることが分かります。
つまりはこのタイミングで新たにホットケーキミックスを購入する人が増えたということで、多くの人との接点を増やすことができたということになります。
▼2020年3-4月 ホットケーキミックス前年比（％）/データソース：SCI
（カテゴリー：ホットケーキミックス 業態：全業態 期間：2019年3-4月 vs 2020年3-4月）
また、誰に購入されているかを見たところ、子育て世帯での伸び率が高いのはもちろんですが、おもしろいことに独身家庭や夫婦のみ家庭、リタイア世帯などすべての層でまんべんなく伸びていることが分かります。
学校の休校に伴う子供とのおうちクッキング需要だけでなく、どの層であっても、おうちで過ごす時間をホットケーキミックスを使い有意義な時間にしようとしていることがわかります。
子供のいる家庭では、これを機に料理に目覚める子供が出てくるかもしれません。独身家庭や夫婦のみ家庭は、ホットケーキミックスを使いアレンジしたケーキやパンなどを作っているのかもしれません。リタイア世帯もこれを機に新たな趣味となったりと、どの層でも楽しむことができるレシピであると今回のタイミングで気付かされました。
▼2020年3-4月 ライフステージ別 ホットケーキミックス前年比（％）/データソース：SCI
（カテゴリー：ホットケーキミックス 業態：全業態 期間：2019年3-4月 vs 2020年3-4月）
ホットケーキの登場する食卓は？
では実際にホットケーキはどのように食卓に登場しているのかをインテージのデータの一つである1,260世帯の食卓調査「キッチンダイアリー」で確認しました。
2019年→2020年と比較した際に、ホットケーキと一緒に出されるメニューの数が増えていることが分かります。
今までホットケーキ単体だけで作ることが多かったのですが、今回を機に食卓の中に定着できているのかもしれません。具体的にホットケーキと同時に食卓に並んでいるメニューを見るとフルーツ類やサラダ、ゆでたまご、ソーセージなどが見られます。
お菓子という位置づけだけではなく、食事として登場してきていますし、他のメニューとの食べ合わせの需要も高まっているようです。
▼2020年2-3月 ホットケーキとの同時食卓メニュー数構成比 (%)
（京浜、中京、京阪神3エリア計 2人以上家族の主家事担当者 2020年2-3月 vs 2019年2-3月）
▼2020年2-3月 ホットケーキとの同時食卓出現率メニューランキング (%)
（京浜、中京、京阪神3エリア計 2人以上家族の主家事担当者 2020年2-3月 vs 2019年2-3月）
今回多くの人達がステイホームを機に、ホットケーキミックスを中心としたプレミックスを利用し、お菓子作り・パン作りを行う機会が増えました。
おうちで楽しむという状況はコロナの自粛期間が過ぎたあとでも起きることはあります。天気が悪い日や、家にいる必要がある日、今回の経験を通して、おうちで過ごすときにやることの選択肢が一つ増えたのではないでしょうか。苦しい状況ではありますが、多くの人達のおうち生活がさらに豊かになるきっかけになるかもしれません。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
シリーズ『データに基づく食生活のトレンド分析』のその他のコラムはこちら
当該コンテンツは、担当コンサルタントの分析・調査に基づき作成されています。
公開日
