アグリウェブをご覧の皆さん、こんにちは。渡辺パイプ株式会社です。
私たちはビニールハウスのメーカーであるとともに、設備や栽培技術を含めた総合提案によって、お客様の笑顔のために、ニーズにお応えできる企業を目指しています。
本連載では、農業経営を営む方々が安心して栽培し、農業経営が少しでも豊かになるような情報発信をしていきたいと考えています。
「自然災害の多い日本において農業をするにあたり必要な知識」「農場運営をするにあたり工夫しているポイント」といった情報を中心にお届けしていきたいと思います。
ビニールハウスの天敵は風害!
暖かな陽気が続いたと思いきや、寒気が復活したり、日によっては強風があったりと、不安定な天気にご苦労されている方もいらっしゃるのではないかと思います。
これから本格的に種をまいたり、定植したりするという方も多いのではないでしょうか。
中にはビニールハウスを利用されている方も多いかと思います。
自然に左右される農業において、ビニールハウスはさまざまな天災から作物を守り、想定外のリスクを最小限に収めてくれる頼れる要塞でもあります。
そんなハウスにおいて、被害の原因として最も高いものは何だと思いますか?
それは「風害」です。
下記の統計の通り、被覆資材のはがれのみの軽微なものから、倒壊全損のような甚大な被害までを合計すると、被害全体の8割以上を風害が占めます。
<ハウスの被害要因>

台風や強風といった風害による被害発生には様々な要因があります。
今回はそのメカニズムについてご紹介します。
風の影響は予測が難しい
下図はハウス側面から風が吹いた場合、ハウスにどのような力が作用するかを示しています。
<ハウス作用する力>

一方向からの風であっても、ハウスを押す力や引っ張る力がさまざまな方向に働いていることがわかります。
ハウス側面が風を受けると、柱に圧力がかかり変形します。柱の変形とともに、屋根部分は上方に押し上げられます。そして、ハウス上部を通過する風はハウスを引っ張る力を発生させます。
パイプ自体に弾力性があるので、ハウスを押す力が無くなればある程度は元の状態に戻りますが、押す力が強いもしくは積み重なるとハウス全体にゆがみが出てきます。
ハウスの設置方法でも異なる影響
基本は前述の通りですが、立地条件や地形によっても、風の影響は異なります。
例えば山のふもとの場合、斜面にぶつかって上昇しなかった風が戻ってきたり、逆に上昇した風が斜面から離れた場所で強く吹き下ろされたりと、通常の風より大きな被害が発生することがあります。
<被害にあったハウス①>

<被害にあったハウス②>

ビニールハウスの風害例
よくある被害について、2つ事例を紹介します。
ハウス内に風が侵入することによる被害
ほとんどのハウスには、側面に開口部があります。ハウス端部や巻き上げパイプが風であおられて、ハウス内に風が吹き込みます。ハウス内に風が吹き込むとハウスを持ち上げる力が働き、大きな被害をもたらします。
<風の侵入により作用する力>

ハウスを押す力による被害
近年、丈夫なPOフィルムが一般的になりつつあります。この場合、フィルムが破けずにアーチパイプの肩部分から変形する被害が増加しています。また、地盤強度が低い場合、ハウスそのものがズレてしまう場合もあります。
台風などで雨をともなう風の場合、雨で地盤が緩むためにこのような状況が発生しやすくなります。
<ハウスの押す力による影響>

次のコラムにむけて
風によりビニールハウスに被害が発生した場合、ひどい場合では、ハウスで作っている作物が収穫不能となるだけでなく、ハウス自体の再建にも費用が発生するため、農業経営の持続性に大きな影響を及ぼしかねません。
では甚大な被害を抑えるためにはどうしたらよいのでしょうか?
大切なのは「日々の点検・保守を行うこと」です。
次回は点検項目と管理方法のポイントについてご説明します。
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【本コラムの執筆者】
当該コンテンツは、担当コンサルタントの分析・調査に基づき作成されています。
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