アグリウェブのみなさん、こんにちは。(株)アグリグローバルデザインの西川です。
前回コラム(前編)では、海外消費者が越境ECで求めるのは、訪日観光時における「食体験の再現」であり、日本の商品を購入することで、「再体験」することであるとお伝えしました。
今回のコラム(後編)では、越境ECに掲載されている数ある商品の中から、外国人がどのような点を重要視して、商品を選んでいるのかを解説していきたいと思います。
ポイントは「ニーズの正しい理解」
越境ECへの出品に向けたポイントは、市場ニーズに合った商品開発・改良に尽きると考えます。
越境ECへ出品するには、「通販サイトに適した商品」「海外輸送に適した商品」「海外市場のニーズに合った商品」など、国内通販や海外の小売店舗、飲食店舗向けとは違うことを理解し、商品を評価する必要があります。
海外消費者が越境ECに求める価値を理解しよう
越境ECの場合、消費者が求める価値が重要になってきます。その上で、商流の利便性、販売先の輸入規制を考慮する必要があります。また、海外の消費者の特徴は、食文化などの商品ストーリーとSDGs等の共感価値が重要になってきます。
<一般的な海外マーケットが求める価値>
海外消費者の評価軸
商品評価項目は17項目あると考えます。
<商品評価17項目>
訪日時の食体験
日本の食文化は、類似する他国商品が普及していても、商品のストーリー性、育まれた産地の風土など特徴を訴求でき、且つ訪日経験との連動性が高い重要な評価項目です。
販売価格
越境EC商品の原価には、大ロットで輸送する場合のコストと比較して割高になると言えます。その輸送コストの割高感が消費者に伝われば、購入に慎重になる可能性があります。
消費者目線で、どのような商品(組み合わせ)設定するかによって印象が変わります。商品のオリジナリティをどのように出していくかがポイントです。
嗜 好
嗜好の多様化が進んでいます。どのような消費者層に購入してもらいたいか、ターゲティングをより絞って考えていくと良いでしょう。
ライフスタイル
嗜好と同様に多様化が進んでいますが、トレンドを読み取ると良いでしょう。例えば、高齢化、外食、共働き、ギフトの習慣性等です。
利便性
消費者が望むリードタイム、期待通りの品質保持で届けるために、EC事業者とサプライチェーンについて確認する必要があります。通販でクレームが多いのは、遅延と瑕疵であることを理解すると良いでしょう。
商品瑕疵のクレームは、生産者のブランドも影響を受けます。
商品開発・改良に向けて相談しよう
商品開発は、バリューチェーン・サプライチェーン構築の川上と考えます。商品開発から消費者に届くまでのステップを俯瞰して検討しましょう。
バリューチェーン・サプライチェーン構築するための連携先が分からない場合は、輸出コンサルティング会社等に相談しましょう。単独で考えるには、労力と時間がかかります。
<川上から川下までのバリューチェーン・サプライチェーン>
産地(1次農産物/2次加工原料の農産物・生産者)
販売先国・地域の求める輸入規制を知ることやまたその原料の調達先・一次加工先を探す必要があります。輸入規制等は、ジェトロの輸出相談窓口または輸出コンサルタントに聞いてみましょう。
商品化
販売先国・地域の求める市場ニーズにあった食味、サイズ感等商品開発に取り組む必要があります。農林水産省のホームページやジェトロのホームページで見てみましょう。
流通
販売先国・地域の求めるリードタイム、価格を把握し、海上又は航空貨物など選択しなければなりません。掲載しようとしているサイトなどに聞いてみるのがおすすめです。
販路
商品を購入するターゲット層が閲覧する越境ECサイトなのか、掲載商品や販売価格を見て判断する必要があります。
ブランディング
越境ECに掲載しても消費者に価値を認知してももらわなければ購入に至りません。ターゲットとしている購入層にとって関心の高い訴求方法など工夫する必要があります。
訪日体験がもたらす販路拡大の好機
日本には、変化に富んだ山、川、海、土地という世界でも類まれな魅力のある風土があります。その風土に育まれた農林水産物・食品があり、そこから生まれた日本の食文化が存在します。その魅力を求めて外国人が訪日するのは「必然」です。
この機会を最大限利用して、訪日外国人との交流を深めて帰国後の購入、そして再訪してもらうことが、今後、日本を豊かにするためには不可欠と考えます。
島国である日本にとって、これまで「輸出」には大きな壁がありました。そこを逆手に取った「訪日体験が生む販路拡大」に舵を切った取り組みが、農業者にとっても販路拡大の絶好の機会と考えられます。
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