(YUIME株式会社 取締役 江城 嘉一)

YUIMEでは正社員への教育投資として、会社の経費で大型、大型特殊、車両系建設機械など農作業に必要な重機の免許取得を支援しています。
夏は北海道のダイコン、冬は沖縄のサトウキビなど、各地の繁忙期に合わせて勤務地が変わるので、仕事の合間を見ながら免許取得に通うのは難しく、必然的に利用するのは合宿免許となります。3週間程度は丸ごと免許取得に専念してもらうことになるのです。
正社員には重機免許の取得を社費で支援
免許を取得しても、圃場で運転操作に慣れるまでは時間がかかります。ほぼ3か月単位の現場を3回、つまり9カ月ほどの経験は必要でしょう。
たとえば同じ作物の収穫機でも、地域やメーカーによって機種や型式もバラバラで、クセだって異なります。鉄のコンテナを重機で運び、収穫した作物をそこへ搬入する作業のフォーメーションとオペレーションも現場ごとに多様です。
それぞれの現場にふさわしいノウハウに応じて、重機を自在に操れるようになるためには、ある程度の経験を積まなければいけません。
(正社員は経験を積むことでキャリアアップできる)

正社員はサブリーダー、リーダー、マネージャーと職階を上がっていきます。
短期雇用の派遣スタッフと共に現場で働く正社員の中から、作業責任者であるリーダー候補となりそうな人材、もしくは現在リーダーとして活躍している人材を中心に、免許取得の教育支援をしています。
こうした重機を扱える正社員の存在も、YUIMEの人材支援サービスが農家に選ばれる理由のひとつです。
属人的な能力×技能の標準化で品質保証
現場および事務方スタッフを含めた組織運営と予算管理を担うのがマネージャーです。
現在、活躍するマネージャー職のなかには、農業関係の工場長だった経歴を持ち、即マネージャーになってもらった人もいれば、イチ社員からサブリーダー、リーダーを経て昇進してきたマネージャーもいます。後者の人たちも中途採用で農業経験はありませんでしたが、現場での仕事ぶりがたいへん優秀だったのです。
(YUIMEにはさまざまなキャリアのユニークな人材が集まっている)

マネージャーとして、人心をどうやって掌握して組織を統率するかは、それぞれ巧まざるスタイルがあります。適度な距離を保ちながら見守るタイプ、じっくり辛抱強く向き合うタイプ、「俺の背中についてこい!」と言葉少ななの職人肌タイプなど、個性豊かです。
もちろん、個々のキャラクターによって、さまざまなリーダーシップの発揮のしかたがあってよいと思います。しかし、そうした個々の能力とは別に、組織が成長してくると、職階に応じた技能を標準化する必要性が出てきます。
それが農家にとって仕事クオリティ保証になるし、働き手にとってはスキルとキャリアの向上につながるからです。こうした教育制度の整備を現在、検討しています。
「第二の故郷」で働きたい人たちを応援
YUIMEで農業就労を経験したことがきっかけで、人生を豊かにした卒業生も少なくありません。例えば、沖縄の離島でサトウキビの収穫に従事していた派遣スタッフの男性は、現地のクライアントに気に入られて、その会社に転職しました。また、同じ沖縄で働くうちに、現地の人と結婚して、移住した女性も複数います。
(南大東島のサトウキビ畑で働く)
この人たちは、何年か続けて冬から春先にかけての収穫期に沖縄を訪れ、仕事をするうちに、島を好きになって、「第二の故郷」のように思うようになったそうです。そんな折に採用のオファーを受けて、移住を決意したと言うのです。その人たちの人生の転機に、大きく関わることになったできごとです。
いずれも優秀な人材でしたが、「残念だ」なんて思いません。私たちとしても島の農業の活性化と人口増加に貢献できるのであれば、素晴らしいことだと誇りに思っています。農業への希望をもって行動する人たちを心から応援したいと思って、喜んで送り出してきました。
いつか、正社員でも現れるのではないかと思っていたら、つい先日、新卒採用第1号で6年目の社員から「クライアント先に転職し島に住んで働きたい」と伝えられました。「転職の自由」は本人にあるにしろ、通常、社員がクライアント企業に転職することを、たいていの派遣会社は認めないでしょう。
しかし、私たちは「島で頑張れ」と送り出すことにしました。クライアントの事業が彼の活躍によって発展し、YUIMEとの長期的な取引関係がさらに拡大すれば、お互いに喜ばしいことだからです。
地域に優秀な人材を送り出して地方の農業を活性化
全国には数多くの農業高校や実業高校があります。しかし、その新卒者を農家が採用するのは至難の技です。
第一に雇用する資金の問題。第二に18歳の未経験者をイチから育てる労力の問題。しかし人材は喉から手が出るほど欲しいのです。
私は、この問題をYUIMEが解消できるのではないかと考えています。
(北海道の長芋農家で地元の人と一緒に働くYUIMEのスタッフ)
つまり、農家の代わりにYUIMEが新卒を採用し、一人前になるまで育て上げ、最終的に「第二の故郷」となる地域に返す、というプロセスです。
YUIMEでスキルを身につけて農家に転職。もしくはYUIMEが資金や販売先を支援し新規就農。働き手にとっては、そうしたキャリア形成のパターンも十分にありえます。それを想定した取り組みを進めていくつもりです。
そのようなかたちで地域に優秀な人材を送り出すことができれば、ひいては農業全体の活性化につながります。それはとりもなおさず、あくまでも農業支援という黒子に徹するYUIMEの将来にとっても望ましいことなのです。
次回は、他社でトラブルになった事例などを踏まえ、人材派遣会社を選ぶ際に気をつけるべきポイントについてお話ししましょう。
シリーズ『「人材支援」が結ぶ 経営と就農の新しい道』のコラムはこちら
YUIME(ゆいめ)は、農業の人材派遣・農作業受託を中心に第一次産業をサポートする企業で、産地間連携を基軸に作られた農業人材支援体制、サービスを提供しています。私たちは、全国の農家・事業者の必要な時に、必要なだけの労働力を支援します。また、登録支援機関として外国籍人材を受入れる企業が行うべき義務的支援を受入企業に代わり行うことも可能です。労働力不足でお困りの方は、コチラよりお気軽にお問い合わせください。
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