(YUIME株式会社 取締役 江城 嘉一)
さまざまな地域・品種・業態に人材支援サービスが拡大
(北海道と産地間連携している鹿児島のダイコン農家へ視察に来た京都のネギ農家ともつながりができた)
沖縄のサトウキビ農業での人手不足を解決することから始まったYUIMEの事業。その業績が認められた結果、沖縄県の国家戦略特区の特定機関として認定されました。
そして2019年4月に施行された在留資格「特定技能制度」では、農業分野での特定技能1号外国人の派遣が可能になり、冬は沖縄、夏は北海道など、地域ごとの繁忙期に合わせて移動しながら働く「産地間連携」による人材支援サービスを全国に提供するようになったのは、これまでお話ししたとおりです。
当初はサトウキビやダイコンなどの野菜が中心でしたが、最近ではお茶やイチゴなど、これまで手がけてこなかった作物を栽培する農家とも、取引が始まっています。
このうち、ロックファーム京都さまとは、ダイコン畑の人材支援で北海道と産地間連携している鹿児島の農地に、たまたま視察に来られたことがきっかけでご縁ができました。
代表の村田翔一さんが率いる同社は、メロン並みに甘いトウモロコシ「京都舞コーン」と、九条ネギなどを栽培していて、地域からもお客さんからもモテる「カッコいい農業」を目指している、今注目の農業法人です。
このほかにも、大手インターネット関連企業が運営する農業法人など、新しい業態への人材支援にも積極的です。これまで長期にわたって築いてきたお客さまとの信頼関係を基軸に、YUIMEの人材支援の輪が広がっています。
(人材支援の輪が全国へ拡大中だ)
園芸作物への転換支援「TOYAMA MODEL」を全国へ
民間企業だけでなく、行政とも連携が進みつつあります。
2021年には、富山県が導入する農業分野の作業受託や人材育成などの支援サービスに採択されました。
国内で米の消費量や生産量が減少する今、米の生産から別の作物への転換が求められています。しかし、作業工程の機械化が進んでいる米の生産とは異なり、収穫や調整作業に人手と手間のかかる園芸作物は、高齢化と人材不足のため敬遠されやすいという課題があります。
(富山での実証実験に参加する筆者(後列左端の眼鏡の男性))
そこで、年間を通じて、さまざまな地域でいろいろな農作物に関わってきたYUIMEが手を挙げて、全国それぞれの地域に合った園芸生産支援モデル作りに向けて、農作業の受託や人材育成などの支援体制の構築に参画していくことになりました。
最初のプロジェクトとなる富山県との取り組みを「TOYAMA MODEL」と命名。具体的には、将来的な生産高向上を目指す「玉ネギ」や「キャベツ」を中心に、主に収穫期での畑仕事、選果場での作業工数、必要なスタッフを数値化。さらに、産地間連携を通じて培った、他地域での同品種の作業効率などとも比較したうえで、今後の規模拡大に向けた計画提案と作業受託を行なうべく、現在は検証実験を進めています。
(富山で玉ネギの選果作業に参加する筆者(中央の眼鏡の男性))
「TOYAMA MODEL」は、担い手不足の解消を通じて、営農規模の縮小と耕作放棄地の拡大を防ぐ重要なプロジェクトだと位置付けています。
2021年6月には県西部の砺波(となみ)市で玉ネギの収穫と調整作業の検証を行いました。今後もキャベツや白ネギについても調整作業の検証を行なうとともに、さまざまな地域で、県庁や農林水産省の協力のもと、同様の支援モデルを確立し、播種から圃場、選果場まで一気通貫で作業受託が可能な新しい人材支援サービスの体制を構築していくつもりです。
エンターテインメントで、日本の未来を耕す!
