(YUIME株式会社 取締役 江城 嘉一)
YUIMEがほかの人材派遣会社と大きく異なる特徴のひとつに、社員が現場に入って派遣スタッフと一緒に作業し、やがてリーダーとなる点があげられます。
社員に現場のノウハウが蓄積されるからこそ、農家と長期にわたる信頼関係が築けるのです。社員は、正社員雇用の求人で採用される場合と、派遣スタッフの優秀な人材から登用される場合があります。
なかでも最近、目立ち始めているのが、女性社員の活躍です。今回は、YUIMEのがんばる農業女子についてご紹介しましょう。
(IT部門から転身した神山玲香さん(左)、サービス業界出身の上原千明さん(右))
活躍めざましい「農業女子」社員
なにをかくそう、マネージャー以外で初めて農業の現場に入る社員となったのが、神山玲香さん(以下敬称略)でした。もともと彼女はIT部門で採用した人材です。
沖縄県の国際観光系の高校を卒業し、海外でIT関連の仕事をしたいという希望を胸に入社しました。IT部門の研修中、たまたま農業分野での人手が足りなかったこともあって、1カ月ほど、北海道の豊頃町でダイコン中心に生産している「北海道グリーンパートナー」さんの現場に入ってもらったのです。ちなみに採用時には、農業部門に転属することもありうる、と本人には伝えてありました。
華奢でおとなしく、人見知りするタイプだったので、札幌支社から農場のある帯広まで車で送って行く途中も心配でした。緊張でうつむきがちの彼女に向かって、「現場では、あれこれ思い悩まず、言われたことをすぐにやる反射神経が大切。とりあえず頭を空っぽにしよう」と一緒に歌をうたったり、山が見えたらヤッホーと叫ぼう、などと、心をほぐすようにアドバイスしたことを覚えています。
(男性でもきつい現場で大活躍!大型特殊や車両系建設機械免許も取得した)
しんどいが面白い……農業の現場に魅せられ転属
1カ月間無事に勤め上げた後、彼女は元のITの仕事に戻ってきました。その様子を見て、私は「もう農業は二度とイヤだろうな」と思っていたのです。
ところがある日、思い詰めたような表情で、自分から「農業に転属したい」と言い出しました。たった1カ月経験した農業が、どうやらとても面白かったらしい……。農家さんから励まされたり、褒められたりしたのも嬉しかったようです。根性があり、負けず嫌いで芯の強い性格が向いていたのでしょう。
会社にとっては願ってもない話で、次年度から正式に農業部門に配置転換。最初の現場は沖縄でした。サトウキビの脱葉処理は体力的にきつい作業なので、クライアントは男性社員の派遣を希望していましたが、私が「太鼓判を押しますので、一度でいいから受け入れてください」と説得し、神山に行ってもらったのです。
フタを開けてみれば、たいへんな活躍。お客さまからは、彼女のおかげで生産性が上がった、と感謝されました。
ただ、確かにしんどい現場ですから、あとで「あそこはキツかったでしょ? ごめんね。来年は違う案件入れるから」と謝りました。ところが彼女は、いったんその場を立ち去ったあと、すぐ私の元へ戻ってきて「ゲーム方式ですごく楽しくやる方法を思いついたんです!違う場所じゃなくて、来年もサトウキビをやらせてください!」と輝くような笑顔を見せました。
(サトウキビの収穫から製糖に至る一連の作業は、重労働の連続)

彼女の頑張りのおかげで、サトウキビの現場に女性スタッフの道が開け、今では特定技能1号の外国人女性も10名ほど入っています。
さらに、入社当時は普通免許も所持していませんでしたが、YUIMEの支援制度を利用して普通免許、準中型免許、大型特殊、車両系建設機械の免許を次々に取得し、さらにフォークリフト免許まで取得して、農機を運転できるようになりました。
人に教えることも得意で、ITスキルを生かして外国人スタッフへの教育資料を作成するなど、仕事の幅はさらにひろがっています。今では現場のサブリーダーとして活躍中です。
性別や経験を問わず長く活躍できる舞台が多い
コロナ禍以前、YUIMEではよくバーベキュー大会を開いていました。そこで手伝ってもらったのをきっかけに知り合ったのが、やはり沖縄出身の上原千明さん。彼女は約8年間勤めたサービス業を辞め、これまでの人生で経験したことのない農業の現場に飛び込みました。
短期の派遣スタッフからスタート。「故郷・沖縄以外の土地を知りたい」という希望で、神山の研修のときと同じ、北海道グリーンパートナーさんが最初の現場でした。
植え付けから収穫まで、さまざまな業務が待ち構えているきびしい農作業にもまったく音を上げません。持ち前の明るく社交的で姉御肌の気質を活かしてリーダーシップを発揮。クライアントとのコミュニケーションも巧みで、まもなく正社員に登用され、2年目にはリーダーに昇格しました。
(男女の別やキャリアは関係ない。誰だって活躍できる)

