アグリウェブをご覧の皆さん、こんにちは。Green Carbon株式会社(代表取締役:大北潤、以下Green Carbon)です。
前回に続き、農業におけるカーボンクレジットの可能性について、ご紹介していきます。
Vol.2の今回は、海外動向、当社の海外展開に関してご案内していきます。
地球温暖化の要因
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、2021年8月に地球温暖化に対する報告書を発表し、地球温暖化の原因が人間の活動にあると断定しております。
気温上昇のシュミレーションにより、人為的要因が気温上昇に起因することが明確化されました。(参照)


※参照:IPCC「Climate Change 2021」
そこで、主要国は各国が定めた基準年比で、2030年までに40%〜50%削減目標・2050年80%〜95%削減目標を立てております。(参照)

※参照:外務省ホームページ

※参照:環境省「各国の長期戦略の概要について」
海外のクレジット創出事例
ただ、目標を掲げるだけでは、温室効果ガスの削減にはつながりません。温室効果ガスの削減を目指す各国の具体的な手段としてカーボンクレジットの仕組みがあり、カーボンクレジットを購入することによって温室効果ガスの削減に貢献することが出来ます。
その温室効果ガスの削減方法には、省エネ・再エネ・自然由来のクレジットがあるのですが、その中でも注目を浴びている1つの手法として、農業由来の農地貯留という方法があります。


※参照:NHK NEWSWEB 2021年8月3日
上記のアメリカで行われたスキームは、大豆農家が畑を使わない春までの間、個人の農地で収穫用ではないライ麦を植え、成長したライ麦を肥料として農地にすき込んだことにより、貯留できた炭素の量をクレジットとして発行しました。その結果、副収入として1,900万円を手にしています。
こちらの事例は、農地が持つ炭素貯留効果により二酸化炭素の排出を抑制することとなるため、その抑制した分をクレジット化できたというものとなります。
採算の検証は必要ですが、畑を使わない間の新たな収入源となる可能性を秘めている事例となります。
このような取り組みは、まだ日本で認証された方法論がないため、今後、Green Carbonでは?海外で実績をあげた取り組みを日本にも展開していく計画を立てています。
Green Carbonの海外展開について
アメリカでの上記の実績もあり、Green Carbonは、海外でのカーボンクレジット創出に向けた取り組みを拡大しております。
現状の主要取引先国は、オーストラリア、フィリピン、ベトナム、バングラディッシュ、中南米地域などで、今後も幅広く展開を進めていく計画です。
オーストラリアでは支社を構え、炭鉱跡地や土地の塩分濃度が高く通常種の生育に適さない土地で農地貯留を行うため、現地大学と共同研究を行っています。実際に、塩耐性がある植物や二酸化炭素の吸収量が既存種よりも多い植物をゲノム編集技術を用いて研究開発しています。

また、フィリピンでは、今年の1月より、フィリピン大学と共同で、水田におけるメタンガスの削減を(前回ご紹介した中干し期間の延長とは異なる)、AWD(間断灌水)という方法にて、実証実験しております。


AWD(間断灌水)とは、水を満たした状態と、干した状態とを数日おきにくり返す水管理方法です。3?4日間隔で入水と自然落水を繰り返し、水を管理することで、メタンガスの発生を抑制できる方法となります。
東南アジアの水稲栽培では、2?3期作を実施しているため、1期作の日本に比べて2?3倍のメタンガス削減をすることが可能です。このようにGreen Carbonは世界の脱炭素対策を牽引していくために、海外での実績を作っております。
なぜGreen Carbonは海外展開するのか
Green Carbonが、なぜ海外展開しているのか?そこには答えが2つあります。
1つ目は、広大な農地、土地(未利用地)があるためです。
2つ目は、日本のためです。
広大な農地、土地(未利用地)
ここで農業者のあなたに質問です。全世界の未利用地は、どれくらいあるかご存知でしょうか?
実は、全世界の未利用地は約19.14億haと広大なのです。
この土地をすべて緑にできたら?
Green Carbonで研究開発している植物で緑にすることが出来たら?
CO2の削減効果としては、約60億t-CO2が削減できる見込みです。日本の二酸化炭素総排出量が、約10億t-CO2eのため、6回のカーボンニュートラルを達成できるほどの可能性を秘めております。
そして、Green Carbonがオーストラリアに支社まで構え、取り組んでいる理由は、2点あります。
①オーストラリアの未利用地の可能性(全世界の未利用地の約16%、3.2億ha)
②オーストラリアが、農業大国ということ(国土の約46%、約4億haが農地)
①のオーストラリアの未利用地での削減効果は約10億t-CO2と試算されており、日本の総排出量をカーボンニュートラルに出来る規模を有しています。また、②に関しても、農地貯留の方法論が成り立っていることから、実証を進めやすくなっているのです。
日本の一助に
オーストラリアなど海外で実証実験を進んで行うのは、なんと言っても、日本の可能性を活かすため、日本の農業者につなげていくためです。
農地貯留の方法であったり、減農薬によってクレジット創出が出来る方法論など、日本では未承認な方法論があります。海外で実証されたこれらの方法論が認証されれば、普段から行っている農作業にひと工夫を加えることで、本業以外での副収入を得る可能性が広がります。
そのようなことが実現すれば、日本の農業者の一助になると考えているのです。
海外での先行実績を積み重ねているのは、そのような思いからです。
その最初の取り組みとして、前回ご紹介した『稲作コンソーシアム』があります。『稲作コンソーシアム』を皮切りに、農業者が少しでもカーボンクレジットで副収入で潤っていくことを体験して頂きたいと考えております。
次回、Vol.3ではGreen Carbonの国内でのカーボンクレジットの動向などを紹介していきたいと思います。
◆本件に関するお問い合わせ先
稲作コンソーシアム参加希望の方は、右矢印をクリックのうえご相談ください。
この記事の執筆者:Green Carbon株式会社
当該コンテンツは、担当コンサルタントの分析・調査に基づき作成されています。
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