どうやってGAP認証を取得するの?
これまでのコラムでは、GAPの取り組みで求められる農場管理や労働安全などに関する管理点をご紹介してきましたが、実際にGAP認証を取得するためには、どのような手順で何を行えば良いのでしょうか?
本コラムでは、JGAPをもとに解説いたします。
まず、JGAPの認証取得方法には、個々の経営体が認証を取得する「個別認証」と、複数の経営体により構成された団体等が認証を取得する「団体認証」の2種類があります。(※1)
個別認証の場合は、審査を受ける準備から審査の手続きまでを、すべて経営体自身で行います。具体的には以下のような流れです。(※2)
【ステップ1】 JGAPで求められる農場経営管理の仕組みの構築
・日本GAP協会のホームページから取得したい品目の「JGAP農場用 管理点と適合基準」(以下、「管理点と適合基準」)をダウンロードする
・「管理点と適合基準」の内容と農場の現状とを照らし合わせて、農場で既にできていることと、できていないことを把握する
・「管理点と適合基準」に沿って農場内における様々なリスクを評価し、そのリスクに対する改善策や作業手順、ルールを策定する
・従業員への教育・周知を行い、策定したルールに基づく農場経営を開始する
・定期的なリスク評価の見直しや自己点検など、農場経営の改善を図るサイクルを開始する
【ステップ2】 JGAP認証機関への審査申込〜受審〜認証の取得
・JGAP認証機関に審査を申し込む
・審査を受け、「管理点と適合基準」の管理点に対する「適合/不適合」が決定される
・審査で不適合となった管理点を見直して改善案を作成し、「是正報告書」を認証機関に提出
・是正報告書の内容を踏まえて認証機関が判定を行う
・合格基準を満たした農場にJGAP認証書が交付される
これに対し団体認証の場合は、審査の手続きを主に団体認証事務局が行うため、個々の経営体の事務負担が軽減されます。
また、団体に参画する経営体数が多くなるほど、1経営体あたりの審査費用などの経費負担が縮小されるというメリットもあります。(※3)
※1 農林水産省「GAP(農業生産工程管理)をめぐる情勢_令和5年9月」 p.9
※2 日本GAP協会「ASIAGAP/JGAP導入手順」
※3 農林水産省「GAP(農業生産工程管理)をめぐる情勢_令和5年9月」 p.10
どんな場合に団体認証が選ばれるのか
団体認証は、産地単位や部会単位などの複数生産者をまとめて生産管理体制の向上や他産地との差別化を図る際に、JAや集荷業者を団体事務局として選ばれることが多いです。
例えば、北海道芦別市では空知農業改良普及センターの指導のもと、芦別産米の他産地との差別化などを図るために、JGAPの団体認証に取り組まれた事例があります。(※4)
また、GAP認証取得に興味はあるものの個別認証で取得するノウハウが不足している生産者に対して、JAが団体事務局となり認証取得のサポートをする観点から団体認証に取り組まれた事例(※5)もあります。
※4 北海道芦別市「芦別のお米でJGAP(ジェーギャップ)団体認証を取得」
※5 「農協連合会によるGAP団体認証取得の意義と参加農業経営体に与える影響 ―大規模法人経営体を対象としたJA全農みやぎの取り組みを事例として―」_高橋 昭博・岩﨑 真之介_2020_p24
団体認証だからこそかかる手間
しかし、団体認証ならではの手間やコストが発生することもあります。
① 帳票の取りまとめ・管理にかかる手間
団体認証に取り組むにあたり、団体事務局はトレーサビリティの観点から、各生産者の栽培履歴や出荷記録を把握する必要があります。
引用:JGAP_団体事務局用_管理点と適合基準_農産2022
しかし、生産者ごとに栽培履歴や出荷記録などのフォーマットが異なったり、帳票に記載する情報の粒度が異なると、団体事務局は帳票の取りまとめに手間がかかります。さらに、生産者から紙媒体で帳票類が提出されると、必要な項目を探すときの手間が増えるだけでなく、帳票類の保管も非常に煩雑になります。
② 資料やお知らせ配布にかかる手間
団体事務局はJGAPの管理点に基づく団体運営を確実に実践するため、団体管理に関するマニュアルの作成と周知が求められます。合わせて、団体管理マニュアルが改定された時にも生産者に周知する必要があります。
引用:JGAP_団体事務局用_管理点と適合基準_農産2022
引用:JGAP_団体事務局用_管理点と適合基準_農産2022
団体管理マニュアルの改訂毎に紙資料を作成・印刷し、生産者に戸別に配布するのは人手と時間を要するため、団体事務局の負担は非常に大きくなってしまいます。
アグリノートマネージャーで団体認証の手間を解決!
このように団体認証に取り組む際は、生産者単位で取り組む個別認証とは異なる特有の課題が発生します。そこでおすすめしたいのが、営農情報集約ツール「アグリノートマネージャー」です。
アグリノートマネージャーは、生産者がアグリノートに保存した営農データの共有を受け、データ集計やダウンロード、編集、代理入力などができるクラウド型のITサービスです。
さらには、連携したアグリノートに対して情報発信ができるので、団体事務局がアグリノートマネージャーを活用することで、部会のメンバーや生産者などに効率的に情報を伝えることができます。
(アグリノートマネージャー概要説明)
例えば、先ほど挙げた団体認証の課題に対して、アグリノートマネージャーは以下のように活用することができます。
① アグリノートの栽培履歴をアグリノートマネージャーから簡単に出力!