この連載も、最終回なので楽しい話題も取り上げましょう。
BEGIN(ビギン)をご存知でしょうか。沖縄県石垣島出身の3人組で、『涙そうそう』や『島人(しまんちゅ)ぬ宝』などのヒット曲で知られる人気バンドです。
新型コロナウイルスの感染拡大が落ち着くことが前提条件ですが、彼らが、2022年6月3日に北海道の音更(おとふけ)町で行うライブイベント「第25回コンサートツアー2022」を、私たちが運用している「YUIME Japan」(後述)が共催することになりました。
みなさんご存知のとおり、BEGINの楽曲は、土地に根ざした暮らしのなかから滲み出たような、自然や人のあたたかさを感じさせる歌が多く、世代を超えて多くのファンに愛され続けています。
(北海道の音更町で行われるBEGINのコンサートを共催する)

彼らと共に「エンターテイメントで、日本の未来を耕す」をテーマに、大規模農業生産を誇る北海道のなかでも、とりわけ農業が盛んな十勝地方を舞台に、第一次産業が抱える悩みを解決して、元気づけられるひとつの答えにしたいと考えています。
今後、BEGINと一緒に、第一次産業が盛んな各地でコンサートを開催し、全国の農村・漁村を音楽の力で盛り上げていけたら、最高です。
(十勝公演のチケットは一般発売に先駆け、YUIME Japanを通じて会員のための先行発売を行いますのでチェックしてみてください。)
農大生も支援する一次産業の課題解決プラットフォーム
先ほどから登場する「YUIME Japan」とは、弊社が新たに開設した“第一次産業の課題解決プラットフォーム”です。オフィシャル・コメンテーターとして参加している100人以上の専門家が、全国の農林水産業の従事者の悩みに解決策やアドバイスを提供していきます。
農業・漁業ごとに「お金」「ひと」「もの」「わざ」「売り方」「地域」の6カテゴリーを設け、多種多様な困り事の相談を受け付ける、会員登録制のデータプラットフォームです。(登録・利用は無料)
(農業と漁業の一次産業従事者が抱える課題を解決に導くWebサイト「YUIME Japan」)
たとえば「農家レストランでテイクアウトサービスを始める場合、衛生上の注意点は?」「農業部会で世代を越えて円滑にコミュニケーションを取るには?」といった業務上の課題から、「地元の小学校で魚食の魅力を伝える授業をしたいが、アプローチの仕方がわからない」「農家を対象にした婚活パーティはある?」といった一般的な悩みまで、オフィシャル・コメンテーターのアドバイスで解決に導きます。
さらに、2022年春からは「YUIME Japan」が東京農業大学生物産業学部自然資源経営学科の授業に導入されることになりました。
同大学に進学する学生の多くは、実家が農家ではありません。「YUIME Japan」の導入は、新規就農を希望する学生への支援プログラムの一環です。同大学では卒業後のキャリアプランとして就農を選択できるよう、現場で即戦力として活躍できる人材育成をめざしており、「YUIME Japan」はその一助となるでしょう。
YUIMEの「ゆい=結」は、私たちの農業支援事業の出発点である沖縄の言葉です。日本の「100年後の未来」と「今」を結ぶのは、日本経済の基盤である第一次産業の活性化をおいてほかにないと私たちは信じて疑いません。
人材支援を起点として第一次産業のあらゆる場面で直面する多種多様な課題に向き合い、解決を支援し、すべての就業者と共に成長していくことこそ、私たちYUIMEの使命だと考えているのです。(聞き書き:佐々木聖)
シリーズ『「人材支援」が結ぶ 経営と就農の新しい道』のコラムはこちら
YUIME(ゆいめ)は、農業の人材派遣・農作業受託を中心に第一次産業をサポートする企業で、産地間連携を基軸に作られた農業人材支援体制、サービスを提供しています。私たちは、全国の農家・事業者の必要な時に、必要なだけの労働力を支援します。また、登録支援機関として外国籍人材を受入れる企業が行うべき義務的支援を受入企業に代わり行うことも可能です。労働力不足でお困りの方は、コチラよりお気軽にお問い合わせください。
当該コンテンツは、担当コンサルタントの分析・調査に基づき作成されております。
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