「性別や経験を問わず、一生懸命取り組めば活躍できる舞台がたくさんあると思います」と彼女は言います。
さらに、「全国各地のいろいろな農家の方に出会ってお仕事することで、作業の進め方を教えていただけますし、一緒に頑張っている仲間が増えるのが嬉しい。収穫した作物を送っていただくと、離れていても大地でつながっている実感があります。第二、第三の故郷が増えていくのも魅力のひとつです」と話しています。
上原と神山は、気質や性格は対照的ですが、不思議と似ている部分があります。農業の現場に向き合うときの真摯な姿勢と、粘り強くしなやかでたくましいところです。
彼女たちが働く原動力になっているのは、困難な場面でも、試行錯誤しながら作業を完遂させたときに得られる達成感と、クライアントからの信頼とお褒めの言葉なのです。
ここで働くことが未来の農業人材の育成につながる
次に紹介する小金澤千尋さんは、今年(2021年)4月に新卒で入社したばかりです。
(高校を卒業したばかり。自ら沖縄の人材募集に応募してきた)

2020年はコロナ禍のため、高校をまわって人材募集ができなかったため、厳しい年でした。そんななか、千葉県の農業高校園芸科から、独力でYUIMEの沖縄県での求人票をみつけ、わざわざ応募してくれたのが小金澤です。ウェブ面接ではガチガチに緊張していましたが、弁論大会で学校代表になるなど、優秀な成績をおさめた生徒でした。
YUIMEではこれまで、沖縄県内でしか新卒者の求人活動をしていませんでしたが、2021年からは彼女のような人材を求めて全国の農業高校に求人票を送ることにしています。
いま小金澤は北海道でブロッコリー生産に従事し、農作業のイロハを勉強中です。農機免許の取得もめざし、日本人・外国人材を含めた現場サポートの経験を積みリーダーとなって、ゆくゆくは農家との対応もマルチにこなせるマネージャーにむけてステップアップをはかっているところです。
女性のライフプランもバックアップ
女性の場合、結婚する前にリーダーになっておけば、子どもが生まれたとき育児休暇後に職場復帰しやすいはず。リーダーも現場作業は行いますが、主として全体のまとめ役であり、圃場と選果場の責任者としての管理業務ですから、重労働の負荷は比較的軽減されます。子育てしながらでも働きやすいのです。
キャリアパスを見据えて日々の仕事に励めば将来設計につながります。彼女たちを含め、自分の農園をつくることが夢の社員も少なくありません。YUIMEで働くことは、未来の日本の農業を支える人材育成に直結しているのです。
個性豊かで意欲にあふれた社員が揃ったYUIME。次回は、派遣会社の枠を超えて、YUIMEが目指す農業人材のあり方や、彼らを束ね、指導するマネージャー制度について引き続きご紹介します。私たちが育てる働き手たちが、日本の農業を元気にする担い手でもあるのです。
シリーズ『「人材支援」が結ぶ 経営と就農の新しい道』のコラムはこちら
YUIME(ゆいめ)は、農業の人材派遣・農作業受託を中心に第一次産業をサポートする企業で、産地間連携を基軸に作られた農業人材支援体制、サービスを提供しています。私たちは、全国の農家・事業者の必要な時に、必要なだけの労働力を支援します。また、登録支援機関として外国籍人材を受入れる企業が行うべき義務的支援を受入企業に代わり行うことも可能です。労働力不足でお困りの方は、コチラよりお気軽にお問い合わせください。
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