初めまして!
株式会社オーガニックnicoと申します。
弊社は京都の大原野に拠点を構える、有機農業専門の農家です。データを活用した有機野菜の栽培を約15年続けており、おかげ様でコンスタントに引き合いを頂いております。
また、ミニトマトに関しては、全国平均の約1.5倍まで年間反当り収穫量を上げる事ができました。
そのようななか、農業に関する様々なノウハウを標準化し、ほかの農家さんのお役に立てるよう技術開発や技術の指導などを行っており、「誰もが有機農業を取り組める時代に」を目指したコンサルティングも営んでおります。
この度ありがたいご縁がありまして、コラムを執筆させて頂く事になりました。
有機農業の生産や栽培管理等、リアルな実体験をもとにしたコラムをお届けできればと思います。
(代表取締役 中村)
よく寄せられる疑問
現在、新規就農者の約30%が有機農業を希望していると言われております。
このコラムを見て頂いている方の中にも、有機農業をやってみたい!と思われる方がいらっしゃるかもしれませんね。
そこで今回は、「よく寄せられる疑問にデータで答える〜有機農業の成功率は?他業態からの参入〜」というテーマについてお話ししていきたいと思います!
有機農業の成功率について
有機農業をやってみたい!とは言っても、実際食べていけるのか?気になりますよね。
「有機農業の成功率」についてのデータを探してみたところ、そのものずばりのデータは見つけられませんでしたが、類似のデータから考察していきます。
有機農業者を対象とした、農林水産省の令和5年発表のデータによると、『今後の有機農業の取組面積については、「現状維持」が約7割と最も高く、「拡大したい」「縮小したい」はそれぞれ1割程度』との事。
「拡大したい」という積極的な意見が少なく、「現状維持」が最も多いことから、有機農業の成功率はあまり高くないのではと感じます。(成功率が高ければもっと拡大したいという意見が出ているはず)
有機農業は化学合成農薬、化学肥料は使う事ができません。
それらに頼らず作物を育てようと思うと、たくさんの知識と、それを使いこなす技術が必要になってきます。
その知識と技術を使いこなせるようになるまでには時間と手間がかかり、結果有機農業から離れてしまう方が多いのだと思います。
では、有機農業を成功させる事は厳しいのか…というと、そんなことはありません。
病害虫防除、土作り、栽培管理等、有機農業の成功率を上げるポイントがあり、そこをしっかりと抑える事で成功率を上げる事ができます。
こちらについては後日コラムでお話できればと思います!
(弊社圃場のミニトマト)
他業種からの参入状況について
新規就農において、他業種から有機農業に参入して、果たしてうまくいくのだろうか?不安ですよね。
こちらもデータを基に考察していきたいと思います。
他業種からの参入について、有機農業限定でのデータはありませんでしたが、慣行、有機両方を合わせた農業全体でのデータを参照致しました。
全国新規就農相談センター令和4年発表のデータによると、就農前の職業は、「製造業」(15.2%)と「その他のサービス」(11.7%)が多く、「農業」 11.7%、「建設業」(7.8%)や「小売業」(7.4%)がそれに続いています。「農業」は、前回 9.7%、前々回 7.5%であり、増加傾向にありますが、新規就農においては、他業種からの参入が非常に多いと言えます。
製造業→有機農業においては、農業も製造業の一部にあたるため、現場の5Sや品質管理手法、PDCAの回し方などがそのまま強みになります。
特に有機農業においては、病害虫が出たら農薬、生育が悪かったら化学肥料、というような対処療法ではうまく行かないので、製造業で培った前述の3点の技術は大きな強みになります。
サービス業→有機農業においては、何よりも顧客ニーズの把握、さらには販路の開拓が強みになります。
特に有機農業ではJAや市場経由で「モノさえ出せば良い」という経営形態では収益性が悪いため、前述の2点が大きな強みになります。
以上がデータから考察する、有機農業の成功率と他業種からの参入状況になります。
難しいと思われがちな有機農業ですが、ポイントを抑えれば成功率が上がる事、農業とは関係ない業種のスキルも使える事をお伝えできれば幸いです。
お読みいただき有難うございました。
(弊社圃場)
次回
次回は、下記のテーマを予定しております。
最初の壁!有機農業者の資金調達(借りる時に不利?補助金はある?)
(弊社圃場 有機栽培の日常の一コマ)
当該コンテンツは、担当コンサルタントの分析・調査に基づき作成されています。
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