アグリウェブ読者のみなさま、八回目の今回は親日国・台湾へ本年1月に 初出店した「DON DON DONKI 西門店」についてお話をさせて頂きます。
台湾はアジアの中でも中国・韓国に次いで訪日観光客数が多く、コロナ前の2019年では年間467万人以上の方が日本を訪れておりました(※)。
(※)出典:JNTO「2019年 国籍別 / 目的別 訪日外客数 (確定値)」
同店は、オープン当日には700人以上のお客さまにお並び頂き、日本・台湾双方のマスコミやSNSでも大きく取り上げていただきました。
台湾の輸入規制
オープン後も連日多くのお客さまで店内が賑わう同店ですが、輸入レギュレーション上、店頭に並べることができない品目が多くございます。
具体的な事例を挙げますと、ほうれん草やレタスなどの葉物野菜・オクラなどの果菜類は、五回連続の抜き打ち農薬検査の通過が輸入条件となります。
キノコ類に関しては加工食品とみなされ、密閉容器に入っていることからラベル表記と賞味期限表記が義務化され、現在は日本国内で規制をクリアする生産者さまを開拓する一方、現地企業との連携等も視野に入れ動いております。
またオープン当初は輸入ができ販売も好調だった豆苗におきましては、三度目の輸出で根がついていることを理由に廃棄命令を受け、以降輸出禁止品目となっております。
このような各種の条件をクリアした上でお客様へ適正な価格で販売することが、今後の大きな課題と捉えております。
"台湾の原宿" で好評のさつまいも
しかしながら、野菜の中でも当社売上ナンバー1のさつまいもは輸出可能となります。西門店でも販売しており、大変好評を博しています。
たとえばオープン直後の2月の実績を例にとりますと、1店舗あたりの販売実績は香港と同程度、シンガポールと比較すると3倍にのぼります。
西門は "台湾の原宿" と呼ばれる繁華街であり、食べ歩きするには絶好のエリアであることも、焼き芋が人気の理由のひとつとして挙げられると考えております。
野菜におきましてはレギュレーション上あらゆる品目で店頭に並べることが困難ではありますが、果物については多くの品目が輸出できております。
人気が高い "旬" の果物
各国の「DON DON DONKI」では、いちごがとても人気のある品目でございます。
西門店においても多分に漏れず、いちごは果物以外の野菜や鮮魚・精肉等もふくめた生鮮品の中でも、現地のお客さまが最も多くお買い求めいただく品目になっています。
いちごの旬が終わり7月に入ると、桃やぶどうをお求めになるお客さまが増えました。海外のお客さまにも旬の美味しさがしっかりと伝わっていると実感しております。
これから訪れる旬の品目に対して、現地のお客さまがどのように感じ、手に取っていただけるか、今からとてもワクワク・ドキドキしています。
さて、いちごの他にも人気が高い果物がりんごになります。
台湾は、2019年時点で年間2万4000tもの量を日本から輸入しております。
他国の安価なりんごが多数流通しているにも関わらず、これほど多くの日本産りんごを輸入しているのは、日本のりんごが美味しいという紛れもない事実でございます。
当社では、りんごの品種のそれぞれの良さをチャート図にまとめて、店内の商品近くに設置しています。
お客さまがわかりやすく、より好みの品種を手に取って頂けるよう工夫を施しご提供しております。
オープンして間もなく、台湾でもコロナの感染拡大が深刻となり、テイクアウト限定や入店制限など制約がかかってしまい、はるばる日本から届いた食材の一部を廃棄せざるを得ない状況もございました。
しかしながら大部分ではコロナ禍でニーズの高い惣菜へ食材活用することで、生産者のみなさまが丹精こめてつくられた農産品を台湾のお客様へお届けすることができました。
台湾への日本産品輸出は、輸入規制という大きな課題がございます。
しかしながら、焼き芋やいちご・りんごの事例でおわかりいただけるように、台湾には限りない市場が広がっています。
実際に当社は、台湾のお客さまが日本産品を美味しいと感じ、数多くのお客さまがお買い求めくださっている現状をリアルに体験しております。
当社は今後も生産者さまと手を取り合い、日本産品を台湾、そして海外のお客さまへひとつでも多く届けてまいります。
ぜひ当連載コラムをお読みくださっている読者の皆さまには、我々と一緒にチャレンジして頂ければ幸いです。
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