コロナ禍でのコンテンツ作り
2018年からは第1回に書きました株式会社果実企画の移転計画がスタートします。2019年12月には完成、2020年にはドライフルーツでもう一旗揚げる計画でしたがコロナ禍で動けなくなり、親会社の観光農園も少なからず影響を受けました。「巣ごもりいちご狩り」など全国から取材を受けたりしたコンテンツも生み出しましたが、コロナ前に戻せるようなインパクトはありませんでした。
Eピックの誕生
そんな中、2021年9月頃から始まったのが「イチゴのヘタ入れ脱プラ化計画」です。約90aのイチゴの圃場があり年間2万人以上のお客様にいちご狩りを楽しんでいただいており、お客様に必ずお渡しするのがプラスチック製のヘタ入れです。これを紙にしたい、且つ手で持たないスタイルにしたいと考えました。SDGsの12番、「つくる責任つかう責任」を見たことからもインスピレーションを得ました。紙で手に持たない、この2つのポイントをクリアすべくコピー用紙で毎日折り紙をしました。年末に試作が完成し、紙加工業者と材質、コスト面などの工夫を何度も繰返し2022年3月に全国リリースを迎え、同時に特許の申請も行いました。
「Eピック」と名付けたヘタ入れは紙でできており、紙紐を通して首にぶら下げていただくような仕様です。ECO・EASY・ENJOYの頭文字のEです。練乳を使われるいちご園様の要望にも応えた形にもなっております。大人の方から、小さなお子様にも使っていただけますので親御さんも喜ばれています。また園主の方にもハサミで収穫しやすくなることからイチゴの株が痛むことが少なくなります。その他にも折って作るのが楽しいとか、写真を多く撮っていただけるなどのメリットもございます。DMの形式で全国のいちご狩り園に送らせて頂きアンケートを同封したことから多くのご回答を頂きました。2022年11月に始まる本格的ないちご狩りシーズンを前に全国販売に向けて準備を進めております。

若い世代の従業員とともに
前述いたしました長野県にドライフルーツの工場を設立すべく動いていた2007年に3代目代表の平田真一と共に役員に就任して15年が経ちます。今は新しい若い役員にも加わってもらい私は2021年より専務取締役として業務にあたっております。就職した2000年のころから比べれば売上も従業員数も倍になりました。
観光農園の先駆けとして一つの完成形を目指すべく、教科書のないところでもがいている感じですが、生み出してきたコンテンツのおかげか全国から就職希望の若者が集まってくれています。観光農園という販売手法が農業へのハードルを下げているのかもしれません。最近では果物を作りたいというパティシエも就職してくれました。彼女に気付かされたのですが、色々な果樹が作れるってすごいことで、園内でスイーツや加工品に出来るってこれまたすごいことなのです。

これからもFruitholic
樹上完熟した果物をそのまま食べるのは、数ある食べ方の中の一つです。賞味期限20秒のシャインマスカットペチーノから賞味期限20分のシャインマスカット丸ごとパフェ、賞味期限6カ月のシャインマスカットジャム、賞味期限1年のシャインマスカットの干しブドウ。古い社訓や経営理念も事務所に貼られていますが、社用車には「We are all fruitholics」とステッカーが貼ってあります。果物のすばらしさをお届けすべく「くだものバカ」な、連中がこれからも毎年コンテンツを生み出せるよう私は先頭を走っていきたいと考えています。
平田観光農園のHPはこちら
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当該コンテンツは、担当コンサルタントの分析・調査に基づき作成されています。
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