(エフピコチューパ株式会社 上原 英一)
アグリウェブ読者の皆様、こんにちは。
青果物用トレーや袋と言った出荷資材の製造販売を手掛け、農産業界に携わらせて頂いているエフピコチューパ株式会社と申します。
2回目の今回は、コロナ禍における新生活様式から消費者意識と購買行動について、農産パック・包装の観点から書かせて頂きます。
新型コロナウイルス国内上陸から2年目の現在
2020年度、スーパーマーケットや直売所といった販売店において、農産物は売上・販売量共に2019年度と比べて10%以上増加しました。言わずもがな、これはコロナ禍による内食需要の圧倒的増加が要因です。特に2020年3月からは小・中・高校の一斉休校開始により食料品の需要急増となり、以降このトレンドが継続した形です。
では2021年度現在の農産物販売店状況はどうかと言うと、コロナが一周し2020年度に比べ消費者は落ち着きを取り戻しつつあります。結果、2020年度に比べ売上・販売量共にやや下降気味ですが、それでも2019年度から比べると増加推移の高止まりになっています。これが農産物販売店の現在の状況です。
堅固な内食需要に支えられた販売店に対し、苦戦を強いられている飲食店とそれに付帯する納入業者や生産者はいまだに厳しい状況下にありますが、コロナ禍以降から産直通販サイト(ECサイト)の台頭もあり、第二の販路を開拓する生産者も増えています。
販売チャネルごとのバラつきはあるものの、国内全体ではコロナ禍以前に比べ農産物の売上と販売量が増加しているのが現状です。
農産物の販売に携わる読者の皆様から、そんなことは知っているわ!との声が上がりそうな内容ですね。ではここに「農産パック・包装」の観点を追加し消費者の求める付加価値を記載させて頂きます。
キーワードは大容量と原体保護
2020年度において、好調だったスーパーマーケットや直売所ですが、実は来店客数は減っています。生活必需品や食料品は外出自粛の対象外であったものの、自粛の影響を受け来店客数が減少しました。しかも減り方が大きく、2019年度と比べ約5%も減っています。
それにも関わらず売上と販売量が約10%も増加しました。セオリーに反した状況が生まれたのです。
この理由は購入点数と平均客単価の増加です。可能な限り買い物に行く回数を減らし、まとめ買いをする。これがコロナ禍での消費者のトレンドです。
これにより農産パックは大容量パックの出荷が増加しました。内容物にもよりますが量目が多く、更に段積みで陳列が出来る農産パックが人気となりました。
段積み出来る容器の消費者メリットとして、マイバックやレジ袋で持ち帰る際、中身の原体が傷つきにくい事があげられますが、ここへ更に、コロナ禍による内容物の保護が好まれた事も後押しされました。洗ったり火を通したりしてから食する生鮮食品に対し、過剰な反応にも見受けられますが、消費者が心理的に持つイメージなのだと思います。
また、先にも記載しましたが、産直通販サイトの台頭からも原体保護出来る大型農産パックの使用が増加しました。これまでも生協をはじめとした宅配分野において、大型で原体保護が出来る農産パックは好まれる傾向にありました。これがそのまま産直通販サイトにおいても転用された形です。
特に、果物やトマトは荷扱いによる傷みに敏感ですから、これまでも生産者や販売者は運搬には気を使ってきました。単価の高い原体であれば尚更です。運搬の占める割合が大きくなる宅配や産直通販サイトは、原体保護が消費者に対し非常に大きな要素を担います。
現在から今後、アフターコロナにおける消費者意識
コロナ禍における消費者意識からの農産パック・包装のトレンドを記載させて頂きました。
しかし現在の消費者は、以前に比べ慌てることなく落ち着きを取り戻し、コロナ禍に対応しております。更に今後、ワクチン接種の広がりよりコロナ禍は収束に向かうことから、現在のトレンドが永遠に続くことはありません。
もちろん、現在のトレンドは一定の継続者が残ることも確かなため、この消費者意識を視野して対応することも大事ですが、もっと大事なことはアフターコロナでの消費者への対応です。
持続可能な開発目標(SDGs)はこれまでも活発に議論をされてきましたが、コロナ禍はその達成に向けた取り組みに一層の拍車をかけました。また、菅首相の発言も記憶に新しいところですが、温室効果ガス排出抑制(特にCO2排出抑制)については、生産者はもちろん、消費者においても広く意識付けされた事象となっています。
生産者の皆様も日頃から良く見聞きする言葉である「環境」は、今後もずっと出続けるワードだと思います。次回は、アフターコロナの中でも非常に重要視され、避けて通ることはできないキーワード「環境対応」について農産パック・包装のお話ししたいと思います。
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