(株式会社ウェザーマップ 寺本卓也)
皆さん、こんにちは。農てんきな気象予報士の寺本卓也です。
今年は例年に比べると、かなり遅い梅雨入りとなりました。私のいる広島県は先月22日に梅雨入りが発表され、統計開始以来3番目に遅い記録となりました。では今年は梅雨入りが遅かったので、梅雨明けもすぐ来て、大雨の心配はないんじゃないかな?なんて思いそうですが、そんな事はなさそうです。
今年の梅雨は短期集中型の大雨になりそうな予報が出ていますし、さらには梅雨明け前から猛烈な暑さとなる見通しも出ています。予想が非常に難しいこの時期の「梅雨の大雨と暑さ」について、今月もしっかりわかりやすくお伝えしていきます。農業に役立つお天気情報「農てんき予報」今回もぜひ最後までお付き合いください。
日本海側で雨多く
1か月予報の降水量を見ていきましょう。日本海側を中心に雨の量が並か多い予想となっています。前線や低気圧による雨雲が、どんどん西から日本付近にやってきて、はじめに活発な雨雲があたるであろう日本海側では雨量が増えると予想しているのです。また、日本海側で雨量が多くなりそうだからと言って、太平洋側で雨が全く降らないという事ではありません。
日本付近は雨雲の通り道
今年の梅雨の傾向としては、ずっと同じ所で降り続くというよりは、断続的に降ったり止んだりを繰り返すタイプの長雨になりそうです。日本付近は雨雲の通り道となって西から東へ、次から次へと雨雲が通っていくような状況になりそうなのです。日本海側で活発な雨雲がかかりやすい予想ではありますが、低気圧に伴う雨雲は西から東へと移動していきますので、もちろん太平洋側の地域でも雨雲がかかります。引き続き各地で大雨に気をつけなければなりません。
西日本は例年通り梅雨明けか
一方で、1か月予報の日照時間を見てみると、西日本を中心に並か多い予想となっています。さらに細かく言うと、7月13日以降は西日本で晴れる日が多くなる見込みとしています。西日本の梅雨明けの平年値は7月15〜19日という所が多いです。今年も例年と同じくらいの梅雨明けとなるかもしれません。梅雨末期となる今月前半に一気に大雨、そして例年通りの梅雨明けになるのではないかが少し心配な所です。
梅雨明けは各地で猛暑に
1か月予報の気温を見ていきます。やはりと言うべきか、この先はさらに厳しい暑さが予想されます。猛暑をもたらすと言われるラニーニャ現象の発生により、太平洋高気圧の西への張り出しが強まる予想です。またチベット高気圧の日本付近への張り出しも強まる見込みです。すると、日本の上空で二つの高気圧が重なり合い、日本は背の高い高気圧に覆われやすくなります。背が高い高気圧ほど空気が暖められやすくなるため、全国的に高温が予想されているのです。
ウェザーマップ独自16日予報
ウェザーマップ独自の16日予報です。東京は基本的には、まだしばらくは曇りや雨の梅雨空が続きそうです。気温を見てみるとアップダウンはあっても、極端に低くなる梅雨寒という日はなく、25度以上の蒸し暑さが予想されます。また東京以外の地点をご覧になりたい方はhttps://forecast.weathermap.jp/をぜひご確認ください。
地産地消ひろしま朝市
私は先月末に、ひろしま平和大通りで行われている「ひろしま朝市」にいきました。広島市内の農家や漁業者による新鮮な野菜や果物、花、お魚、そのほか様々な加工品が販売されています。この日は大雨でしたが、農家さん自慢の新鮮な農作物が並ぶので、あっという間に売り切れてしまいます。この朝市は単発のイベントではなく、毎週日曜朝に行われているため、地産地消がしっかり根付いていました。
広島市の農業研修制度
美味しそうな野菜が並んでいたので、私も沢山購入しました。ある農家さんに「農業はいつからされてるんですか?」と聞いたところ、「定年退職してから農業を始めたので10年目ですよ。」と返ってきたので驚きました。「広島市では市の農業振興センターが、農業のやり方を無料で教えてくれる研修制度が定期的にあり、その募集を見て思い切ってやったら、農業にはまりました。」と続けてお話してくれました。ひろしま朝市が活気あるものになっている裏側には、充実した支援があり素晴らしいなと、とても勉強になりました。
生産者と消費者をつなぐ架け橋
生産者と消費者をつなぐ場として始まった「ひろしま朝市」は昨年で20周年を迎えられたとの事です。これまで20年間、毎週農家の皆さんがお客様一人一人と直接対話しながら商品を販売することを地道に続けてこられたことで、広島の地産地消が根付いたのだろうと、取材を通して感じました。今月21日には、夏まつりが開催されるそうで、今後ますますこの朝市が盛り上がっていきそうです。
広島のローカルワイド番組で好評
私は、今年の4月から福島を離れ、広島テレビでお天気キャスターとして働いている訳ですが、そこでも平日夕方のワイド番組「テレビ派」にて「農てんき」というコーナーを放送するようになりました。広島県産の旬でお買い得な野菜などを、天気と絡めて楽しく伝えています。
例えば、「広島県内は、3月の低温で生育の停滞や出荷の遅れなどが目立つ野菜が多かったですが、4月に入り晴れて暖かさが戻った事で広島産野菜も出荷量が少しずつ増えてきています。そんな中で今は枝豆がオススメです。」などと楽しく紹介する訳です。視聴者(消費者)そして生産者の方に喜んでもらえるような番組作りできたらと常に思っています。
広島野菜の玄関口
番組コーナー内でいつもお世話になっているのは、広島市中央卸売市場内にある「広印広島青果株式会社」さんです。毎回詳しい広島産野菜の状況について、電話取材で教えて頂き放送に活かしております。今回は、いつもご対応して下さる担当者の方に直接ご挨拶のため現地に訪れました。
私が以前、青果の商社で働いていたという所から話が弾み、広島県における農家の高齢化、後継者不足の現状、長雨や猛暑などで野菜が高騰している時などしか取材に来ないメディアのあり方など、どうにか改善していきたですね、と思う所をお互いに打ち明けるようなご挨拶となりました。
今後、市場内を取材するような事になりましたら、またこのコラムに掲載しようと思います。
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