- スーパー等の販売データや生活者へのアンケート結果等、様々なデータの収集〜集計〜分析を行っている株式会社インテージ。前回に続き、新型コロナウイルスが及ぼしている家庭での食事の変化を深堀りします。
自粛期間の食卓変化からwithコロナ時代のヒントを探る
こんにちは。インテージの玉木です。
連日、新型コロナウイルスのニュースが流れ自粛ムードが続く中ですが、いかがお過ごしでしょうか。私はほぼ毎日在宅勤務となっており、このコラムも自宅のダイニングテーブルで書いております。
在宅勤務のおかげで、家族と3食共にする事ができる反面、妻に聞いてみると、やはり毎日の献立には頭を悩ませているとのことでした(最近は昼の主食は豆腐&納豆をメインに固定し、健康と時短を両立しています)。
今回は、そんな家庭が特に増えているであろう京浜エリアにおける自粛期間の食卓実態を探ってみたいと思います。
2020年4-6月(自粛期間)における 京浜エリアの”昼食“実態
緊急事態宣言以降の自粛期間(4月〜6月)における、京浜エリアの食卓はどうなっているのでしょうか?インテージのデータの1つである1,260世帯の食卓調査「キッチンダイアリー」で確認してみます。
▼2019年4-6月/2020年4-6月 京浜エリアにおける内食率
(京浜エリア 2人以上家族の主家事担当者、2019年4月〜6月 vs 2020年4月〜6月)
※内食率:家で食べた食事の割合
朝食の内食率は元々高く、自粛期間においても前年と比較して大きな差がないのに対し、昼食と夕食においては内食率の拡大が明らかです。
特に昼食は昨年同時期(2019年4-6月)が60%なのに対し、今年は79%にまで上昇しており、8割の家庭が自宅で昼食を用意していることが確認できます。
夕食においても2020年4-6月の内食率は96%にまで増加しており、外食などはせずに、ほぼ全ての家庭が自宅で夕食をとっていることが確認できます。
内食率が増加した”昼食”と”夕食”メニューの変化は?
自粛により頻度が高まっている家庭での昼食と夕食ですが、そのメニューにはどのような変化が起きているのでしょうか。引き続きキッチンダイアリーで確認してみます。
まずは昼食から見てみます。
▼2019年4-6月/2020年4-6月 京浜エリア 昼食TI値
(京浜エリア 2人以上家族の主家事担当者、2019年4月~6月 vs 2020年4月~6月)
※TI値:1,000食卓あたりの出現回数(回)
※主食/大きなおかずの内、TI値5以上のメニューに限定
昨年と比較して、食卓での出現を最も伸ばしているのは「チキンナゲット」となっており、何と3.4倍もの拡大をみせています。その他にもハンバーガーやピザといったメニューが出現を伸ばしている傾向にあると言えます。
育ち盛りの子供や旦那さん等、ボリュームを求める家族の昼食参加や、外食に求めていたボリューム感のあるメニューへの欲求を家庭内に取り入れているのかもしれません。
続いて夕食の傾向を確認していきます。
▼2019年4-6月/2020年4-6月 京浜エリア 夕食TI値
(京浜エリア 2人以上家族の主家事担当者、2019年4月~6月 vs 2020年4月~6月)
※TI値:1,000食卓あたりの出現回数(回)
※主食/大きなおかずの内、TI値10以上のメニューに限定
昨年と比較して、食卓での出現を最も伸ばしているのは「玄米・胚芽米ご飯」で、1.5倍もの拡大をみせています。毎日家庭で夕食を食べる中、栄養価の高いお米を採用して健康を気遣う家庭が増えているのかもしれません。
また、「焼肉」「にぎり寿司」「ステーキ」といった定番の贅沢メニューも変わらず上位にランクインしていることが確認できます。昼食では「ボリューム感のあるメニュー」を、夕食では「贅沢メニュー」を取り込むことで、食卓にメリハリをつけ、家族揃ってより楽しい食事にしようとする様子が窺えます。
いかがだったでしょうか。今回のポイントとしては、
■ 昼食の内食化は明らかに進んでおり、夕食だけでなく昼食の提案も店頭などでしていく必要がある。
■ これまで外食に求めていた欲求が内食で強まっている可能性があるため、外食で強い(強かった)メニューに注目して新たなメニュー提案などを検討する必要がある。
といったことになると考えています。最後までご覧いただきありがとうございました。
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