(株式会社ウェザーマップ 寺本卓也)
こんにちは。農てんきな気象予報士の寺本卓也です。
野球界で異次元の活躍をされている大谷選手、本当に凄いですよね。一方、日本列島は異次元の暑さが続いています。皆さん体調は大丈夫ですか。
東京は7月24日以降、8日連続で35℃以上の猛暑日が続き(7月31日現在)、まさに記録的な暑さとなっています。
一体この暑さはいつまで続くの?と皆さん気になる所だと思いますが、もしかすると、秋まで続くかもしれません。
そんなの冗談でしょ、と思いそうな話ですが、いくつか理由があります。今回はその気になる暑さや天気について、いつも通り詳しく楽しくお伝えしていきます。
では今月も農てんき早速スタートです。
猛暑で桃の生育早く
今年は春から暖かい日が続いた事と、また猛暑も相まって桃の生育が早まりました。
福島の桃の主力品種「あかつき」は平年より約1週間早い収穫を迎えています。
遅霜の影響は多少ありますが、病気の発生は少なく暑さで甘味も増してとても美味しい出来となっています。
「あかつき」は本来お盆の頃に出荷のピークを迎えますが、生育が異常に早まった事から、今年はそれよりも前に収穫を終えてしまう可能性があるとの事です。
一番売り上げに繋がるお盆商戦に桃がないという事態になりそうで、農家の収入にも影響が出てくるかもしれません。
災害級の暑さ続くか
では、気象庁発表の最新の1か月予報(平均気温)を見ていきましょう。
今月も日本付近は暖かい空気に覆われやすく、東・西日本で高く、北日本でも平年並みか高い気温の予想となっています。
先月に続き、各地で猛暑が続く見込みです。
今月も各地で体温を超えるような気温が観測され、災害級の危険な暑さとなる可能性が高くなっています。
この夏は観測史上最高に暑かったと言われるような年になるかもしれません。
お盆の頃もやっぱり厳しい暑さ
ウェザーマップ独自の16日予報で、東京の予想を見ていきます。今月始めは、猛烈な暑さが続く見込みです。
8日頃から雨予想で少し気温が下がるものの平年並み、その後お盆の頃になると再び厳しい暑さが戻ってきそうです。
他の地点をご覧になりたい方はウェザーマップHPをご確認ください。
暑熱対策しっかり
今月も猛暑が予想される事から、夏野菜などの暑熱対策が重要になってきそうです。
水不足が原因でつやなしの果実が発生したり、暑さによる着果不良や、奇形果、強い日差しによる日焼け果なども多発するおそれがあります。
こまめな潅水や、日よけ、適宜追肥するなど、いつもの夏よりも暑いという事を念頭に置いた農作物の管理が必要となりそうです。
天気急変にも引き続き注意
猛暑が連日続くと、合わせて注意したいのが天気の急変です。
いわゆるゲリラ雷雨というものです。
先月もお伝えしましたが、夏場の強烈な日差しにより地面付近の空気が暖められると激しい上昇が起きやすくなり、激しい雷雨となる事があります。
このゲリラ雷雨という言葉は、正式な気象用語ではないもののなかなか的を得ていて、まだまだスーパーコンピュータでも正確に予測ができません。
雷雨は気象庁HP「雨雲の動き」で確認
ゲリラ雷雨が発生しているような時は、気象庁HP「雨雲の動き」で確認するのが一番正確です。
ゲリラ雷雨は、台風などに比べるとかなり規模の小さい現象のため、まだまだ気象業界では予測が難しく、今実際に起きている「実況を監視」をすることが一番正確なのです。
この雨雲の動きは、リアルタイムでどこに雷雲があるかを確認する事ができます。
さらにカーソルを動かすとこれから1時間先、どの方向に移動していく可能性が高いかを知る事ができます。
北日本では恵みの雨か
続いて、1か月予報(降水量)を見ていきます。
すると、北日本は低気圧や前線などの影響で雨が多くなる予想となっています。
恵みの雨となればよいのですが、今回の1か月予報はいつも以上に難しい予想となっています。
それは、スーパーコンピュータの別の計算で見てみるとだいぶ予想が異なっているからです。
今月は台風が次々にやってくる?
スーパーコンピュータが出した別の計算の雨予想を見ていきます。
4日頃に北海道付近は雨雲がかかっていますが、東北などはそれほど雨が予想されていません。
また、7日頃になると、まとまった雨雲が西日本にかかっています。さらに10日には別のまとまった雨雲が東日本に向かっています。
この雨雲達はもしかすると台風かもしれません。
1か月予報では北日本で降水量が多いと予想されていましたが、このように、別の計算で見ると全く異なった予想が出ています。
今月の雨予報はかなりぶれがあります。
晴れて猛暑が続く日本列島ですが、念のため台風など大雨が降る可能性もあると意識しておく必要がありそうです。
秋まで猛暑?今年の暑さは長期化
さらに今回は少し先の予想までお話していきます。というのも、気象庁は3か月予報を発表し、驚きの予想を出してきたからです。
なんと今年は9月、10月まで全国的に気温が高い予想となっています。
10月に入っても30℃の真夏日となる日が続出する可能性があります。
今年の暑さは、長期化するおそれがあり、秋冬野菜の生育にも影響が出てくるかもしれません。
異常事態発生 日本の南が暖かすぎる
気象庁が秋まで暖かいと強気の予想をしているのはなぜなのでしょうか?ざっくり、分かりやすく解説していきます。
これは、地球温暖化、さらには今年の冬まで続いた「ラニーニャ現象」の余韻と、今年春に発生したエルニーニョ現象が影響していると言われています。
日本の南では広い範囲でとても暖かい空気に覆われていて海面水温も高くなっていて、その傾向は少なくとも秋まで続くだろうと予想しているのです。
スーパー台風となるおそれ
さらに気象庁では、エルニーニョ現象が発生した時の過去の台風との関係を調べていて、実はとんでもない傾向が出ています。それは、①夏、最も発達した時の台風の中心気圧が平常時よりも低い傾向にある事(勢力が強いという意味)、②秋、台風の発生から消滅までの寿命が長くなる傾向があるという事です。
今年の台風は例年以上に強くて・影響が長期化する可能性があります。今月もどうやら落ち着いた天気にはならなそうです。
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