(株式会社ウェザーマップ 寺本卓也)
こんにちは。農てんきな気象予報士の寺本卓也です。
昨年に続き、今年もとてつもない暑さとなっています。先月30日、兵庫県柏原で41.2℃と日本の観測史上最高の気温を記録しました。史上最速の梅雨明け以降、全国的に連日災害級の暑さが襲い、さらに深刻な雨不足となっている状況です。
いよいよ夏本番の今月ですが、雨は降るのか、暑さは落ち着くのか、気になる最新の天気を農業に役立つ視点からしっかりお伝えします。農てんきコラムを読んでぜひ日々の作業に活用して頂けたらと思います。では今月もスタートです。
異例の早さの梅雨明けの影響は
今年の梅雨明けは、速報値で全国的に「かなり早い」または「早い」という結果となりました。

そして、6月中旬頃から各地で30℃を超える日々が始まり、本格的な暑さがロケットスタート。
全国の熱中症搬送者数(5月1日〜7月27日現在)は53,126人。ちなみに観測史上一番暑い夏となった昨年の同じ時期が46,276人です。
高温耐性のある作物を取り入れても、むしろ農家の皆さんがバテてしまう程の容赦ない暑さが続いています。
8月も農作業が危険な猛暑
この異常な暑さは今月も続くのでしょうか。1か月予報(平均気温)を見ていきます。やはり全国的に高いとなっており、間違いなく暑い日が続く予想です。また連日35℃以上の猛暑日という日も連発してくるでしょう。

さらに先月は暑さの影響で、各地で天気が急変し雷雨やひょうが発生。特に長野ではレタスやブドウ、リンゴなど2,000万円以上の被害となりました。
今月もゲリラ雷雨・ひょうに注意
今月も各地で雷雨やひょうが発生しやすい状況が続きます。それも先月よりもさらに発生しやすくなる可能性は高いです。なぜなら、雷雨・ひょうの原因は、「真夏の強い日差し・猛暑」だからです。
先月のコラムでもお伝えしましたが、真夏は強い日差しで地表が暖められ雲が発達しやすい状況となります。

雷雨が怪しい日のポイントは
雷雨になりやすい日は一体どんな日なのでしょうか。気をつけたい2つのポイントです。
①暑くて風の穏やかな日は、盆地で熱がたまりやすく雷雨の可能性大です。
②暑くて風がややある日は、山沿いで雲が上昇し雷雨の可能性大です。
こちらは、先月長野県で激しい雷雨・ひょうになった日の天気図です。

長野県は高気圧に覆われ、等圧線の間隔も広く風は穏やか、そして午前中はよく晴れていました。一方で午後に各地でゲリラ雷雨となり、ひょうが降ったのです。
晴れと曇りの天気マーク、そして高気圧に覆われて暑くなる日は雷雨に注意していきましょう。
台風の動きには注意
ゲリラ雷雨だけでなく、今月は天気予報をガラッと変えてしまう台風の動きにも注意が必要です。日本の周りの海面水温がどんどん高くなってきており、台風は先月からどんどん発生している状況が続いています。

この傾向は今月も変わらず、次々に発生する可能性があります。台風が発生したら、まずは、進路予報を確認しておきましょう。
今月恵みの雨はあるか
ゲリラ雷雨や、台風といった局地的な雨は目立つ状況ですが、農作物にとって必要な広い範囲でのまとまった雨はあるのでしょうか。
1か月予報の降水量を見ると、東日本・北日本の日本海側で平年並みか多い予想となっていて、その他の地域も平年並みとなっています。

そもそも8月の平年並みの降水量が多いのか少ないのかという所だと思いますが、東京・仙台で150ミリ、福岡で200ミリなので平年通り降ってくれたら、畑や田んぼの水は十分潤う計算ではあります。
まとまった雨のタイミング少ないか
では、現在のスーパーコンピューターの予想で直近の予想を見ていきます。
すると、8月7日頃の低気圧や前線に伴う雨が本州に恵みの雨を降らしてくれるのではないかと見込んでいます。一方で、東北や北陸の日本海側で大雨になるおそれがあるため降り方には注意が必要です。
ただ、その先中旬以降はしばらくまとまった雨の予想がなく今月も雨が降るタイミングは少ないかもしれません。
厳しい暑さは続きます。肥料や薬剤のタイミングなども含め、少ない雨の機会を最大限に活かす工夫が必要となりそうです。
秋まで暑さ長引くか
気象庁発表の3か月予報で今年の秋はどうなるかも見ていきます。すると9月だけでなく、10月も平均気温が全国的に高い予想となっています。

夏の暑さをもたらす太平洋高気圧やチベット高気圧の勢力がなかなか弱まらない予想が出ていて、9月も8月程ではなくても35℃以上の猛暑日が続出、10月はさすがに35℃以上の日が頻発する事はないと思いますが、中旬頃まで30℃以上の真夏日という日はありそうです。
昨年も暑さが長引いた事で秋冬野菜の生育遅れが目立ちましたが、今年もその可能性が高い状況です。
10月は大雨警戒か
また今後の雨はというと、10月が大雨の可能性があります。東・西日本太平洋側を中心に雨量が平年並みか多い予想です。

太平洋高気圧の勢力が弱まり、徐々に秋雨前線がかかり始めるタイミングが10月となりそうで、おそらくこのあたりで線状降水帯が発生するような大雨警戒期間になるのかなという見込みです。
中学・高校生との農てんきコラボ企画
話は変わり、広島修道大学ひろしま協創中学・高等学校園芸部の皆さんと一緒に作ったシャドークイーン(紫ジャガイモ)の企画が進んでいます。
暑い日が続き、降水量が少なかった事から実が若干小ぶりではありますが約80キロ収穫ができました。

スタジアムグルメ企画進行中
そして、このシャドークイーンの紫色が、チームカラーと同じというほんの些細な理由から、サンフレッチェ広島とのスタジアムグルメ企画が始まりました。
なんと8月20日、サンフレッチェ広島vsヴィッセル神戸が行われるエディオンピースウィング広島のスタジアムグルメとして出品される事が決定。学生さん達とシャドークイーンを使って何を作るか考えました。

スタジアムグルメ決定
そして先日の収録にてついにスタジアムグルメが決定。まだ放送前のため商品は秘密ですが、きっと多くのサポーターの皆様に喜んで頂ける美味しさになっているのではないかと思います。
来月のコラムにはスタジアムで奮闘している様子をお伝えできたらと思います。「多くの人に私達の作ったシャドークイーンを食べて楽しんで貰いたい。」そう話す学生さん達の想いは届くのでしょうか。来月もぜひ楽しみにしていて下さい。

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