(『バイヤーズ・ガイド』編集発行人 永瀬正彦)
第3回目となる今回は、販路開拓を行っていく上で重要となるターゲットと利用シーンについて説明しましょう。ターゲット・利用シーンと聞いて難しく考えてしまう人もいますが、シンプルに考えましょう。ターゲットはズバリ “こんな人に” 、利用シーンは “こう食べて欲しい” です。
“こんな人にこう食べて欲しい!” という皆さんの思いが、商品のコンセプトになるのです。さあ、あなたの商品は“どんな人に、どのように食べて欲しいですか? ”
ターゲットは具体的に “どんな人なのか?”
最初にターゲットについて説明しましょう。私がバイヤーに商品を見ていただくと、必ず「この商品のターゲットは?」と聞かれます。そこで私が製造者に「この商品のターゲットは誰ですか?」と尋ねると、「お子様からお年寄りまで男女を問わず」や「首都圏の高所得者層」といった答えが返ってきます。
ここで注意すべきは、ターゲットの日本語訳は “標的” です。そうなると、「お子様からお年寄りまで男女を問わず」は全ての人が対象になってしまいますので、ターゲットになりません。次の「首都圏の高所得者層」も、その方々に売りたい気持ちはわかりますが、では「首都圏の高所得者層とはどんな人たちでしょうか? 説明してください」というと大体答えられません。残念ながら顧客イメージができないものは売れないのです。
そこで仮説でも良いので、以下のように具体的にターゲットを設定してみてください。
ここでなかなかターゲットの設定ができない、イメージできないという方は、自分の商品を売りたいお店の置きたい売り場に行ってみましょう。すると、どんなお客様が、どんな価格帯で、どのような商品を買っているのか? 具体的にイメージできるようになります。
ここで立てたターゲットの仮説を、商談時にバイヤーにぶつけてみてください。もしも違うようであればアドバイスをもらい、修正してみて再度提案していくのです。このターゲットの設定検証を繰り返していくうちに、ターゲットの設定が定まってくるはずです。
上記ターゲットに “どのように利用して欲しいのか?”
次に利用シーンですが、先ほどのターゲットの方々にどのように利用して欲しいのか? 以下のように5W1Hで考えてみましょう。
バイヤーはこのターゲット・利用シーンが、自分たちのお客様と合っているかどうかを検証します。
先ほど首都圏の高所得者層と言うターゲットがありましたが、簡単に考えると、こうしたお客様が百貨店や高級スーパーでお買い物をするのであれば、ありふれた商品ではなく原材料や製法にこだわった商品を求められます。一方、日常使いのGMS(総合スーパー)や地元スーパーであれば、リーズナブルな価格で欠品を起こさない量が求められます。
小売店ごとに独自のストア・コンセプトがあり、 どのお店でも通用する商品と言うのはないのです。
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