GAPとそのメリットについて
AgriweB読者の皆さんは、GAPについてある程度ご存知だと思いますが(基礎知識「経営視点で見るGAP」)、念のために、GAPの概要から説明します。
近年、GAP(Good Agricultural Practice)への注目度が高まっています。農水省はGAPを「農業において、食品安全、環境保全、労働安全等の持続可能性を確保するための生産工程管理の取り組み」と定義しており、GAPを行うことで生産管理の向上、効率性の向上、農業者自身や従業員の経営意識の向上につながるとしています。
また、GAPが正しく行われていることを第三者機関が審査・証明する「GAP認証」を取得することで、農家にとっての利点(販路拡大時に取引先に選択されやすくなるメリット)や、取引先にとっての利点(安心して農家の生産物を使用できる、顧客に安全性を説明しやすいなどのメリット)が生まれます。
GAPの実践を支援する営農管理ソフト
JAグループは、安全・安心な農産物の生産、環境負荷の軽減に配慮した適正な農業生産の実現にむけて、GAPの実践支援に取り組んでいます。
GAPには簡易的な指標はあるものの、生産者自身が考え工夫していくことが必要で、いろいろな項目を整理し管理しなければなりません。また、GAPの認証審査では、多くの書類を審査員の求めに応じて的確に提示しなければなりません。
GAPの実践支援を行っている全農は、そうした課題を解決するために、Z-GISを利用したGAPの取り組みを進めています。
【これまでのGAP認証取得支援の結果に基づく様式例】
一般に、GAP対応と表示される営農管理ソフトは、「地図を表記してリスク分析ができる」「農薬・肥料の使用記録が自動でできる」など、日々のGAP管理の一部に使えるものです。
このような機能ももちろん大事ですが、GAP管理では、リスク評価や規定規約の管理も重要です。これらを、認証審査の際、審査員の求めに応じて、フォルダから書類を出して掲示するには、これらの営農管理ソフトだけでは不十分な場合があります。
今回紹介する営農管理システムZ-GISを利用したGAPの取り組みは、アプローチが少し違います。
Z-GIS活用によるGAP審査を見据えたデータ管理
今回紹介するのは、リスクの見える化とGAP普及の拠点となるために、令和2年3月にJGAP認証を取得したJA全農ぐんまの事例です。
令和3年3月のGAP取得1年目の維持審査で、新たにZ-GISを導入し、審査に合格しました。GAPでZ-GISを利用するこの取り組みは全国で初となりました。
GAP審査を見据えたデータ管理方法
【圃場や施設を起点とした管理のイメージ】
GAPは、生産に使用するすべての圃場や施設を明確にすることからはじまります。圃場や施設のリスク評価を行い、その管理手順をマニュアル化し、記録を残すといった作業が必要となります。
Z-GISは、起点となる圃場や施設情報を地図上に表記して、総合的に管理できるため、GAP管理に適したシステムです。
【Z-GIS上での圃場、施設、設備などの管理画面】
GAPでは、第三者が客観的に作業内容を確認・把握できることが重要です。Z-GISのさまざまな機能(色分けや補助図形、写真格納など)で、作業やリスクの見える化を行い保管・表示することで、農場と現場管理の状況を第三者が把握できるようになりました。
【凡例を色別し、サイトの状況やリスクを見える化】
【出荷経路を見える化】
また、ハイパーリンク機能を活用し、Z-GISから資料格納フォルダにアクセスできるようにしたため、膨大な数のマニュアルや帳票類を体系的に管理することが可能になりました。審査員の求めに応じ、リスク評価や規定規約の管理フォルダ、農薬管理簿などを直接、パソコンのディスプレイ上で表示・確認し、審査を受けることができました。
【Z-GIS上でのマニュアルや帳票類の管理のイメージ】
これにより、紙書類の印刷・作成が不要となり、これまでの書類とデータの二重管理から解放されました。審査員も、審査時の確認がしやすいと評価しています。
このほかにも、Z-GISの写真格納機能を利用し、整理・整頓した現場を撮影保管することで、パソコン上で格納状態や格納場所の写真や、掲示物の写真などの現場状況を確認できます。また、自身でも管理の再確認ができ、第三者(審査員)が写真を見て視覚的に把握できるため、審査をスムーズに受けることができます。
【リスク管理箇所の写真を添付し、リスクを見える化】
Z-GISを活用したGAP管理は、個人で取得するGAP認証や、GAPの団体認証など、さまざまな場面で活用できます。
全農は、この取組みで、JAグループで使用するGAPの管理様式を共通化し、Z-GISクラウド上で管理することでJA指導の効率化を進めています。また、コロナ禍で、審査会社が審査の一部をリモート化することを模索する中で、Z-GISを利用したプログラムの設定を働きかけ、書類のデータ化による審査費用の軽減も狙えるよう進めていく予定です。
【Z-GISクラウドを介した資料管理のイメージ】
Z-GIS GAP活用マニュアル https://z-gis.net/99/usage/gap.html
全農耕種総合対策部GAP推進課 03-6271-8153
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