(三菱UFJニコス株式会社)
農業の事業承継の課題である、経営ノウハウ・生産ノウハウの承継をスムーズにする技術として、農業のスマート化が注目されています。では、農業のスマート化が、事業承継にどのように役立つのでしょうか。
ここでは、農業経営の事業承継の課題と、課題の解決に有効とされる営農管理システムの機能、事業承継に役立つ事業経費支払い用のクレジットカード(ビジネスカード)のメリットについて解説します。
農業経営の事業承継の課題
農業に関する技術や経営ノウハウの承継の難しさが、農業経営の事業承継における大きな課題となっています。日本政策金融公庫の「農業の経営継承に関する手引き」によると、農業の事業承継の課題として、「経営ノウハウの継承」を挙げた人は全体の52.5%、「生産技術の継承」を挙げた人は全体の47.1%でした。
農業経営を事業承継するには、農地や農業機械などはもちろん、栽培手法の知識や経営ノウハウも引き継がなければなりません。しかし、長年農業を営んできた経験や勘に支えられた知識・ノウハウは引き継ぎが難しく、場合によっては年単位の時間がかかってしまう可能性もあります。
この課題の解決に有効だと考えられているのが、農業のスマート化です。農業のスマート化とは、ロボット技術や情報通信技術を活用して、作業の効率化や自動化を実現する取り組みのことです。
スマート農業の一種である営農管理システムを活用すれば、日々の作業や圃場の状態、栽培ノウハウをデータ化することができます。今まで経験や勘に頼ってきた意思決定の根拠を見える化することで、スムーズな事業承継が可能になります。
■ 農業のスマート化による意思決定の可視化のイメージ
営農管理システムの機能
営農管理システムは、農業の知識やノウハウをスムーズに承継するのに有効です。営農管理システムには、以下のような機能が備わっています。
栽培計画などの管理機能
営農管理システムを導入すると、圃場の場所、行った作業、作付計画・栽培計画の記録や管理ができ、そのデータを残すことが可能です。予定収量と実績を比較して来年の生産計画を立てたり、後で圃場ごとの作業内容を確認したりすることもできます。
■ 営農管理システムの管理機能でできること
データ分析・予測機能
営農管理システムの中には、管理機能に加え、蓄積したデータをAIが分析し、生産予測モデルの作成や生育診断、栽培計画のアドバイスなどを行う機能を搭載している製品もあります。
製品によっては、センサー付きのコンバインを導入して連携することで食味・収量を分析できる機能や、圃場ごとに変わる肥料の量を管理できる機能も利用可能です。
中には、作業指示書の作成や農機の振り分けといった作業指示の効率化に強みがあるシステムや、農業者同士の情報共有がしやすいシステムなど、特定の機能が強化された製品も提供されています。
■ センサー付きコンバインと営農管理システムの連携のイメージ
事業承継対策には事業経費支払い用のクレジットカードを作成しておくと便利
事業承継対策のために営農管理システムを導入する場合、ビジネスカードを作成しておくと便利です。
営農管理システムは、クラウド形式でサービスが提供されていることも珍しくありません。クラウド型のシステムを利用するには、定期的に一定の利用料を支払うのが一般的で、申し込みの手続きなどをWEB上で完結できるサービスもあります。
クレジットカードの登録が利用条件となっているサービスもあるため、申し込みの前にクレジットカードを作成しておくと便利です。
ビジネスカードには、農業に関する費用の支払いを一元化できるメリットもあります。
急病などで、十分な引き継ぎ期間がとれずに事業承継しなければならなくなる事態を想定すると、「いつ、どこから、何を、いくらで仕入れたか」といったデータも、スムーズな引き継ぎには欠かせません。
農業に関する費用の支払いをすべてビジネスカードで決済しておけば、ご利用代金明細書から必要な情報を簡単に把握できる上に、確定申告にも対応しやすくなります。
また、ビジネスカードのご利用明細データと会計ソフトを連動させておけば、記帳の手間も省けるため、急に引き継いだ後継者の確定申告の手間を軽減することも可能です。
■ 事業承継におけるビジネスカード作成の有用性
営農管理システム導入・事業承継に役立つビジネスカード
農業の事業承継において、生産や経営のノウハウをスムーズに引き継ぐには、営農管理システムを導入して、データを管理・分析することが役立ちます。
クラウド型の営農管理システムを利用したい場合、利用料の決済には、ビジネスカードがあると便利です。
ビジネスカードに農業に関する支払いを一元化しておくと、急な事業承継にも備えられるため、承継を視野に入れている農家の方はビジネスカードの作成も検討してみてはいかがでしょうか。
ビジネスカードは、さまざまなクレジットカード会社から提供されていますが、農家の方向けのビジネスカードとしておすすめなのが「JAビジネスカード」です。ソリマチが提供する農業に特化した会計ソフト「農業簿記」との連携も可能なカードで、「BizPay 請求書カード払い」によってカード払いを受け付けていない販売店でもカード払いが利用できます。ぜひご検討ください。
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