ナカバヤシのにんにくは、現在、大半が青果として市場へ出荷していますが、一方で、黒にんにくや、冷凍ピューレ、おかき、ソースなどの加工品も販売しています。加工品販売の発端は、そのままでは市場には出しにくい、りん片が欠けてしまったものや、サイズが小さすぎるものなど、それまで安価で加工業者に引き取ってもらっていた規格外にんにくを、自社で加工品を企画販売することで価値ある商品に生まれ変わらせることが目的であり、農業の6次化へチャレンジすることでもありました。
代表的な事例として、同じ但馬地域のおかきメーカーの株式会社げんぶ堂(以下敬称略)と一緒につくった「にんにくおかき」、同県内神戸市のオリバーソース株式会社とのコラボ商品「にんにくウ★ソース」の2点をご紹介します。
■コラボ商品紹介
①にんにくおかき
地元老舗おかきメーカーの株式会社げんぶ堂と協力して作ったにんにくおかきです。国産100%のもち米に最高級ブランドホワイト六片「やぶひめ」を細かく刻み、ローストチップにしたものを練り込んで香ばしく焼き上げました。食べた瞬間にんにくの風味が広がり、後に引く美味しさに仕上がりました。お酒のおつまみ、おやつにおすすめです。現在、プレーン・ブラックペッパー・梅・バター醤油の4味を展開しています。
なお、脱プラ・廃プラを意識して、プラスチックフィルムに替わる紙製バリア素材「シルビオバリア」を使った紙パッケージを使用することで、環境対策商品のモデルケースにもなっています。
②にんにくウ★ソース
かけてよし!ひたしてよし!つけこんでよし!の 万能調味料…。甘味の効いたウスターソースに しっかりにんにくの風味が絡んでいます。オリバーソース株式会社はソースの町 神戸の老舗企業です。同じ県内企業として、兵庫県を盛り上げることで意気投合し、開発に至りました。
■ 野菜コラボ商品のモデルケースに
加工食品×加工食品のコラボ商品はよく見かけますが、それに比べて、ブランド野菜(青果)そのものとのコラボ商品は少ないように感じます。これは、加工食品を取り扱う企業同士が、そのスケールメリットを活かしてできる取り組みであるからと予想されます。それに対して、農家や農業法人の場合、コラボ相手との接点を持つ機会が少なく、対応する企画担当者が存在しないといった状況があるのではと考えられます。
ナカバヤシが現在展開する加工品は、いずれもナカバヤシが販売者となっています。これは、既存事業である製品販売やルートセールスで培ってきた、商品化のノウハウや販売ノウハウを農業部門に活用しています。野菜の生産者側が販売者となっていることは、農業界を見渡しても、新しく珍しい事例といえるのではないでしょうか。
規格外品を有効活用することは、SDGsのターゲット 12.3「収穫後の損失を含めて生産・サプライチェーンにおける食品ロスを減らす」ことにも繋がってくると考えています。農林水産省の食品ロス量(令和元年度推計値)によると、日本国内で年間約570万トンの食品ロスがある現状です。これは、国⺠1⼈当たりに換算すると1⽇ 約124g、お茶碗約1杯のご飯の量に近い量を、全国民が日々ロスしていることを意味します。
どの作物でも、規格外品は必ず発生するものでありますが、今回ご紹介した商品は、規格外品を有効活用することで、食品ロスを削減し形を変えてアップサイクルするというモデルケースになれば幸いです。
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