(株式会社ふるさと支援研究所 清水 進矢)
前回は、補助金を活用したマーケティング支援の重要性について、D農園の成功例を交えながら解説しました。
最終回の今回は、専門家に相談する前に経営体として簡単に整理・準備しておくべきポイントについてお話しします。事前に簡単な準備をしておくことで、専門家との相談がよりスムーズで効果的になりますよ。
専門家相談をスムーズに進めるための簡単な準備
「準備」と聞くとハードルが高く感じますが、簡単に言うと【現状とやりたいことを整理】すればOKです。この準備をしておくだけで、専門家からの提案が具体的になったり、新たな課題や方向性が見つかるなどメリットがたくさんあります。ポイントは2つだけ。
1.書類を準備する
自社の現状を正確に伝えるために、以下の書類を用意しておきましょう。
- 直近の決算書:個人事業主の場合は確定申告書です。過去3年分あるとより◎
- 栽培状況::栽培品目・栽培面積がわかるもの。
- 販路リスト: 現在の販売先や取引先、取引量の一覧。
- 見積書:導入したい設備の見積書またはカタログ等金額やスペックがわかるもの。
これらの書類があれば、専門家は迅速にあなたの経営状況を把握し、適切なアドバイスを提供できます。
2.将来的にやりたいこと、実現したらいいなと思うことを箇条書きにする
1年後はどうなっていたいか?5年後は?自分たちの将来のビジョンや具体的な目標を明確にすることも重要です。以下のように箇条書きで整理してみましょう。
- 新しい設備の導入:例えば、「冷蔵庫を新たに購入して保存能力を向上させたい」
- 販路の拡大:「オンライン販売を開始したい」「新しい直売所を開設したい」
- 商品開発:「加工品を増やして多様な商品を提供したい」
- 人材の育成:「従業員のスキルアップを図りたい」
ざっくりでも文字にしてリストアップすることで、ご自身の頭も整理され、やりたいことが明確化していきます。専門家は希望に沿った具体的な支援策を提案してくれることでしょう。
専門家との相談をより効果的にする追加準備
余力がある方は、以下のポイントも押さえておくと良いでしょう。
- 具体的な質問を準備する:漠然とした相談ではなく、具体的な疑問や課題について質問を用意しておくことで、専門家からの的確なアドバイスを引き出しやすくなります。例えば、「新しい販路を開拓するための具体的なステップは?」や「コスト削減のためにどの設備投資が有効か?」などです。
- 相談の目的を明確にする:何を達成したいのか、相談を通じてどのような成果を期待しているのかを明確にしておくことで、相談中も軸がブレずに実現可能性の高い提案につながります。
【 準備例 】
F農園は、専門家に相談する前に以下の簡単な準備を行いました。
① 書類準備:
直近の決算書を用意し、栽培状況と販路リストを簡単に作成。メーカーに見積書を依頼。
② 目標の箇条書き:
✓ 冷蔵庫を新規購入したい
✓ オンライン販売を開始したい
✓ 新商品の開発を進めたい
これらの準備を基に専門家と相談した結果、F農園は冷蔵設備の導入とオンライン販売構築をまとめて補助金申請し、採択されました。
在庫保管体制・販路開拓により、売上の増加と経営の安定化が実現しました。これにより、新商品開発に着手する余力ができ、新たな事業展開を画策することができました。
まとめ:シンプルな準備で効果的な相談を
専門家に相談する際、複雑な準備は必要ありません。基本的な書類を整え、将来の目標を箇条書きにするだけで、相談がスムーズに進み、効果的な支援を受けやすくなります。
課題の詳細な分析や具体的な戦略立案は専門家に任せ、自分たちができる準備をしっかりと行うことで、さらなる発展につながるアドバイスをもらいましょう。
専門家選びの際は、お近くの商工会・商工会議所に相談したり、「経営アシストチャット」を活用したりすることで、信頼性の高い専門家に出会えます。
シリーズ『農業経営に活用できる補助金』。今回が最終回でしたが、いかがでしたか? 本シリーズがみなさまの農業経営の発展の一助になれば幸いです。
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