(株式会社インテージ カスタマー・ビジネス・ドライブ本部 廣田莉子)
こんにちは。インテージの廣田です。
今年は、例年に比べて猛暑の夏となりました。執筆中の今、11月初旬にもかかわらず、テレビでは“真夏日”という文字を見かけます。
暑い日が続くなか、私は簡単で美味しく冷たいそうめんを食べて乗り切りました。
今回は、夏の食卓の代名詞とも言えるそうめんに着目してみていきたいと思います。
例年に比べて暑かった今年の夏、そうめんは食べられるようになったのか?
まずは、2019年から2023年の各年の夏期(6月〜8月)に絞った5年間で、そうめん(冷麦を含む)がより食べられるようになったのかを見てみましょう。2人以上家族の主家事担当女性に聴取した、1,260世帯の食卓データである「インテージキッチンダイアリー」より、朝・昼・夜の食場面ごとに分けて、TI値(1,000食卓当たりの出現回数)を確認します。
例年に比べて暑かった今年の夏、そうめんは食べられるようになったのか?
まずは、2019年から2023年の各年の夏期(6月〜8月)に絞った5年間で、そうめん(冷麦を含む)がより食べられるようになったのかを見てみましょう。2人以上家族の主家事担当女性に聴取した、1,260世帯の食卓データである「インテージキッチンダイアリー」より、朝・昼・夜の食場面ごとに分けて、TI値(1,000食卓当たりの出現回数)を確認します。
▼夏期(6〜8月)のそうめんのTI値の推移

(出所:インテージキッチンダイアリー)
※そうめんに冷麦を含む
昼間は気温が高く冷たいものを食べたくなるためか、そうめんは昼食に最も食べられていることが分かります。
昼食のTI値は、前年までそうめんの需要が高止まりしていた反動で2021年に一時的に落ち込んでいたものの、2022年、2023年と再び伸長しました。
昼と比べるとTI値は限られるものの、頻繁に食べられるようになってきているのが夜のそうめんです。
記録的な猛暑だった2023年に前年よりも1割以上増加し、2017年との比較でも1.2倍と増加しています。
夜まで暑く、熱帯夜の日数も増える中で、夜も冷たいものを食べたいという需要が高まっているようです。
そうめんと一緒に食べられているメニューは?
それでは、そうめんは、どのようなメニューと一緒に食べられていたのでしょうか。
昼食と夕食別に見てみましょう。
ここでは、そうめんと一緒に食卓に並ぶ出現率の上位10メニューを抜粋しました(ランキングから、主食と飲み物を除いています)。
▼そうめんと一緒に食べられるメニュー上位10位(2023年6〜8月)

(出所:インテージキッチンダイアリー)
※そうめんに冷麦を含む
食事全体と比較して、そうめんと一緒の食卓で出現率がどれくらい大きいかを見るリフト値に着目すると、天ぷらが昼食で4.8倍、夕食で6.1倍となっています。
昼食・夕食に共通して食べられている天ぷらが、そうめんの定番の付け合わせと言えるでしょう。
天ぷらは、そうめんだけではなく、うどんやそばとの付け合わせでも人気です。
麺だけでは物足りないと感じることもあることから、トッピングとして食事の満足度や彩りなどを増してくれる天ぷらが支持されているのかもしれません。
天ぷらに使われている野菜は?
夏にそうめんと一緒に食べられる天ぷらですが、どういった野菜のものを食べているのでしょうか。
出現率・リフト値ともに大きかった夕食に着目して、他の季節とも比べて確認してみましょう。
ここでは、春(2023年3〜5月)、夏(2023年6〜8月)、秋(2022年9〜11月)、冬(2022年12月〜2023年2月)の季節別に見ています。
▼天ぷらに使われている野菜の材料使用率・上位5位 (夕食)

(出所:インテージキッチンダイアリー)
夏に最も多く使われていたのはなす・長なすで、使用率は44.6%と半数近くに及びました。
なす・長なすは、夏に次いで秋が使用率37.1%と大きく、旬である夏から秋にかけて頻繁に使われていることがうかがえます。
夏以外の季節で最も多く使われていたのは、さつまいも。さつまいもだけではなく、たまねぎやかぼちゃもすべての季節で上位に入っています。
天ぷらに使用される野菜には季節性が見られつつも、季節を問わず定番となっているものもありました。
さいごに
今回の分析で、そうめんは、夏によく食べられる天ぷらと一緒に食べられていることが分かりました。
天ぷらでは、季節ものであるナスのほか、定番であるさつまいもやかぼちゃなどが人気となっています。
旬な食べ物は、他の旬な食材と一緒に楽しんで、季節を味わうことができます。
旬の食材やメニュー同士の組み合わせを考えることで、野菜の売り出し方も変わってくるのかもしれません。
今回も最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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当該コンテンツは、担当コンサルタントの分析・調査に基づき作成されています。
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