(株式会社インテージ マーケティング企画推進部 松瀬智仁)
こんにちは。インテージの松瀬です。
2024年も7月に突入したころから暑さが増していて、いよいよ猛暑が到来してきました。こんな時期には手軽に食べられるそうめんや冷たいうどんなどの麺類を選びがちです。そればかりだと夏バテしてしまうので「ちゃんとお米やおかずも食べないと」と意識してご飯を食べるようにしています。
夏バテ対策をしながら元気に過ごそうと思いながらも、「お米をちゃんと食べる」となるとどうしても時間の都合で夕食になることが多いです。お米を食べる機会が減っていると聞くこともありますが、実際にはどれぐらいの割合で食べられているのでしょうか。また、どんな理由でお米を選んでいるのでしょうか。
今日はお米に焦点を当てながら、食事における生活者ニーズを探っていきたいと思います。
夕食で出現回数が突出しているご飯系メニュー
まずは、2024年4月に全国の15〜79歳の男女約1,800名を対象に聴取した「インテージ ダイニングダイアリー」のデータで、朝食・昼食・夕食の各シーンで食べられているメニューの割合を確認してみましょう。
▼食事シーン別の主食メニュー出現回数構成比(%)

(出所:インテージ ダイニングダイアリー)
朝食ではパン系メニューが57%と優勢である一方、夕食ではご飯系メニューが76%と圧倒的に多くなっており、夕食では依然としてお米がたくさん食べられていました。朝食で「その他主食メニュー」が他のシーンに比べてやや高くなっている理由は、その他の中にシリアル類が含まれているためです。
また、昼食では麺系メニューが朝食や夕食と比べて高くなっており、それぞれのシーンで選ばれるメニューに特徴があることがわかりました。それでは、具体的にはどういった主食メニューが食べられているのでしょうか。
食事シーンごとの主食メニューは?
朝食・昼食・夕食ごとに、出現回数の多かった主食メニューについて、出現割合の上位5メニューを確認しました。
▼食事シーン・メニュー分類ごとの主食メニューの出現割合(%)

(出所:インテージ ダイニングダイアリー)
朝食のパン系メニューでは「食パン・トースト」が1位になっていて、準備が簡単で値段もお手頃であることなどから、すっかり日本人の朝食に定着している様子がうかがえます。また、夕食ではご飯が圧倒的1位となっていることから、基本的に夕食でお米を食べるときは「ご飯+おかず」という構成が非常に多いようです。
一方、昼食の麺系メニューでは「ラーメン」が1位となっていたものの、「スパゲッティ」「うどん」が続いており、朝食や夕食と比べると1位との差が小さいことが見て取れました。他のシーンに比べて出現メニューが分散していることから、自分が好きなものを選んでいると推察されます。
夕食の食事ニーズはどうなっているのか?
ここからは、ご飯系メニューに焦点を当て、なぜ夕食で多く食べられているのかを考えてみたいと思います。夕食シーンにおける各メニューの選択理由は、以下の通りです。ここでは、ご飯系メニューでの回答が10%以上のものを抜粋しています。
▼夕食における各メニューの選択理由(複数回答/%)

(出所:インテージ ダイニングダイアリー)
夕食シーンでご飯系メニューを食べている人は、麺系メニューやパン系メニューを食べている人に比べて、「栄養のあるものが食べたかったから」「多くの品目を食べたかったから」「体によい・やさしいものを食べたかったから」が4〜5ポイント程度高くなっていました。
ご飯系ならではの考え方として、“多品目を食べて栄養バランスの良い食事を取る”といったことを心がけている様子がうかがえます。加えて、見た目としても食卓に色とりどりのおかずが並べて、食事シーンに華を添えたいというニーズもありそうです。
逆に「自分が好きなものを食べたかったから」「準備が簡単・時間がかからないから」は低くなっていました。自分の好きなものを食べるのではなく、時間をかけてもいいから栄養バランスも大切にしてきちんとした食事を取りたいというニーズがあると考えられます。
おわりに
ここまでの読み解きから、日本ではまだまだたくさん夕食でお米が食べられており、お米にはきちんとした食事を取りたいというニーズがあることがわかりました。昨今、費やした時間に対して得られる効果・満足度を重視する、タイパ志向が高まっていると言われています。
映像の倍速視聴などの消費行動に限らず食事にもそういった意識が反映されており、特に忙しい朝食や昼食などの時には食事を手軽に済ませることも多いようです。一方、「朝食や昼食は手軽に」の裏返しとして「だからこそ夕食ではきちんとした食事を取る」といったニーズが顕在化し、夕食でご飯系メニューが選ばれやすい一因にもなっているのではないでしょうか。
今後のお米の消費増に向けては、「きちんとした食事をしたいニーズを満たすこと」がヒントになりそうです。お米自体はもちろんのこと、さまざまなおかずと共に食べることで栄養面も豊富なご飯。しっかりお米を食べて暑い夏を乗り切りましょう!
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
シリーズ『データに基づく食生活のトレンド分析』のその他のコラムはこちら
当該コンテンツは、担当コンサルタントの分析・調査に基づき作成されています。
公開日