(ニュージーランド大使館商務部/ニュージーランド貿易経済促進庁)
② 育種/畜産/動植物の健康管理:ニュージーランド アグリテックのバイオテクノロジー・ソリューション
ニュージーランドはその基幹産業である農業の生産性を、アグリテックという新たなテクノロジーを起点とする営農活動の抜本的な刷新(イノベーション)により高めてきました。
小さいながらもバラエティに富んだ地形・環境を有す国土は、多種多様かつ豊かな農産物の生産を可能にする一方で、農業従事者に様々な課題を突き付け、ニュージーランド アグリテックは、農業従事者と共に、それら課題を乗り越える度に進化してきた、ともいえます。
加えて、農業輸出国として、消費者嗜好や人口構造の変化、気候変動など、経済発展と共にダイナミックに変化し続ける世界の農業市場に対応していく中、農産品と共にアグリテックの質も磨かれ、更にはアグリテック単体として輸出されるようになり、各国で高い評価を得るに至りました。
本稿では、進化を続けるニュージーランド アグリテックの中から、特にバイオテクノロジーを活用して動植物の生産性を高めるソリューションを提供する企業をご紹介します。
最先端の研究成果の早期現場応用による生産性向上
ニュージーランド アグリテックは、大学等の研究機関との共同研究成果を基にしたバイオテクノロジー(動物用医薬品、プロバイオティクス、遺伝子検査、菌種開発/品種開発技術等)を早期に現場に導入し、データの収集や導入・運用ノウハウの蓄積を図ることで洗練されたソリューション製品へ昇華し、農作物の生産性の飛躍的な向上を実現しています。
BioLumic(バイオルミック)
(画像:BioLumic, NZ AgTechStory より引用)
紫外線を使用した農作物の生育技術のパイオニアです。
百京以上もの紫外線吸収パターン開発から実現した植物生育UVライトは、植物がエネルギーを葉や茎、根、生殖部分に分配するプロセス(バイオマス分配)に作用し、発芽を助け、根を丈夫にするなど植物を効果的に生育させます。
化学肥料や遺伝子改変技術を使用せずに、病害に強く、早期栽培や収量の増大をも可能にし、既にグローバル市場において同社技術が認知されており、ニュージーランドやスペインにおいてレタスの収量を10%上昇させた成果が報告されています。
Simcro(シムクロ)
(画像:Simcro, NZ AgTechStory より引用)
獣医や農家向けにワクチンや医薬品接種を効果的に管理するソリューションを提供しています。
独自のイノベーションプロセスを持ち、構想策定から実装までプロジェクトの全フェーズを一貫して実施しており、主に注射器、局所投与機器、鼻腔内投与機器を製造販売しています。実際に、使いやすさ・正確さ・安全性を追求した40種類以上もの注射器・投与機器を提供しています。
Livestock Improvement Corporation(ライブストック インプルーブメント)
(画像:Livestock Improvement Corporationウェブサイト)
ニュージーランドの上場企業で、牛乳の品質・生産性向上のための100を超える遺伝子タイプの提供やDNA他多様な検査技術などを提供しています。
主要プロダクトは、人工授精、家畜検査、家畜管理ソフトウェア、動物健康診断サービス、家畜タグです。フィードコントローラー、乳腺炎検出センサー、重量測定技術、熱センサーなどの自動化技術を有す他、直近では牧草地管理データを衛星を介して受信するサービスを開始しました。
CRV Ambreed(シーアールブイ アンブリード)
(画像:CRV Ambreedウェブサイト)
畜産業向けに、家畜の飼育による水質汚染を防ぐソリューションを提供しています。
同社のLowN Siresは、牛乳内の尿素、窒素が水路を汚染することを防ぐことが可能です。その他にも、家畜生産量を増加させるソリューションや遺伝的多様性を実現するソリューションを提供しています。
このように、ニュージーランドでは最先端のバイオテクノロジーによって、健康状態の把握・改善や品種改良を可能とするソリューションを提供しています。
日本においても、最新の技術を活用し精確に健康管理を行うことで、動植物の生産性を高めるソリューションとして期待できるのではないでしょうか。
次回は、「③農場管理:ニュージーランド アグリテックの農業管理ソフトウェア」と題し、農場運営・ビジネス運営における意思決定や生産性向上に貢献するソフトウェアなどのソリューション等ご紹介します。
シリーズ『日本とそっくりな島国。ニュージーランドの農業技術』のその他のコラムはこちら
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