(株式会社インテージ 島田健太)
こんにちは。インテージの島田です。
2024年がスタートしましたが、2023年を振り返ってみると、あっという間に過ぎてしまったなと感じています。
個人的に「秋」は、夏が終わり過ごしやすい気候を感じる間もなくすぐに寒くなってしまったので、すごく短く感じました。
そんな短く感じた秋でしたが、秋の味覚の代表格「さつまいも」は秋以外の季節でも長い間店頭で見かけることが増えてきました。
今回は季節を問わず目にするようになった「さつまいも」に着目していきたいと思います。
さつまいもの登場率は直近5年で伸長
まずは、2019年から2023年までの直近5年間で、さつまいもがより食べられるようになったのかを見てみましょう。
2人以上家族の主家事担当女性に聴取した、1,260世帯の食卓データである「インテージキッチンダイアリー」より、さつまいものTI値(1,000食卓当たりの出現回数)を確認します。
▼直近5年間のさつまいものTI値
(出所:インテージキッチンダイアリー)
さつまいものTI値は年々増加してきており、2023年は2019年と比べて約1.3倍に伸長していました。
このことから、さつまいもが食卓に登場する機会が増えていることが分かります。
さつまいもは、食物繊維やビタミンなど豊富な栄養素が含まれており、健康志向の高まりを背景として人気が高まっているようです。
皮にも栄養が豊富にあり皮をむかずに食べられる手軽さも、人気の理由として挙げられるでしょう。
とりわけ夏に伸長したさつまいも
続いて、季節別にさつまいものTI値を確認します。ここでは、春(当年の3-5月)、夏(当年の6-8月)、秋(当年の9-11月)、冬(前年12月-当年2月)としました。
▼直近5年間(季節別)のさつまいものTI値
(出所:インテージキッチンダイアリー)
季節別にみると、旬である秋から冬にかけてのTI値が大きく、どの季節も伸長していますが、2019年と比較した伸び率では夏が1.5倍と最も大きくなっています。
さつまいもの人気が高まる中、長期保存しやすいさつまいもの特徴を生かして、旬以外の季節でもさつまいもが店頭に並ぶようになってきているようです。
さつまいもはどのようなメニューで食べられているのか
それでは、さつまいもは、実際にどのようなメニューで食べられているのでしょうか。季節ごとの出現率ランキングを見てみましょう。
▼さつまいもを使用したメニューの季節別ランキング
(出所:インテージキッチンダイアリー)
天ぷらが春・夏・秋では1位、冬では2位とさつまいもの定番メニューとなっていました。
ただし、直近5年間のCAGR(年平均成長率)でみると、すべての季節で10%前後減少しており、手間がかかるためか、天ぷらを作ることが少なくなってきていることが分かります。
一方、すべての季節で増加が目立ったのが、「豚汁」と「野菜スープ」といった汁物。
皮をむかずに他の具材と一緒に煮込むだけで準備できることから、活用が進んでいるのでしょうか。
豚汁と野菜スープで使われる野菜の顔ぶれに変化はあったのか
さつまいもがよく使われるようになってきている豚汁と野菜スープについて、野菜の顔ぶれに変化があったのかを確認します。
▼豚汁と野菜スープの平均材料数と材料使用率(野菜)の変化
※2023年の野菜の使用率上位15位を抜粋
(出所:インテージキッチンダイアリー)
豚汁・野菜スープともに、平均材料数はほぼ横ばいで推移しており、使用する材料数にはそれほど変化がないことがうかがえます。
さつまいものCAGRに着目すると、豚汁では30.7%、野菜スープでは100.9%と他の野菜と比較して突出した伸びが見られました。
豚汁や野菜スープの具材のひとつとして、人気が高まっているようです。
また、「インテージキッチンダイアリー」でさつまいもを使用した豚汁、野菜スープのこだわりの理由をみると、「さつまいもで甘みを出し、子供がたくさん野菜を食べられるようにした」「さつまいもをたくさん入れてボリュームアップした」などの理由があり、「甘み」や「ボリューム」にニーズがあると考えられます。
さつまいもはこれまで秋の味覚として考えられてきましたが、季節を問わず食卓に並び、そのメニューも豊富になってきています。
今後も品種改良を続け、それぞれのさつまいもの特徴を生かしたメニュー提案をしていくことでさらに需要は拡大していくのではないでしょうか。
今回も最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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