こんにちは!株式会社オーガニックnicoです。
シリーズ「有機農業、成功の階段!」。今回は、農業をスタートさせる際に必須である、「資金調達」についてです。
弊社も今までいろいろな資金調達方法を実践してきましたので、実体験も交えてお話ししていきたいと思います!
(トマトハウス建設時の様子)
資金調達の方法
資金調達の方法は大きくわけて4つあります。
①融資
②補助金
③株式
④クラウドファンディング
です。
大前提としては4種類とも有機農業かどうかは関係ないのですが、微妙に有機農業である事が影響する場合もあります。
融資について
一般の銀行融資では利率が高いのと、農業向けにはなかなか貸してもらえない、というのが実態です。
農業向けの金融機関として、政策金融公庫とJAバンクがあり、それぞれ利率はおおむね有利な金利となっています(2024年1月時点)。
融資を受ける条件は一概には言えませんが、概ね「認定農業者」または「認定新規就農者」である必要があります。
認定農業者や認定新規就農者に認められるかどうかというのは、確実な経営計画を作れるか否かに依ります。認定農業者の場合はさらにこれまでの実績も問われます。
これらの融資において、基本的には有機農業であるかどうかは関係ないはずなのですが、実態としては「有機農業は安定経営ができない」という見方が働く場合もあるようです。
これは認定をつかさどっている自治体において過去の事例がどうであったのか、というのも関係してくるようです。
いずれにせよ、妥当性のある経営計画を提出し、熱意をもって交渉することが必須となります。
補助金について
補助金には、農水省が出すものとして「青年就農給付金」「強い農業・担い手づくり総合支援交付金」などがあり、数百万円以上の高額になります。
基本的には、都道府県が窓口となって対応します。
また都道府県や地方自治体独自の補助金や補助制度がある場合もあります。
これらの補助金については、有機農業かどうかは関係ありません。
それとは別に、有機農業独特の補助金もあります。「有機農業新規参入者技術習得支援事業」「有機転換推進事業」などがこれにあたり、これらは数万円から数十万円の助成金になります。
こちらの補助金を受けるにはいろいろな条件がありますので、詳細は「有機農業新規参入者技術習得支援事業」「有機転換推進事業」で検索してみてください。
株式について
こちらはまず大前提として、株式会社である必要があります。
具体的な資金調達方法は、友人・知人・親戚などを頼ったり、「モーニングピッチ」等と呼ばれる創業者の支援を主目的とする集まりなどでプレゼンを行い、資金を出してくださる方を募る、という方法があります。
ただし、経理や税務申告、税金など固定的にかかる費用が最低でも年間30〜40万円くらいは必要になりますので、それなりの経営規模が必要となります。
当然会社設立の知識や協力していただく人々との人脈なども必要ですし、経営者としてそれなりの覚悟も必要です。農業の立ち上げの片手間ではできません。
クラウドフファンディング
クラウドファンディングとは「インターネットを使って不特定多数の人々から少額ずつの資金を調達する仕組み」です。
購入型、寄付型、株式投資型、融資型、などいろんなパターンがあり、株式投資型以外は株式会社でなくても調達できます。
資金集めだけでなく、仲間集めや宣伝効果も期待できます。
クラウドファンディングはストーリー作りや見せ方がポイントで、農業の立ち上げの片手間ではできません。
しっかりした協力者が必要になってきます。
クラウドファンディング事業者がかなりの部分をサポートしてくれますが、事業者によってそのサポート具合は様々です。
基本的にはサポートが手厚いところは成功報酬型で手数料もそれなりに取られる、という認識で間違いないと思います。
ストーリー作りにおいて有機農業というのは好印象がありますので、少し有利に働くようです。
たとえば独自のコンセプトのネット通販の販路を開拓する、放棄された農地や里山を復活させる、などの新たな事業ビジョンを実現する時には有効ですが、普通に農業設備の投資というのではお金は集まらないでしょう。
クラウドファンディングはある程度の年数農業のビジネス経験を積んだうえで、新しいビジョンとストーリーが湧いてきたときに活用、という方法が良いと思います。
4種類の資金調達方法について、内容や特徴をご理解いただけましたでしょうか?
次に、おすすめの使い分け方についてご説明いたします。
(弊社イチゴ)
おすすめの資金調達使い分け方
まずは個人農家として融資と補助金を並行して検討。
その後は何年かやってみて、
⇒社員を入れて組織化したいなら株式会社化・株式による資金調達
⇒新しいビジョンとストーリーが湧いてきたときにクラウドファンディングを活用
このような使い分け方がおすすめです。
最後に、今回ご紹介した資金調達方法の窓口や相談先についてです。
融資、補助金
それぞれの市町村の行政には農林課、農林水産課が必ずあり、そちらが就農の窓口をやっておられます。
まず、農地候補が定まったら、その市町村の役場の農林課を訪ねると、新規就農の相談と同時に融資と補助金の相談にも乗ってもらえると思います。
(※地域毎に注力している作物や戦略があったりもされますので、「有機農業で」というところを強調すると難色を示される場合もございます。相手方の反応を見ながら強調し過ぎない方がよいかもしれません。)
クラウドファンディング
株式会社オーガニックnicoでは、2022年に「FUNDINNO」という株式投資型のクラウドファンディングを実施し、目標金額の4倍(システム上の上限)を公開後24時間以内に達成した実績があります。
手数料はかかりますが、十分その手数料に見合ったサービスを提供していただいたと思います。
また、農業関係者の実績が比較的多いのが、購入型・寄付型の「CAMPFIRE」です。
こちらもお勧めさせていただきます。
(弊社圃場雪景色)
資金調達は一つのものに頼らず、いろいろな方法を組み合わせていく事がおススメです。
私達の経験が少しでも皆様のお役に立てたら嬉しいです。
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当該コンテンツは、担当コンサルタントの分析・調査に基づき作成されています。
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