(株式会社ウェザーマップ 寺本卓也)
こんにちは。農てんきな気象予報士の寺本卓也です。2025年が始まったと思ったら、もう2月です。私も40歳になりました。30歳からの10年は本当にあっという間ですね。と関係ない話はさておき、天気や気温においても今月は、めまぐるしいスピードで変化していきそうです。
というのも、2月早々に今シーズン一番強い寒波の襲来が予想され、大荒れの天気かと思えば、その後は急に暖かくなっていく見込みです。今月も農作物の管理において、とても難しい1か月となりそうです。
この農てんきコラムでは、農家の皆様の目線に立って、農業に役立つ最新の気象情報をわかりやすく楽しくお伝えしていきます。ぜひ最後までお付き合い下さい。それでは今月もスタートです。
2月スタートは記録的大雪か
今月は早速、大雪に警戒が必要となりそうです。気象予報士は大雪になるかどうかの目安として、上空の寒気が何℃かを調べます。上空5,500メートルで-36℃以下の寒気が来ると、その空気に覆われる所は「平地でも大雪」となるだろうと大まかに予想しています。
今回はその寒気が北海道から山口県あたりまですっぽりと覆う見込みで大雪に警戒が必要です。さらにそれより強い寒気のあたる所では、局地的に記録的な大雪となる可能性があり、雪の降り方に注意が必要です。
日本海側で大雪・猛吹雪に警戒
強烈な寒波の到来で、今月4日〜6日頃にかけて、北海道から九州までの日本海側で断続的に雪が降り、大雪・猛吹雪となるおそれがあります。ポイントとしては、ピンク色の表示の所です。線状降水帯ならぬ「線状降雪帯」ともいえる活発な雪雲が流れてきそうです。
今のところ新潟や北陸にあたって「局地的に記録的な大雪」となる可能性が出ていますが、風向き次第で近畿や中国地方にやってきてもおかしくはありません。
今後の雪の降り方については気象庁HPの「大雪・暴風雪に関する最新の防災気象情報」https://www.jma.go.jp/jma/bosaiinfo/snow_portal.htmlがおすすめです。大雪の情報がまとまっており、今後の見通しから「地方気象情報」などを選択すると、詳しい今後の雪の情報が見られます。
今年は春がすぐに来るか
寒波はこの後も沢山やってくるのか気になる所ですが、どうやら今シーズンは2月中旬以降、平年くらいの寒気の到来はあっても、極端に強い寒波は来ないかなと個人的に思っています。というのも、こちらの図をご覧下さい。こちらは気象庁が発表した3か月予報です。
これを見ると、日本の南で海の温度が高く、また日本の周りのシベリア高気圧や、アリューシャン低気圧も弱くなる傾向となっています。
以上の事から、この先は日本に流れ込む上空の寒気の影響がだんだん弱まっていきそうなのです。今年の春は全国的に晴れる日が多く、雨が少なくいつもより暖かい日が多くなりそうです。
2月後半は気温上昇で晴れも多く
もう少し詳しく、1か月予報(平均気温)で2月の後半の予想を見ていきます。すると、2月15日の後半から北海道から近畿地方まで気温は平年並みか高い予想となっています。この先は段々気温が上がってく傾向が出ています。
2月後半になってくると気温の上がる地域ではだんだん晴れてくる日が多くなっていきそうです。
3月は一気に暖かく
さらに詳しく見ていきます。3月の平均気温の予想です。九州南部や奄美・沖縄を除き、ほぼ全国的に平年より気温が高い予想となっています。3月も全国的に晴れる日が多く、だんだん日差しも強まり気温が上昇し、ぽかぽか陽気の日が多くなりそうです。
3月は雨の日少なく
一方で降水量はというと近畿・中国・四国・九州地方など平年並みか少なくなるかもしれないと予想されています。低気圧や前線の影響がこのあたりでは発生・接近しにくい傾向になりそうです。
干ばつ傾向が続いて、農作物の生育が停滞や、枯れてしまわないかが心配な所です。
4月春本番も暖かく霜に注意か
さらに4月の平均気温を見ていきます。3月に続き、全国的に平年並みか高い予想となっています。今年の果樹の開花などは平年よりもだいぶ早まる可能性があります。また、いくら寒気の影響は受けにくいとしても、北日本などでは急に冷え込みが強まる日も数日間はあるでしょう。
全体的に暖かい日が多いだけに、農作物は生育前進傾向となって、開花期にちょうど霜の被害に遭う可能性もあると念頭に置いておく必要があるでしょう。
新潟県で「農てんき講演会」
私は、先月19日に新潟県三条市に行きました。一面に広がる田んぼに薄っすら雪が積もっていてとても幻想的でした。
三条の主な農作物はキュウリ、エダマメ、トマト、イチゴ、アスパラガス、ナシ、モモなど様々な野菜や果物があります。そして何と言っても、新潟といえばコメですね。
新潟コシヒカリを堪能
三条のコシヒカリは、もっちりとした食感や粘り強さ、強い旨味が特徴と言われています。私の宿泊したホテルの朝食でもコシヒカリが出ましたが、やはり新潟のお米は美味しく、柔らかみも感じました。
農てんき予報士と地球温暖化を考える
私はJAえちご中越様向けに、地球温暖化と今後の米の生産はどうなる?という事をテーマにお話し致しました。この地区の農家約60名が参加して下さった訳ですが、やはり皆さん気象に関する関心は高いなという印象を強く受けました。
農家さんとのコミュニケーションが大事
今回は地球温暖化による農作物の影響や、今後どう対策していく事が必要かなどを話しました。60分間たっぷり話した訳ですが、一番の盛り上がりを見せたのは、最後の質問コーナーでした。
「このまま日本は暑くなり続けますか?」、「米の生育に必要な雪解け水が少なくなって困っていますが、この傾向は続きますか?」、「天気予報アプリが当たらない。何を使えばいいですか?」など、普段皆さんが何に困っている事が知ることが出来て、私自身今後のヒントを得られた講演会でありました。
全国の農家さんのお悩み解決へ
皆さんの疑問に思っている事は、このコラムでもどんどん扱っていこうと思いますし、もし色々お話をして頂きたいという事であれば、全国どこにでも向かいますのでお気軽にご相談ください。全国の農家さんのために役に立つ農てんき予報士として頑張りますのでぜひよろしくお願い致します。
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