(CCCマーケティング総合研究所 深井 翔)
社会や生活様式の変化、生活者の行動や意識の変化、世代や地域の特性把握、産業動向レポートの発信など、大学や研究機関とも、“生活者に一番近い存在のシンクタンク”としてさまざまな取り組みを行っているCCCマーケティング総研です。
こんにちは。CCCマーケティング総研の深井です。
7000万人を超えるT会員の多種多様なTポイント提携先での購買データ、外食グルメサイトの口コミ・Twitter・TVメタデータなど、様々なデータを分析し、抑えておくべき食のトレンドをさくっとお伝えします。皆様の事業のヒントになれば幸いです。
最近の3カ月(22年3月〜22年5月)の食のトレンドの推移を追っていたところ、気になるメニューが伸長していることがわかりました。
今回は、粉もののトレンドをご紹介します。
鉄板を囲む、食べ歩きなど密になりがちで苦戦していた外食の復調はもちろんのこと、食品流通でも微増している粉モノのトレンドを分析し、紹介します。
最近3カ月で伸びている「粉モノ」(お好み焼き・たこ焼きなど) ※期間22年3月〜22年5月
まず、「粉モノ」(お好み焼き・たこ焼きなど)カテゴリーのメディア・業態別の現状を分析しました。
すると、外食、Twitter、スーパーマーケットで伸長していることがわかります。
今後、小麦粉の高騰により手軽さや頻度に影響は出ると思いますが、昼・夕食はもちろん、間食など様々なシチュエーションで食べやすい粉モノの伸長に着目しました。
流通目線だと、店内仕入れの農産物の惣菜加工や季節メニューといった点などで、農産物目線でも企画のヒントにもなります。
また、アウトドアなど外に向けてホットプレートの活用が増える季節になっていくので、企画の参考になると幸いです。

「粉モノ」の総合トレンドランキングはコチラ!!
粉モノの最近3カ月の総合トレンドランキングを分析してみました。
特に、ご当地(橙枠)、チヂミ(赤枠)・エスニック系(緑枠)など、定番のお好み焼き・たこ焼きだけではないメニューが散見されます。
梨泰院クラスなどのTVの影響を受け韓国メニューが伸長傾向にありますが、チヂミも家庭にある手軽な食材で作れるために、本場韓国でも昼食や夕食としてはもちろん、小腹が空いた時につまんだり、おつまみとして食べたりと色々なシーンなど、汎用性の高いメニューといえます。
同様に、エスニックのお好み焼きがランクインするなど、まだまだ粉モノが毎日の食卓において、広がっていくポテンシャルはあるように感じます。

最近3カ月のメディア・業態別の粉モノ(お好み焼き・たこ焼き)分類のトレンドランキング
次に、対象カテゴリー分類における、メディア・業態別のトレンドランキングを分析しました。
先ほど、カテゴリー伸長していた外食口コミ、Twitter、スーパー購買を中心に見ていくと・・・・
それぞれ業態別にランクインしているメニューが異なるため、メディア・業態それぞれの特徴がメニューに明確に表れている点が、当カテゴリーの面白さではないでしょうか。粉モノでは、流通のメニューは定番が大半ですが、外食やSNSでは新たなメニューが散見されております。

コロナ禍で伸長傾向だった肉メニューが停滞
実は、22年3-5月の直近のトレンドについて、これまで好調だった肉メニューについて取り上げようと思ってましたが、想定より鈍化傾向にあったため、伸長している粉モノを取り上げました。肉メニューでは、食べ歩きに強い肉まん等、これまで苦戦していたカテゴリーが伸長する一方、伸長していたその他肉料理(ジャークチキンなど)は停滞しています。外食・レジャーの回復など、人の動きの変化に合わせたメニュー提案が問われていると考えます。

チヂミ 時系列グラフ
全体的に3〜5月付近に伸長傾向があるチヂミ。
外食オーナー店、Twitter、スーパー購買では、季節性は同様であるものの、前年に比べて伸長傾向にあります。
トレンドを形成するメディアから、足元のスーパーマーケットでも伸長しているチヂミは、提案の仕方次第で、在宅の間食からレジャーまで幅広いニーズに対応できるメニューかもしれません。

パジョン 時系列グラフ
ネギをたっぷり使ったチヂミであるパジョンは、Twitterを筆頭に伸長しているが、まだ流通での出現はほとんどないトレンドのタネといえそうです。

バイン・セオ 時系列グラフ
ベトナム風お好み焼きのバイン・セオですが、数年前から出現しているが、メディアでは一定の出現が続いているものの大きな伸長はありません。
原料が米粉であり、小麦粉が高騰する中で着目される米粉を使ったお好み焼きという文脈で、食べ方や味付けによっては、ニーズが増えるかもしれません。

ウッタパム 時系列グラフ
米粉や豆粉などにトマトやたまねぎなどを混ぜて焼いたお好み焼き風の南インドの料理です。
バインセオ同様に、原料が米粉です。まだまだTwitterでの小規模出現のみですが、
同じカレーをつけるにしても小麦粉を原料にしたナンと異なり、新しい食メニューのタネになるかもしれません。

べた焼き 時系列グラフ
古くから京都下町で食べられてきたお好み焼きのようなものです。外食オーナー店・Twitterで伸長してます。
同様に伸長しているご当地お好み焼きでは、三津浜焼き(外食オーナー店・Twitter・WEB検索)、遠州焼き(Twitter)も、トレンドメディアを軸に伸長しています。
食品流通ではまだですが、ウーバーイーツでの宅配など、流通網が増えた昨今、どのように提案するかで、ご当地を日常の機能的な価値に落とし込める可能性はあるかもしれません。

サクッとわかる粉モノのトレンドより
ずっと伸長傾向であった肉料理ではなく、前回vol.2のパンや今回vol.3の粉モノのように、朝・昼・夕・夜・間食と手軽かつ様々な食シーンに対応できる食品が伸長しております。
さらに、原料の高騰や外食・レジャーの回復といった刻一刻と変化する市場、生活者のニーズを踏まえると、お好み焼き、たこ焼きといった粉モノも、従来のホットプレート内食提案や中食惣菜提案の範囲にとどまらない可能性を秘めていそうな気がしています。
手軽に野菜が取れたり、食べ応えはもちろん、ソース次第で様々な味を楽しめる粉モノは、サンドなど間食向けにこれまでになかった食形態での提案、ホットプレートを活用した手軽な本格メニュー提案など、新しい可能性のヒントになったらと感じております。
これからも在宅・出勤・コワークスペースなど多様な働き方が容認される中、私たちの朝食・昼食・間食など食シーンの変化に紐づく形で変化する食トレンドを知ることが、これからの提案を考えるヒントになったらと思います。
以上
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当該コンテンツは、担当コンサルタントの分析・調査に基づき作成されています。
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