(気象予報士 寺本卓也)
皆さんこんにちは。農てんき予報士の寺本卓也です。
いきなり私のおしりのアップですみません。何事も挑戦する事が大切という思いから、オリンピックで流行りのスノーボードにトライしました。ミーハーですね。沢山コケました。おしりが半分に割れてんじゃないかと思うくらい痛かったです (割れてるか)。でもこの後、少し滑る事ができるようになりました。翌日体はボロボロ。37歳、心は20歳(はたち)。色々やる気はあるんです。新年度もチャレンジ精神をもって、張り切ってスタートです。
雪形が春を知らせる
福島県には、春の到来を感じさせる風物詩があります。桜の事?いえ、今回は桜ではありません。冬の終わりを告げる「雪形」です。春になると、高い山などでは雪の解けた地面の形が人や動物に見える事があります。これを「雪形」と呼びます。日本各地に雪形は存在し、かつては農作業開始の目安に用いられていました。
田植えの時期を知らせる自然のサイン
福島県での取材を通して「今では、あまり雪形を農作業の目安にしている農家は少ないですね。」という話をちらほら聞いていました。そんななかで、福島県大玉村のあだたらドリームアグリさんは、雪うさぎ(雪形)の出現を、今でも田植え時期の目安にされていました。
また、雪うさぎが現れる事で、豊作が期待できるというのです。「雪形がはっきり出るシーズンは雪が多く、栄養たっぷりの雪解け水で稲がよく育つんだ。近年は暖冬で雪形が出ない時もある。」そうお話してくれました。
地球温暖化で「雪形」消滅か
気象庁の発表によると「このまま地球温暖化が進めば、将来的に日本は暖冬で北海道の一部を除き雪の量が減少する。」との研究結果が出ています。その一方で、今シーズンのような局地的なドカ雪が発生する可能性も残るとしています。地球温暖化は夏だけでなく、冬の天候も極端にさせるおそれがあるというのです。豊作をもたらす雪うさぎですが、このまま地球を痛め続ければ、二度と現れなくなってしまうかもしれません。地球温暖化を防ぐ事がやはり大切なんだなと感じます。
春の嵐「爆弾低気圧」に注意
ここから今回の本題です。農業にとって春の天気で注意したいのは霜ですね。ただ、霜については先月触れましたので詳しく知りたい方はぜひ前回のコラムをご確認下さい。もう一つ注意したいのは、急速に発達する低気圧、いわゆる「春の嵐」です。「爆弾低気圧」などとも呼ばれますね。その威力は凄まじく、時には台風並みの暴風や大雨となる事があります。前線が通過する時には、雷や竜巻なども発生します。この時の雷を「春雷」とも呼びます。
なぜ春は、低気圧が急速に発達する?
では、なぜ春先は低気圧が急速に発達しやすいのでしょうか?それは低気圧の仕組みを深堀りすると理解できます。簡単に説明すると低気圧は「温度差」で生まれます。「暖かい空気」と「冷たい空気」の温度差が大きければ大きい程、低気圧は発達する訳です。ですから春先は、南から春本番の暖かい空気が流れ込む一方、まだまだ北からは雪を降らせるような冷たい空気が流れ込むため、より一層低気圧が発達しやすい季節なのです。
天気が荒れるかどうか、簡単に分かる方法
事前に荒れた天気が来るかどうかを把握するには、日々テレビやラジオの天気予報を確認するのが一番です。しかしながら、日々仕事で忙しく天気予報を確認できない方は多いと思います。そんな皆さんにおすすめしたいのは、「早期注意情報(警報級の可能性)」です。これは5日先まで警報級の荒れた天気になりそうな時、「高」、「中」の2段階で危険度を事前に知らせる情報です。災害への心構えを早めに高める事を狙いとしています。気象庁ホームページの注意報・警報の画面で確認できますので是非ご活用ください。
新入社員よ、ニラのように力強く
話は変わりますが、4月と言えば、入学式、入社式と人生の節目を迎える季節でもありますね。私の新入社員時代は、数えきれない失敗や過ちを犯しました(現在もですが・・・)。発注書を紛失したり、注文と違う商品をお客様に送ったりと、今考えると思い出したくない過去ばかりです。だめな社員だったので毎日上司に怒られました。そんな私ですが、とにかく前向きに頑張ろうとやってきました。そう「ニラ」のように力強く。私は先日、春が旬のニラを栽培する加藤さんを取材しました。
新地町は温暖な気候
新地町は浜通りの最北、宮城県との県境に位置します。東北地方でもこの浜通りは特殊な気候です。夏場は涼しい海風が吹く事で暑くなりすぎません。冬場でも晴れる日が多く、気温も比較的高いため一年を通して温暖な気候です。
ニラの生命力は凄い。一年で6回収穫
ニラの生育適温は25℃。「新地町は育てるのにちょうどいい。」と加藤さんはお話してくれました。新地町産のニラは植える本数を少なくして「太く」、「肉厚がある」のが特徴。ニラは生命力が強く、一度収穫してもまた切目から葉っぱがのび30日程度でまた収穫できます。多い所では、一年で6回収穫する地域もあるとの事でした。どんなに切られても葉っぱが伸びるニラの生命力は凄いですね。
スマートフォンで生育管理
そして、毎回恒例となってきました、最先端のスマート農業技術をこちらでも駆使していました。ハウス内の環境(気温、湿度、土の中の温度、土の中の水分量、日照など)がスマートフォンにてリアルタイムで見られる仕組みとなっています。またコンセントは必要ありません。日照を測るソーラーパネルがそのまま電池替わりとなるため、ただ畑に差し込むだけと設置も簡単。加藤さんは、「土の表面が乾いていても、実際根っこの部分の土は湿っている事が分かったので水をやりすぎる事もなくなった。」と話してくれました。
今年の4月は暑いかも?
そんな、最先端の農業をされている加藤さんですが、それでもやはり気になるのはこの先の天気との事でした。4月は露地物のニラを新たに植え付けるため、天気や気温が重要です。
最新の1か月予報を見てみると全国的に気温が高く暖かい4月となりそうです。日中の高温に注意ですね。また朝晩は冷えて霜の降りる可能性もまだまだ残っています。天気は短い周期でコロコロ変わる見込みです。今月は春の嵐と温度管理に十分お気をつけ下さい
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