アグリウェブをご覧の皆さん、こんにちは。渡辺パイプ株式会社です。
弊社はビニールハウスのメーカーであるとともに、設備や栽培技術を含めた総合提案によってお客様の笑顔のために、ニーズにお応えできる企業を目指しております。
本連載では、営農を営む皆さまが安心して栽培し、農業経営が少しでも豊かになるように情報発信をしていきたいと考えております。
・自然災害の多い日本において農業をするにあたり必要な知識
・農場運営をするにあたり工夫しているポイント
等をお届けしてまいりますのでよろしくお願いいたします。
ビニールハウスの強度について
ビニールハウスは施設園芸用のハウスの中でも簡単に建設できる、というイメージがあるかと思います。
反面、風や雪に弱いのでは、という不安をお持ちの方もいるでしょう。コラムVol.1の通り、ビニールハウスの天敵は風で、強度が十分でないハウスは壊れてしまいます。
大切に育てた収穫物が被害を受けてしまう,,,これでは安心して栽培ができません。
当社ではそのような事態を回避するため、ビニールハウスの構造を分析する構造計算を行い、その地域に適した温室を建設しています。
今回は、その工夫とハウス選びのポイントについてお話いたします。
建設予定地の選定
ハウスを建てるのは水はけがよく、地盤がしっかりしている場所を選んでください。
水はけが悪くぬかるんでいる場所や河川の近く、砂利や岩が多くパイプを挿すことが難しい場所などは地盤が弱いため極力避けましょう。
ビニールハウスの構造を分析する「構造計算」とは
構造計算とは建物の安全性を検討・確認するための計算のことです。ビニールハウスの場合、日本施設園芸協会が決めているルールに基づいて算出し、安全性を検討しています。
長くて数十ページにも渡る計算書になるのですが、これを読み込むのは難しいですよね。そこで、ある程度地盤がしっかりしているという前提で、どのくらい安全なのかを模式的に表したものが性能表示になります。
地域ごとの設置条件
気象条件が異なるため、地域によって必要な強度は異なります。
一般的にはビニールハウスを設置する地域の過去15年の積雪や風速を考慮した値を超えていれば安全に近づいていると言えます。
お住まいの地域はどのくらいの耐雪・耐風が必要なのか?ハウスを建てる際には一度確認してみましょう。
同じ「ビニールハウス」でも異なる定番
実は同じ「ビニールハウス」でも地域によって定番が異なることをご存じでしょうか。
積雪の多い地域では、雪が滑落しやすいように少し尖ったハウスを、風の強い地域では、高さのない丸みを帯びたハウスを建てることが多いです。
私たちが住む一軒家の住宅と同じような工夫をビニールハウスでもしているのです。
ハウスの強度と植物との関係
ハウスの強度をもっと強くするために、鋼材自体の工夫もしています。
例えば、パイプ自体の口径を大きくしたり、肉厚を厚くしたりすることで鋼材自体の強度を上げています。
また、風が強い地域ではアーチパイプ間の距離(アーチピッチ)を狭くする傾向もあります。
しかし、ひたすら鋼材を増やして、ハウスを強くすれば良いとは限りません。
なぜならば、鋼材を多く利用すればその分費用がかかり、影もたくさんできます。
すると、植物に当たる光量が減ることで光合成をしにくくなり、収量が思ったより伸びなくなります。
まとめ
①地盤がしっかりしている土地を選ぶ
②地域に合わせた安全な強度の耐雪・耐風の数値を知る
③育てる作物が光を好むのか、そこまで光を必要としないのかを知る
光をたくさん与えつつ、安全に近づくハウスはどれがよいのか、ぜひハウスを選ぶ際のポイントにしてみてください。
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【本コラムの執筆者】
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