(株式会社インテージ 西日本支社 リサーチデザイン部 永松統吾)
こんにちは。インテージの永松です。
今年は例年以上に暑い日が続いて、こまめに水分や塩分を補給する必要がありました。食事を工夫された方も多いのではないでしょうか。
私はレモン水を飲んだり、スイカを食べたりと、フルーツの力を借りてこの夏を乗り切ることができました。
フルーツはおいしいだけではなく、栄養摂取やリフレッシュにもなるなど、さまざまな理由で食べられています。
今回は、どういった理由でフルーツを食べているのかを、食事シーンごとに見てみましょう。
夕食後も多いフルーツの飲食
フルーツは、いつ食べられているのでしょうか。2023年2月に全国の20~79歳の男女約1,400名を対象に聴取した「ダイニングダイアリー」より確認します。
▼フルーツの食事シーン構成比
(出所:インテージ・ダイニングダイアリー)
朝食が46.7%と半数近くを占めており、昼食、夕食が20%弱と続いていました。
次に多いのが夕食後の6.7%。夕食では、食事中だけではなく、食後にデザートして食べられることも多いことが分かります。
夕食で目立った、「季節感・旬を楽しみたい」というニーズ
次に、朝食、昼食、夕食(夕食後も含む)の食事シーンごとにフルーツを含むメニューにした理由を確認してみましょう。
ダイニングダイアリーでは、食事シーンごとに、「喫食メニュー」と「喫食理由」を聴取しています。
ここでは、「喫食メニューにフルーツが含まれる場合の喫食理由」と「フルーツの有無を問わず喫食理由全体」を比較し、フルーツが含まれる場合の回答の割合が大きいものから並べました。
▼フルーツを含むメニューにした理由(食事シーン別)
(出所:インテージ・ダイニングダイアリー)
※差分1ポイント以上の項目を黄色で表示
朝食・昼食・夕食のすべてで「体によい・やさしいものを食べたい」という項目の差分が最も大きくなっていました。
フルーツの健康的なイメージや消化吸収の早さ、カロリーの低さなどの特徴が高く評価されていると考えられます。
また、「多くの品目を食べたい」「栄養のあるものが食べたい」という項目も朝食・昼食・夕食で共通して差分が大きく見られました。
食卓にフルーツの品目を追加することで、栄養を高めたいという狙いもうかがえます。
一方で、昼食では「あるもので済ませたい」、夕食では「季節感・旬を楽しみたい」など、シーンごとに重視するニーズが異なることが見て取れました。
朝食・昼食・夕食の全てのシーンで共通して健康のためにフルーツが喫食されている中で、昼食では簡便さ、夕食では季節感などが重視されているようです。
食事シーン・季節によって異なるフルーツの種類
食事シーンによってニーズが異なることから、食べられるフルーツの種類にも違いがあるのでしょうか。
2人以上世帯の食卓実態を聴取した「インテージ・キッチンダイアリー」より、2022年3月から2023年2月までの季節ごとに、食事シーンごとのTI値(1,000食卓当たりの出現回数)を見てみましょう。
▼季節別・食事シーン別のフルーツ出現回数TOP5
(出所:インテージ・キッチンダイアリー)
※TI値30以上の項目を黄色で表示
朝食では季節を問わずバナナの出現率が最も大きく、TI値100以上と10回に1回以上も食卓に並んでいることが分かりました。
バナナに多く含まれるブドウ糖は体に必要なエネルギーをチャージすることができるため、朝食のシーンで強く支持されていると考えられます。
加えて、朝食では「準備が簡単・時間がかからない」「短時間で食べたい」というニーズが高いことから、皮をむくだけで手軽に食べられるバナナが重宝されているのかもしれません。
また、キウイフルーツは朝食シーンにおいてのみ年間を通じてランクインしていました。
朝食では「栄養あるものが食べたい」という項目で全体との差分が大きく見られています。
キウイフルーツにはビタミンCのほかに食物繊維やポリフェノールなどの様々な栄養素が豊富に含まれているためと推察できそうです。
さらに、朝食ではヨーグルトの喫食率も高いため、ヨーグルトと一緒にキウイフルーツを食べる場合も多く見られました。
昼食を見ると、春夏では朝食と同様にバナナの出現率が最も高くなっていますが、秋には柿、冬にはみかん・りんごと季節の果物が上位に入っています。
さらに季節性が強く見られたのが夕食です。
春はイチゴ、夏はすいか、秋は柿、冬はりんごの出現率が最も高く、昼食以上にその季節を代表するフルーツが多く食べられていました。
「季節感・旬を楽しみたい」というニーズが高いことから、季節ごとに旬のフルーツを食べることによって、その季節ならではの味わいを楽しんでいるようです。
さいごに
食卓で食べられているフルーツとニーズを組み合わせて読み解くことで、フルーツを食べる生活者の姿が見えてきました。
「朝食×健康」「昼食×簡便で時短」「夕食×季節・旬」など、フルーツが「いつ」「なぜ」食べられているのかを理解することが、さらなる市場開拓の鍵になると言えるでしょう。
私自身も、何気なく買っているフルーツに、どのような効果や機能を求めているのかを考えていきたいと思います。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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