(株式会社インテージ マーケティング企画推進部 住吉雄大)
こんにちは。インテージの住吉です。
農林水産省から、主要野菜15品目の2025年1月の野菜卸値見通しはサトイモを除く14品目が平年(過去5年平均)比で10%を超える高値となる、と発表され、実際に店頭でも稀にみる高値が目に付くようになりました。特に高騰が著しいキャベツは、私がよく利用するスーパーでも800円台の価格が付いていたことがあり驚いたのも記憶に新しいです。
夏以降の猛暑や12月の冷え込みなどで、多くの品目で出荷量が少ない状況が続いているようです。そんな中、食卓での登場が増えている「ニラ」に焦点を当てて、野菜の価格と喫食メニューの関係性を見ていきたいと思います。
直近3年間でニラの登場率は増加傾向
まずは、野菜のTI値(1,000食卓当たりの出現回数)の変動を見てみましょう。2人以上家族の主家事担当女性に聴取した、1,260世帯の食卓データである「インテージキッチンダイアリー」より確認します。
▼野菜のTI値比較(前年比・前々年比)
※各年1月〜12月。2024年のTI値 上位30位を抜粋
(出所:インテージキッチンダイアリー)
2024年のニラの食卓登場率は2022年に比べて1.1倍に伸長し、伸び率も上位にランクインしました。一方で、主要野菜には減少傾向のものも多く、指定野菜15品目にも含まれるキャベツのTI値は2022年に比べて94%に減少しています。
ニラはどのようなメニューで食べられているのか
では、ニラは、実際にどのようなメニューに使われているのでしょうか。直近3年間で比較した出現率ランキングを見てみましょう。出現率とは、各メニューの出現回数の総計を100とした時の各メニューの構成比です。
▼ニラを使用したメニューのランキング
※2024年のニラのメニュー出現率上位10位を抜粋
(出所:インテージキッチンダイアリー)

ニラのメニュー出現率は、3年連続で「肉と野菜の炒め物」が最も多く、年々増加傾向にあります。味もさることながら、肉類と一緒に食べることで、ニラが持つ豊富なカロテンやビタミンEを無駄なく摂取できるといわれており、栄養価が高い観点からも選ばれているのかもしれません。
また、「味噌汁」や「卵スープ」といった汁物も増加しています。ニラは冷凍保存もできることから、解凍後食感が損なわれても美味しく食べられる汁物での活用も推測できます。
肉と野菜の炒め物で登場する野菜に変化はあったのか
ニラの出現率が高かった「肉と野菜の炒め物」について、他の野菜の使用率の変化を確認します。
▼肉と野菜の炒め物の材料使用率(野菜)の変化
※2024年の野菜の使用率上位10位を抜粋
(出所:インテージキッチンダイアリー)
肉と野菜の炒め物の野菜の使用率上位10位を見てみると、伸長していたのはタマネギとニラのみだったことが分かります。
タマネギは野菜炒めに欠かせない野菜として不動の1位ですが、おなじみの顔ぶれともいえるキャベツやピーマンは3年連続で減少しており、特にピーマンは2022年と比べて-3.5%減少していました。一方で、ニラは3年連続で増加しており、2022年から0.9%の伸びが見られます。
キャベツ、ピーマンが減少し、ニラが増加している理由は?
農林水産省のデータによると、キャベツとピーマンは値上がりがあり、ニラの価格は比較的安定していました。そのことから、相対的に安価なニラの使用頻度が上がっていることがうかがえます。
安いからニラと肉の炒め物を増やそう、キャベツは高いからお好み焼きは控えよう等、価格によって使う食材の入れ替えやメニューの変更があると言えそうです。
おわりに
我が家ではホームパーティーでもんじゃ焼きをよく作るのですが、最近はキャベツの価格が上がっているため、白菜やニラを使った餃子パーティーがブームになっています。野菜の相対的な価格が変化すると、家庭で喫食されるメニューも連動して切り替わっていくのではないでしょうか。今回も最後までお付き合いいただきありがとうございました。
また、2019年から約5年間に渡り、食生活のトレンドを紹介してきました本シリーズですが、今回が最終回となります。長い間、ありがとうございました。ご愛読いただきました皆様の益々のご発展をお祈り申し上げます。
当該コンテンツは、担当コンサルタントの分析・調査に基づき作成されています。
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