(CCCマーケティング総合研究所 深井 翔)
社会や生活様式の変化、生活者の行動や意識の変化、世代や地域の特性把握、産業動向レポートの発信など、大学や研究機関とも、“生活者に一番近い存在のシンクタンク”としてさまざまな取り組みを行っているCCCマーケティング総研です。
こんにちは。CCCマーケティング総研の深井です。
7000万人を超えるT会員の多種多様なTポイント提携先での購買データ、外食グルメサイトの口コミ・Twitter・TVメタデータなど、様々なデータを分析し、抑えておくべき食のトレンドをさくっとお伝えします。皆様の事業のヒントになれば幸いです。
最近の3カ月(21年12月〜22年2月)の食のトレンドの推移を追っていたところ、気になるメニューが伸長していることがわかりました。
カネルブッレ・マヌルパン・ボンボローニといった見知らぬパンメニューとビーフバーガー・チキンバーガーといったハンバーガーメニューがトレンドランキングの上位にありました。農産物視点でも伸長傾向のカテゴリーにヒントがあるかもしれないと思い、テーマにさせて頂きました。
最近3カ月で伸びている「パン・ハンバーガー」 ※期間21年12月〜22年2月
まず、パン・ハンバーガーを含んだ「パン・ピザ・ハンバーガー」カテゴリーのメディア・業態別の現状を分析しました。すると、外食チェーン店、Twitter、スーパーマーケットで伸長していることがわかります。
外食のテイクアウト(UberEats)やスーパーのベーカリー・加工食品パンでカテゴリーが伸長傾向と予測できそうですが、店内仕入れの農産物の惣菜加工や季節メニューといった点などで、農産物目線でも企画のヒントになりそうですね。

「全カテゴリー」の総合トレンドランキングはコチラ!!
該当カテゴリーに絞らず、全カテゴリーの最近3カ月の総合トレンドランキングを分析してみました。
すると、パン・ハンバーガーメニューが上位1〜10位のうち、6割を占めており、最近で伸長しているカテゴリーといえるような結果になっております。
マリトッツォの人気は落ち着き、「カネルブッレ」(スウェーデンのシナモンロール)、「マヌルパン」(韓国発のガーリックパン)、「ボンボローニ」(イタリアの国民的な菓子パン)が上位にランクインしております。また、「ビーフバーガー」「チキンバーガー」もランクインしており、食カテゴリー全体においても「パン・ハンバーガー」カテゴリーは伸長傾向にある分類であると推測されます。

最近3カ月のメディア・業態別のパン・ピザ・ハンバーガー分類のトレンドランキング
次に、対象カテゴリーをパン・ピザ・ハンバーガー分類にして、メディア・業態別のトレンドランキングを分析しました。
先ほど、カテゴリー伸長していた外食チェーン店口コミ、Twitter、スーパー購買を中心に見ていくと・・・・
それぞれ業態別にランクインしているメニューが異なるため、メディア・業態それぞれの特徴がメニューに明確に表れている点が、当カテゴリーの面白さではないでしょうか。

「ハンバーガー・サンド」の最近3カ月(21年12月〜22年2月)のトレンド総合ランキング
対象カテゴリーにおけるトレンド総合ランキングのうち、ハンバーガー・サンドで上位にランクインしたメニューを緑枠で記載しました。
ビーフバーガー・チキンバーガー、メンチカツサンド、ロースかつサンドなど「肉」系のバーガーが上位にランクインする傾向にあるようです。
クロワッサンサンドやパストラミサンドといった「サンド」メニューも伸長メニューです。

トレンドかつまだ流通において購買未発生“ハンバーガー”を把握
トレンドの兆候たる外食オーナー口コミ・Twitter・WEB検索で伸長出現するにもかかわらず、流通では購買未発生のメニューを知ることで、今後どのようなハンバーガーにチャンスがありそうかを予測しました。まず、「ご当地」のハンバーガー(緑枠)という特徴があります。
そして、「ビーフバーガー」は5メディアで出現しており、Twitterでも伸長しているため、流通でのチャンスがあるかもしれませんね。

「パン」の最近3カ月(21年12月〜22年2月)のトレンド総合ランキング
対象カテゴリーにおけるトレンド総合ランキングのうち、パンのTOP10にランクインしたメニューを赤枠で記載しました。
トレンドメニューとして認知がされているマリトッツォやマヌルパンは出現メディア数5と多くのメディアで出現していますが、カネルブッレ・ボンボローニはまだ、流通展開していない新しいメニューといえます。

まだ流通において購買未発生の“パンメニュー”を把握
トレンドの兆候たる外食オーナー口コミ・Twitter・WEB検索で伸長出現するにもかかわらず、流通では購買未発生のメニューを知ることで、今後どのようなパンにチャンスがありそうかを予測しました。赤枠にあるように、甘いパン伸長率が高いため、朝食・昼食・間食と広い食シーンのあるパンにチャンスがあると予測できるような結果です。

サクッとわかるパン・ハンバーガーのトレンド
農産物目線では、あまり考えることはない調理パン・菓子パン・プレーンパン・ハンバーガーのトレンドを今回は紹介しました。
コロナとの付き合いも長期化する中で、在宅・出勤・コワークスペースなど多様な働き方が容認される中、私たちの朝食・昼食・間食もそれに影響を受けているとデータを見ると感じております。
そんな中、活躍する食シーンの広く、リピート率も高いパン・ハンバーガーのカテゴリーは最近3カ月でも伸長しているカテゴリーとわかりました。
地場の農産物を活かしたご当地ハンバーガーや、新しいプレーンパンとのサラダプレートの提案など、パン・ハンバーガーの間口の広さを活かした提案のヒントになったら幸いです。
以上
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当該コンテンツは、担当コンサルタントの分析・調査に基づき作成されています。
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