アグリウェブをご覧の皆さん、こんにちは。渡辺パイプ株式会社です。
私たちはビニールハウスのメーカーであるとともに、設備や栽培技術を含めた総合提案によって、お客様の笑顔のために、ニーズにお応えできる企業を目指しています。
本連載では、農業経営を営む方々が安心して栽培し、農業経営が少しでも豊かになるような情報発信をしていきたいと考えています。
「自然災害の多い日本において農業をするにあたり必要な知識」「農場運営をするにあたり工夫しているポイント」といった情報を中心にお届けしていきたいと思います。
日々の点検・保守管理
前回のコラムではビニールハウスの風害についてお伝えしました。
風害による被害を抑えるために、今回は日々の点検・保守についてお届けしていきます。
前回もお伝えした通り、ビニールハウスは風の影響を受けやすいため、定期的な点検・保守が必要です。
下図は点検・保守においてチェックするべきポイントを示しています。

この中で、ハウスの耐性・強度を下げる大きな要因は何だと思いますか?
それは「サビ」です。
サビによる強度の低下
ハウスの耐性・強度を下げる主な要因はパイプなどの骨組みに発生するサビです。
<サビにより折れたパイプ>

特に地際部分は最も腐食しやすく、かつハウス強度において重要な役割を果たします。
サビによる強度の低下を防ぐために、やすりを使いサビをすべて落としてください。
その後、亜鉛メッキスプレーなどで塗装し、サビの進行を抑えましょう。
サビ以外の4つのポイント
サビ以外にもハウスの強度を低下させる要因はいくつかあります。
4つの点検ポイントと必要な処置方法をお伝えします。
①パイプ差込部の地盤のゆるみはありませんか?埋込深さは減少していませんか?
集中豪雨などによるパイプ差込部周辺の土の流出やゆるみなどが、ハウスの変形・破損の原因になります。また土が流出してパイプの埋め込み深さが減少すると、風によるハウス浮き上がりが起きやすくなります。見つけたら直ちに埋め戻し、締め固めましょう。

② 接合部のゆるみはありませんか?
接合部のゆるみがあると、ハウス強度の低下に直結します。部品のクサビやボルト・ビスにゆるみがないことを点検してください。ゆるみがある場合は確実に取り付け直しましょう。
③ フィルムの破れはありませんか?
フィルムの破れがあると、その部分から風が吹き込むなどして、大きな被害につながる恐れがあります。 破れを見つけたらフィルム用の補修テープを使って、破損部を補修しましょう。

④ 樹脂製品の劣化はありませんか?
パッカー、ハウスバンドなどの樹脂製品は紫外線によって徐々に白化して劣化します。劣化すると部品の破損とともに風が吹き込むなどしてハウス被害につながることもあります。
ビニールハウスの風害例
<パッカー>

<ハウスバンド>

劣化が確認できた場合、交換しましょう。
強風に対する保守管理
台風・低気圧で強風が予想される際は、以下の項目にも留意してください。
ハウス周辺を片付ける。
ハウス周辺のものが風に巻き上げられて、ハウスを損傷することがあります。
強風が予想されるときにはハウス周辺をきれいに片付けましょう。
巻き上げ部を固定する。
側面のフィルムが風にあおられにくくなるように、あて布変わりにいらないフィルムを挟んでスプリングで固定しましょう。

ビニールハウスの風害対策について記載した前回コラムでは、風害の実態と被害を抑えるための点検と保守についてお伝えしていきました。
風によりビニールハウスに被害が発生した場合、農作物に甚大な被害をもたらすかもしれません。
お使いのハウスが被害にあわないように日々の点検・保守は行うようにしましょう。
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【本コラムの執筆者】
当該コンテンツは、担当コンサルタントの分析・調査に基づき作成されています。
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