アグリノートマネージャーでは、連携したアグリノートユーザーがいつ、どんな作業を行ったのかリアルタイムに把握することができます。また、ユーザーごとの作業進捗の確認だけでなく、使用した資材などの情報も確認できるので、GAPで必要な農薬や肥料の散布記録などを団体事務局で把握することができます。
(アグリノートマネージャーの作付管理画面)
さらに、連携したアグリノートの栽培履歴をアグリノートマネージャーからExcel形式でダウンロードできるので、栽培履歴のフォーマットが生産者ごとにバラバラになることがないだけでなく、紙媒体の帳票類を管理する手間も削減されます。
(アグリノートマネージャーから出力した栽培履歴例)
② アグリノートマネージャーで連携したアグリノートにお知らせ配信!
アグリノートマネージャーでは、連携したアグリノートに対して様々な情報を連絡するお知らせ配信機能があります。このお知らせ配信機能では、配信期間や送信対象者などを絞り込み、画像ファイルやPDFファイルなどを添付してメッセージを配信できるので、生産者に周知したい様々な情報を簡単に連絡することができます。
(アグリノートのお知らせ配信作成画面)
例えば、先述の通り団体認証では団体管理マニュアルの改訂を行った際に生産者に連絡する必要がありますが、アグリノートマネージャーのお知らせ配信機能を使えば、改訂の周知と一緒に改訂したマニュアルのPDFファイルを添付して連絡することで、生産者ごとに資料の送付や情報を伝達する手間を減らすことができます。
また、アグリノートマネージャーからお知らせ配信を行うと、連携したアグリノートに即時に通知されるので、病気の発生や天候による管理上の注意など急を要する連絡を、迅速に生産者に伝えられます。
このように、団体認証でGAP認証取得を目指す際にはアグリノートマネージャーをご活用いただき、帳票管理の手間の削減や生産者への情報伝達などにお役立てください。
さぁ、GAPに取り組んでみよう!
全6回に渡ってお届けしてきましたシリーズ「ゼロから始めるGAP!」では、GAPで求められる具体的な管理ポイントについて、弊社のアグリノートやアグリノートマネージャーの活用による管理の仕方などをご紹介しました。
GAPへの取り組みを始めるには、様々な帳票を作成したり、定期的なリスク評価を行ったりと、農場内でやらなければいけないことは増えるかもしれません。
しかし、農場におけるリスクを洗い出し、絶えず改善を続ける仕組みを構築することで、次の世代も安心して経営を続けられると言っても過言ではありません。
このコラムが、圃場や施設の見える化、圃場における危険箇所の周知など、GAPに取り組むはじめの一歩に役立ちましたら幸いです。
シリーズ「ゼロから始めるGAP!」をお読みいただきありがとうございました。
弊社ではGAPの取り組みをサポートします!
●GAPの取り組みにおけるアグリノート活用セミナーを行っています!
- GAPの管理ポイントに合わせたアグリノートの活用事例セミナー
GAPで求められる管理項目をアグリノートで管理する際に気をつけるポイントを、活用事例をもとにご紹介するアグリノートオンライン講座です。
▶これからGAPに取り組む方
▶すでにGAPに取り組んでいる方
▶GAPについて情報を集めている方
是非ともご参加ください!
参加申し込みはこちらから↓
https://agri-note.zendesk.com/hc/ja/articles/16403615567641
●GAPに興味のあるモニター生産者を募集しています! ※モニター募集は受付終了いたしました
- 営農支援ツール「アグリノート」は農林水産省の「GAPの取組を通じた生産工程管理ツールの活用支援事業」に採択されましたので、本事業にご参画いただけるモニター生産者を募集しております。
GAPの取組を通じた生産工程管理ツールの活用支援事業
https://www.maff.go.jp/j/seisan/gizyutu/gap/gap_tool.html
[参加条件]
▶本取り組みの目的を理解し、モニターとして協力いただけること
▶申請いただいた情報を各都道府県と共有し、当該指導員より国際水準GAPの指導が受けられるよう配慮いただくこと
▶アグリノートの活用アンケートにご協力いただくこと
▶GFP農林水産物・食品輸出プロジェクトへの登録を検討いただけること
GFP農林水産物・食品輸出プロジェクトHP https://www.gfp1.maff.go.jp/
▶アグリノートの有料プランを申込済み、または利用中であること
[参加特典] ・ 営農支援ツール「アグリノート」の利用料が1年分無料
・ 「アグリノート専用 在庫管理Excelツール(試用版)」の配布
・ 国際水準GAPの取組に向けた「アグリノート」活用コンテンツの提供
[参加申し込みフォーム]
https://docs.google.com/forms/d/1CH1a7skTgUunjQvbCpcKR1pjk-cF5NhfGfaoPrFXjzc
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