5回にわたりお届けしてきましたシリーズ『活かせ!生産データのポテンシャル!』では、生産者の皆さんが農作業の内容などをデータとして記録することで、日々の記録管理の負担がどのように軽減されるのかを中心にお話ししてきました。
最終回となる今回は、生産者のみなさんの記録データ(=生産データ)にはどのようなポテンシャルがあるのか、産地やグループ単位での管理という視点でお話ししたいと思います。
産地やグループ全体で生産データを管理できたらどう変わる!?
さて、生産者の皆さんが個別に記録しているデータが、出荷先や地域を統括する管理者とシステムを介して共有されたら、どのような変化が起こるでしょうか。
栽培指導やさまざまな確認・連絡が適切なタイミングで行われ、やり取りがスムーズになったり、困ったときにすぐにサポートが入り、トラブルを未然に防げたりすることもあるでしょう。また常に情報共有されていることで、報告のための書類の提出を省くなど、事務処理の簡略化も可能になります。
生産者が使う営農支援アプリ『アグリノート』を、栽培情報の集約および情報発信を行う営農情報集約ツール『アグリノートマネージャー』と連携することで、このような情報共有ができるようになります。
それでは、アグリノートで記録管理を行う生産者団体と、アグリノートマネージャーで生産状況を確認・管理している集荷組織による実際の取り組み内容をもとに、連携によるメリットをご紹介します。

トラブル発生によってわかる管理体制の弱点と改善方法
アグリノートとアグリノートマネージャーを使った管理を始める以前、生産管理をアナログな方法で行っていたことで、トラブル発生時にどのようなことが起こったのか、その後どのように改善したのかをお伺いしました。
ケース① 出荷した農産物から、使用していない農薬の成分が検出された
出荷した農産物から使用規定外の農薬の成分が検出されるトラブルが発生。手書きなどの管理では記録内容の正確性が問われ、「規定外の農薬を使用していないことをどのように証明するか」が問題となり、様々な記録の中から農薬に関する作業履歴を追うのも難しく、結果、一時的に取引停止となった。
【対策】
記録が正確かつルールに基づき管理されていれば、「規定外の農薬を使用していないこと」の証明ができ、原因を突き止めることもできます。生産者を含むグループ全体で組織としてのルール作りを行い、記録についてはデジタル化を実践しました。
◎集荷組織側から生産者に栽培暦を提供
◎記録づけの徹底
⇒ 生産者のメリット:栽培暦に沿った作業、管理ができる
⇒ 管理側のメリット:記録の粒度が揃っている(記録の平準化)ので、管理しやすい
作業履歴をいつでも確認できるので、トラブルに対し迅速且つ正確に対処できる
データ出力を使って出荷先への栽培履歴の提出がスムーズになる

ケース② 品質・規格が生産者ごとにばらつきがあって揃わない
こちらは実際に起こったトラブルではありませんが、課題感を持たれている組織もあるのではないでしょうか。
品質・規格の揃った作物を安定的に収穫できると、集荷量や収益の見通しが立てやすくなりますが、そうではない場合、組織としての販売力や交渉力の低下にもつながり、出荷先の信頼を得られないばかりかブランドにも影響してしまう恐れがあります。
ケース①の対策と同様に、生産者を含むグループ全体がルールを理解し、ルールに基づいた記録付けや管理ができていれば、品質・規格および収穫量について適切に把握でき、組織全体の安定にもつながることが期待できます。
アグリノートマネージャーとアグリノートの連携でできること
上記のケース①のような農薬に関するトラブルの回避という点では、アグリノートマネージャーでは連携する生産者のアグリノートの記録に基づき、農薬の使用履歴を確認することができます。
▼アグリノートマネージャー アラート表示のイメージ

また、アグリノートマネージャーは連携するアグリノートへ栽培暦を提供することができます。提供を受けたアグリノート側では簡単なステップで栽培暦を登録することができます。
規定の栽培暦に沿ってさまざまな作業が行われるのに対し、規定外の農薬が使用された場合はアグリノートマネージャー側の画面には上図のような[注意]・[警告]・[お知らせ]が表示され、すぐに状況を確認することができます。
▼アグリノートマネージャー アラート内容の表示イメージ

農薬の使用状況については、農薬の銘柄だけでなく成分についても集計されるので、同じ成分が含まれる複数の農薬を使用している場合でも、成分の使用回数を超過していないか確認できます。
トラブル発生を回避する、発生しても迅速に原因を特定できる体制づくりという観点でも、生産者と管理側が連携したシステムでの管理・運用を、ぜひ実践していただければと思います。
◆アグリノート導入事例
「グループ全体で農場の危機管理への意識を共有し、持続的な発展を続けていきたいです。」(株式会社和郷、農事組合法人和郷園)
https://www.agri-note.jp/cases/case31/
ポテンシャルを十分に発揮できる生産データを残しましょう!
生産者の皆さんの日々の作業内容をデータで管理することで、事務作業などの手間の削減からデータ連携まで様々なメリットが生じます。そして作業のデータが蓄積すると、それは分析してさらなる利活用が可能な「生産データ」となり、かけがえのないあなたの財産となります。
是非デジタルツールを活用した管理を実践してみてください。
このコラムが、生産データの残し方・活用の仕方に関するお悩みを解消するためのヒントになりましたら幸いです。
シリーズ『活かせ!生産データのポテンシャル!』をお読みいただきありがとうございました。
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●アグリノートヘルプセンター『使い方の流れ01 はじめに』
●アグリノートヘルプセンター『使い方の流れ02 準備をしよう!』
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●アグリノートヘルプセンター『使い方の流れ03 初期設定をしよう!』
●アグリノートヘルプセンター『使い方の流れ04 作業を記録しよう!』
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