アグリウェブ読者のみなさま、五回目となる今回は、世界各国のDON DON DONKIで、シーズンごとにどういった商品が売れているかをお話させていただきます。
みなさまの今後の取り組みにお役立ていただけますと幸いです。
ご存じの通り、海外には四季がなく “旬” が存在いたしません。
各品目のもっともおいしい味を堪能できる “旬” は、海外のお客さまからすると非常に魅力的であり、そのお客さまの興味は販売実績に如実に表れております。
そこで今回は具体的に、シーズンごとの販売動向について紹介させていただきます。
シーズンに応じた取り組み
冬:春節( 2月 )
春節(旧正月)は、中華圏の方にとって一番大きな祝日であり、日本で言うお正月に当たります。年間でも、この時期は各国の消費熱が高まり、果物輸出が大きく盛り上がります。
近年は新型コロナウイルスの影響により、春節を家族と一緒に自宅で祝いたいというニーズから、たくさんのお客さまに世界各国の店舗にご来店いただきました。
この時期によく売れた品目としては、旬のりんご・いちご・大根・白菜などがあります。
たとえばいちごは香港で点数先月対比 117%・白菜はシンガポールで同 133%の伸びを見せています。
今年 1月にオープンした台湾においては、一般的に売上が高いオープン月の 1月と比較してもいちごや大根・白菜は 2〜5倍に売上を伸ばすなど、イベントと旬の相乗効果が如実に表れています。
春:メーデー( 5月 )
毎年 5月に行われるメーデーは労働者の為の祝日(祭典)であり、世界各地で多くの方々が祝日を楽しみます。
この時期には、旬のメロンやトマト・ブロッコリー・豆苗などがよく売れています。
たとえばブロッコリーは香港で点数先月対比 約 2倍・豆苗はシンガポールで 1.2倍となっております。
特に大きな伸びを見せたのがメロンで、シンガポールにおいては点数先月対比 8倍以上売れた実績がございます。
この時期のメロンは、当社が連携協定を締結している熊本県産品のものを取り扱わせていただいており、2年前からメロンフェアーと銘打ち、アジア各店で店頭プロモーションを積極的に仕掛けたことも、売上に寄与していると考えております。
夏:サマーバケーション( 7月 )
世界各国の夏休み期間は異なりますが、ほぼ共通している時期は 7月です。
この時期によく売れるのが、当社の果物人気ベスト5に入る桃です。
桃は 4月から10月に集中販売しておりますが、その中でも最も売上が伸びるのが夏です。香港では、点数先月対比で 12倍以上売れております。
その他レタスやきゅうりも香港において、同 1.5〜 2倍ほどの伸びを示しています。
秋:中秋節( 9月 )
中秋節は、「食欲の秋」と呼ばれる 9〜10月に、中華圏で大きく盛り上がるイベントです。
多くの食材が旬を迎える秋は、年間で最も食欲が増す時期となります。
この時期に顕著な動きを見せるのが梨です。
生産時期の問題から、7月・8月と梨の取り扱いは十分ではありませんが、世界各国ともに 9月に梨の取り扱いを始めると一気に点数が伸び、9月・10月と売上が伸びていき、12月まで売上が衰えることはありません。
その他、特徴的な動きを見せるのがぶどうです。
ご存じの通り、ぶどうの旬は 9月です。当社は巨峰やシャインマスカットなどを扱っており、9月・10月の売上は通年売上の 4割以上を占めます。
産地リレーについて
さてこのように、当社は海外のお客さまへ “旬” をお伝えするため、“旬” の時期には店舗演出に趣向を凝らした拡販やフェアーを行っております。
例えば前回もご紹介した柑橘フェアーは、3月26日〜4月22日の約 1か月間で 1,000万円近い売上となり、前年同時期の柑橘類売上の約 4倍という大成功を収めることができました。
(※香港のフェアー開催店舗数は、昨年の2店舗から6店舗に増加)
その一方、お客さまのご要望にお応えすべく可能な限り一年を通して、各品目を販売できるよう産地リレーも行っております。
たとえばメロンなどは時期に応じて、熊本産・茨城産・静岡産などをそれぞれ取扱いしております。
また梨は、鳥取産・熊本産・茨城産を時期に応じて取り扱っております。
このように年間を通じてお客さまへ日本産青果をお届けすべく、当社は日々奮闘しておりますが、まだまだ十分な量を年間供給できていない品目もございます。
今後はぜひとも、本コラムをご覧になっている生産者のみなさまのお力をお借りできればと考えております。
これからも当社は、海外のお客様のニーズに寄り添い、“旬” のおいしい青果をお届けしてまいります。生産者のみなさまにおかれましては、ぜひとも日本各地の “旬” の青果を供給いただければ幸いです。
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