(株式会社インテージ マーケティング企画推進部 住吉雄大)
こんにちは。インテージの住吉です。
例年に比べ暖かい日が続いていると油断していたところ、11月下旬から急に寒くなってきました。週末に慌てて衣替えを行ったのですが、引っ張り出してきた冬服が合わなくなっており困っている今日この頃です。先日返ってきた健康診断結果が過去最高体重を記録しておりました。リモート勤務ができる職場も運動不足になりがちで、良いことばかりではありません。今回は、ダイエットに効くとも言われている「雑穀ごはん」に着目しました。
急拡大している「雑穀ごはん」の市場規模
まずは、雑穀ごはんの素の市場規模の推移を見てみましょう。全国約6,000店舗の小売店データを集めたインテージ小売店パネル「SRI+」で確認します。
▼雑穀ごはんの素の市場規模の推移(億円)※各年11月〜10月
(出所:インテージSRI+)
雑穀ごはんの素の市場規模は前年に比べ増加傾向にあり、2024年(2023年11月〜2024年10月)は前年に比べて1.2倍の121億円に伸長していました。内訳をみると、一穀タイプと多穀タイプともに1.2倍伸びています。一穀は主にもち麦の商品です。
雑穀ごはんが拡大している要因は?
雑穀ごはんはどのような要因で拡大しているのでしょうか。時系列の販売動向から要因を考えていきます。まずは2023年と2024年の月別データを、一穀タイプと多穀タイプそれぞれで比較しました。
▼雑穀ごはんの素の種類別・市場規模の月別推移(億円)
(出所:インテージSRI+)


まず一穀ですが、今年の6月に大きく伸び、その後前年を上回るペースで推移しています。一方で多穀は、8月に山場があり、その後も前年を上回るペースで推移していました。
続いて、伸長した6月と8月の日別データを確認します。
▼雑穀ごはんの素の種類別・市場規模の日別推移(億円)
(出所:インテージSRI+)

一穀の日別では、6月12日に大きな山が見られます。一穀の売れ筋商品の口コミを確認したところ、「6月11日放映のTV番組を見て商品を購入した」という声が挙がっていました。その番組の中で、大麦のダイエット効果の特集が行われたようです。
エリア別でみても、全国各地でピンポイントに6月12日に反応がありました。大麦の代表的な商品がもち麦であることから、6月11日にこの番組を見て、「ダイエット」の目的で購入に至った方が多かったのではと推測されます。
一方、多穀については、ピンポイントで前年よりも伸びている日は見られず、8月にかけて販売量が高いという結果になっておりました。今年8月に発表された南海トラフ地震の臨時情報を受け、米の品薄状態が加速したことによる代替需要が一因として考えられます。
一穀・多穀購入者の違いとは?
伸びた時期が異なった一穀と多穀ですが、買っている人の特徴に違いがあるのでしょうか。ここでは、インテージ消費者パネル「SCI」と「SCI Profiler」を使用して、一穀と多穀の各年代別と健康意識別の購入率を前年と今年の6月〜10月にしぼって見てみましょう。
インテージSCIとは、全国15歳-79歳の男女約50,000人のモニターから、継続的に収集している日々の買い物データです。また、インテージSCI Profilerでは、SCIモニターに対して、価値観やライフスタイル情報を年1回聴取しています。
▼一穀の年代別と健康意識別の購入率(%)
(出所:インテージSCI・SCI Profiler)
一穀の購入率を年代別と健康意識別にみると、前年までは40代以上かつ「整腸・便秘の改善」で購入している方が多いことがわかりました。今年は前述のTV番組の影響か、「減量」に関心がある方の購入率が主に50-60代で高まっているという結果となっていました。「ダイエット」の目的で購入に至った方が増えているといえます。
▼多穀の年代別と健康意識別の購入率(%)
(出所:インテージSCI・SCI Profiler)
多穀については、主に50代以上かつ「整腸・便秘の改善」に関心がある方が購入していることがわかりました。また、前年と比べて大きくは変動が見られません。
おわりに
今回はTV番組の特集や米の品薄などで市場が急拡大した雑穀ごはんの素の動向を確認しました。TV番組での大麦のダイエット効果の特集は、特に50-60代の食品購買に影響を与えることができる有効なメディアとして機能することがわかりました。
一方で、20代や30代などの若年層の購入率はまだ低いようです。番組で特集されていた「ダイエット効果」といった雑穀ごはんの魅力をSNSで発信するなどして若年層にも訴求していくことが重要なのかもしれません。今回も最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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