アグリウェブ読者のみなさま、四回目となる今回は、DON DON DONKIが全国の農家さまにご相談させて頂きたいことについてお話し致します。
前回お話しさせて頂きました通り、当社はアジア地域への出店を加速させております。喜ばしいことに青果物の勢いは止まらず、出店に比例して着実に売上を伸ばしております。ただその反面、このままの出店が続けば販売量が供給量を大きく上回り、海外のお客さまに多大なご迷惑をお掛けしないとも限りません。
そこで当社が農家の皆さまにご相談させて頂きたいことは『海外輸出を見据えた栽培』です。
お客様の“食”の変化
各国においてコロナによる外出自粛や、飲食店の閉鎖で内食需要が高まり、素材の購入率が高まっています。以前は甘くて美味しい果物や簡単に食べられる焼き芋といった品目が主力となっていましたが、現在では調理が必要となるきのこやキャベツ、白菜などありとあらゆる品目の売上が上がっています。
これはつまり、どの品目にも販売のチャンスが広がったと考えられます。特に海外では、それぞれの品目の標準的な段ボール規格に対して、キャベツは10玉、大根は12本、南瓜は10~12玉といった小ぶりな商品が人気となっており、日本での基準や感覚とは違う部分が面白くも難しいところだと考えております。
見えてきた課題
当社がアジアで初めて出店したシンガポールは輸入に対してほとんど規制がない自由貿易国でした。そのため適正価格や高品質を実現することでお客様の支持を集め売上を伸ばすことができました。このことは香港にも当てはまり、現在はこの2か国がアジア事業の主要国となっております。
台湾の輸入規制
その一方で思わぬ壁にぶつかる事態が発生しました。一つ目が台湾の厳しい輸入規制についてです。1/19にオープンした台湾1号店では、あらゆる品目が規制の対象とされ多くの廃棄が発生してしまいました。日本の生産者の方々が一生懸命作った作物を販売出来ず廃棄してしまう事ほど我々として悔しい事はありません。
タイのパラコート規制
二つ目が今年の6月から施行されるタイのパラコート規制です。日本の除草剤に含まれるパラコートや殺虫剤に含まれるクロルピリホスの検出が一切禁止となり、今まで販売していた品目が取り扱えなくなってしまう可能性が出てきました。特に果物においてはシーズンがあることから、現在も調査をまともに行うことができない状況が続いております。
日本産品の流出
三つ目が日本産品の流出です。シャインマスカットやイチゴといった海外で非常に人気の高い品目が中国や韓国に流出し、日本産に比べて安価で取引されています。韓国産イチゴだけで年間200億円の損失が出ていると言われるほどです。
さらに日本で栽培技術を学んだ留学生などの指導により生産レベルも目をみはる早さで向上しており、日本産品の価値が脅かされています。
“食”の変化によるチャンスを活かし、見えてきた課題を乗り越えるため、農家の皆さまにはぜひ『海外輸出を見据えた栽培』にご理解を頂き、お力添えを頂戴できれば幸いです。
オールジャパンを合言葉に世界中のお客さまに日本産品を届けましょう!
PPIC会員様との連携
愛媛県松山港から初めて柑橘類の輸出
暗い話が続いてしまいましたので、最後に明るい話題をお届けします。PPIC会員さまである宇和島プロジェクトさま、サンマルシェさまのご協力により、3/17に香港で開催された 『愛媛県柑橘フェア』に向けた商品が松山港から初めて出荷されました。この取り組みは当日のニュースや日本農業新聞にも取り上げられ地元では大きな話題となりました。
当社は今後も生産者さまと寄り添い、新たな取り組みを続けてまいります。
ぜひ当連載コラムをお読みくださっている読者の皆さまには、我々と一緒にチャレンジしたいと思って頂ければ幸いです。
当社の海外事業にご興味をもっていただけましたら、ぜひ海外輸出に携わる会員組織PPIC(ピック)のホームページもご覧になってください。
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当該コンテンツは、担当コンサルタントの分析・調査に基づき作成されています。
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