実は多い「圃場の場所をわかっているのは自分だけ」
とある水稲農家、Aさんのお話です。
稲刈りも折り返しに差し掛かった9月中旬。照りつける太陽の下で、普段はサラリーマンをしているAさんはコンバインに軽油を入れていました。そこに用事を足して帰ってきた父親とこのようなやり取りになったそうです。
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父親:「勝さんの田んぼで先に稲刈りしてて。後から軽トラで向かうから。」
Aさん:「勝さんの田んぼってどこだよ」
父親:「勝さんの田んぼがわからないってか!農道を真っ直ぐ行って、3番目の十字路を左に曲がってから真っ直ぐ突き当たりまで行く。そこからまた真っ直ぐ行くと右側に見える8反田んぼだ!」
Aさん:「そんな説明ではわからんわ」
父親:「なんでわからないんだ!」
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稲刈りに限らず、このようなやり取りが日本各地で行われているのではないでしょうか。
今回の例では、父親と言い合いになることで、「父親から口頭で教えてもらうだけでは圃場の場所がどこだかわからない」ということがはっきりしましたが、場合によってはこれが曖昧なまま、誤って他の農家さんの田んぼを稲刈りしてしまい、大問題になってしまうかもしれません。
日常的な言い合いの陰に、そんなリスクが見え隠れします。
展示会等で農家さんにお話しを伺うと、「自分が管理している田んぼは自分の頭の中に入っているから大丈夫」とおっしゃる方がいます。
ですが、今後規模が拡大する中で社員やパートを雇用した時、あるいは自分の子どもが農業を継ぐことになった時に、こうしたリスクが現実のものとして立ちはだかるのではないでしょうか。
(広大な平野から稲刈りする圃場を見つけるのは至難の業)
圃場の見える化がGAPの第一歩
リスクの把握と対策の整備といえば、GAPです。
そのため、GAPに取り組む際には、自分以外の人でも圃場の場所がわかるようにする「圃場の見える化」を是非とも最初に行ってください。
圃場を見える化することで、間違って他の生産者の圃場に農薬や肥料を散布したり、同じ圃場に同じ作業を何回も行ってしまうといったミスを防ぐことにつながります。
また、あらかじめ圃場の見える化がされていれば、不慣れな新人と一緒に軽トラに乗って農場を回り、1ヵ所ずつ教えるといった手間を削減することもできます。
実際に、日本GAP協会が定めるJGAPやASIAGAP、さらには各都道府県独自のGAPについても、自分たちの管理圃場や農産物取扱施設、倉庫などが記載されている地図の作成を求めています。
個々の作業内容を覚えてもらうことも当然大事ですが、作業者に自分たちが管理している圃場の場所を覚えてもらい、その圃場で間違いなく作業を行ってもらうことが持続可能な農場経営に向けたGAPの取り組みの第一歩と言えるでしょう。
白地図で圃場の見える化をしているけれど
農家さんによっては、大きな白地図に自分たちが管理している圃場を1ヵ所ずつペンで色付けして見える化しているという方もいらっしゃるかと思います。
確かに、白地図でも圃場の見える化はできますが、例えば委託される圃場が増えた時や、逆に委託された圃場を返すことになった時、さらには圃場を合筆した時などにその都度白地図に書き込むのは非常に手間がかかります。
そして何より、情報が溢れかえった白地図を刷新しようとなると、新しい白地図を用意してまた一から圃場をペンで色付けしなければなりません。
このように、白地図での圃場の見える化は情報の更新に難点があります。情報の更新のことを考慮すると、パソコンやスマートフォンを使った圃場の見える化がおすすめです。
アグリノートで圃場を見える化!
パソコンやスマートフォンを使った圃場の見える化には、弊社の『営農支援ツール「アグリノート」』(以下、アグリノート)を是非ともご活用ください。
アグリノートはGoogle Mapをベースとした航空写真を活用し、栽培している作物ごとに圃場を色分けしたりして、デジタルな農場地図を作成することができます。
また、例えば合筆前の圃場の情報と合筆後の圃場の情報の両方を残しておきたい場合でも、アグリノートでは圃場の表示期間を設定できるので、合筆前の圃場はマップ画面から見えなくなりつつも、情報はアグリノートの中で確認できるという白地図では難しい管理も行えるようになります。
(パソコンブラウザ版アグリノート マップ画面)
そしてアグリノートはスマートフォンでも使えます。
例えば、白地図を持ち出して現場で圃場の場所を確認するなんてことはできませんが、アグリノートなら圃場の場所をいつでもどこでもスマートフォンから確認できます。
また、圃場の場所と一緒に自分の現在地がわかるため、作業する圃場まで迷わずにたどり着くことができます。
(モバイルアプリ版アグリノート マップ画面)
さらにアグリノートでは、圃場の名称や作付面積だけでなく、地番などの情報も登録できます。
ひと手間かかりますが、アグリノートに圃場を登録する際には地番情報まで登録するのがおすすめです。
地番情報を画面で確認できるので、農地台帳を開く手間が省けるだけでなく、地番情報付きの圃場一覧をExcel形式で出力することもできるので、GAPの審査を受ける時にも役立ちます。
(パソコンブラウザ版アグリノート 圃場設定画面)
アグリノートに圃場を登録してみよう!
アグリノートへの圃場の登録は、マップ上でご自身が管理されている圃場(区画)をクリックし、名前をつけるだけのとても簡単な操作となっています。
アグリノートでの圃場の設定方法については、こちらの動画をご覧ください。
【必須設定】アグリノート|圃場の登録
Youtube動画はこちら
アグリノートを使い始める上で圃場の登録は必須です。最初に圃場の登録を行い、自分たちが管理している圃場の見える化を行ってください。
また、アグリノートでは「どこに、何を植えているか」も管理できます。そのような設定方法と、実際に作業内容を記録する手順については、次回のコラムでご紹介します。
弊社ではGAPの取り組みをサポートします!
●GAPの取り組みにおけるアグリノート活用セミナーを行っています!
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[参加条件]
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GFP農林水産物・食品輸出プロジェクトHP https://www.gfp1.maff.go.jp/
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[募集組織数] ・先着300組織
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シリーズ『ゼロから始めるGAP!』のその他のコラムはこちら
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