(株式会社ウェザーマップ 寺本卓也)
こんにちは。農てんきな気象予報士の寺本卓也です。皆さんお元気ですか。相変わらず暑い日が続いています。本当に無理なさらないで下さいね。
さてこの夏は記録的な暑さに加え、各地で深刻な雨不足となっています。これからイネの本格的な収穫シーズンですが、まだこの厳しい暑さはしつこく続く見込みです。本当に聞くだけで嫌になりますよね。
私は天気を変える事はできません。しかしながら天気予報によって農業被害を減らす事は出来るのではないかという、そんな想いで書き始めたこのコラムは、今月で早5年目です。本当にありがたい事です。
農てんき予報コラムは、農家の皆さんに役立つ、農業目線のお天気情報を詳しく、そしてわかりやすくお届けします。感謝の気持ちを込めて、今月も全力でお届けしますので最後までぜひお付き合い下さい。では農てんきスタートです。
降り過ぎ、降らなすぎ真っ二つ
先月1日〜30日までの合計降水量を見てみます。

北海道から西日本の日本海側では低気圧や前線の影響で平年比100%以上と雨が多く降った一方、太平洋側は70%以下と雨量が少ない地域が目立つ状況となりました。三重や愛知などでは20%以下の地域も出ています。
まさに南北に雨域が真っ二つで、降っている所は極端に雨が多く、降らない所は全く雨が降っていません。
北日本・東日本の太平洋側で少雨か
では、気象庁発表の1か月予報(降水量)を見てみます。東日本・北日本の太平洋側の地域で平年並みか少ない予想が出ています。深刻な雨不足に悩まれる地域においては、かなりネガティブな予想と言えそうです。

長引く暑さで今年も野菜高騰か
さらに1か月予報(平均気温)をみると、今月も全国で平年より高い予想となっています。

去年は西日本では9月下旬頃まで35℃以上の猛暑日が続くなど異例の暑さとなりました。トマト、ピーマンと言った果菜類では花落ちが発生。10月以降のキャベツの高騰も記憶に新しいところです。
今年も去年と同じような事態となる可能性があります。
秋なのに異例な暑さ
ウェザーマップ独自の16日予報で、東京を見てみます。日中30℃以上の厳し暑さが続く見込みです。

夜の温度も上旬頃までは熱帯夜の日々となります。その他の地域をご覧になりたい方は、こちら(https://forecast.weathermap.jp/)を参照ください。
今年も秋と思えない異例の暑さ対策が重要になりそうです。
台風の動きにも注意
今月も晴れによる暑さに注意とお話してきましたが、そんな長期の予報を1発でガラッと変えてしまう気象現象があります。皆さんご存じ「台風」です。やはり今月も台風に注意です。
現在、日本の南で雲の動きは活発です。今月は全国的に降水量は平年並みや少ない予想ではありますが、その一方で、台風のような単発で一気に降るような大雨の可能性は高く油断できない状況です。

台風情報のみかた
さて、よくテレビやインターネット、またはお天気アプリなどで台風情報を見る機会が多いかと思います。しかしながら、あまり内容を深く気にした事のない方も多いのではないでしょうか。
今回はそんな誤解されがちな台風情報のポイントをわかりやすく簡単にまとめてみました。

注意して欲しいポイント1は、予報円が大きいからと言って台風の勢力が強いという事ではありません。
ポイント2は、予報円の中心線は、ただ円の真ん中を結んでいるだけで特に意味はありません。予報円は台風の中心がその範囲に入る確率が70%、さらに円は大きくなるだけ予想がぶれてどこに行くかわからないといった意味合いなのです。
ぜひ次回台風情報を見るときにご活用頂けたらと思います。
災害級の大雨のサイン
さらに以前のコラムでも何度かお伝えしていますが、今月はこの天気図に注意して頂きたいです。

おおむね晴れる日が多いと言っても急に出現してくるのが秋雨前線であったり、台風という存在です。これらが日本列島に同時に存在する時は危険な大雨のサインです。
能登半島豪雨から1年
昨年9月19〜22日頃にかけて能登半島で記録的豪雨となりました。この原因となったのがまさに秋雨前線と台風です。

秋雨前線は能登付近にほぼ停滞し、そこに大雨の素となる台風からの暖かく湿った空気が流れ込み続け線状降水帯が発生。農地への土砂流入、水路損壊など農業関連における被害は、石川県のみで500億円以上となりました。
こうした前線と台風による大雨災害は、今月再び起こってもおかしくありません。念のため、この天気図は大雨パターンだと記憶の片隅に置いて頂けたらと思います。
サンフレッチェ広島スタジアムグルメ
先月の続きです。私が担当しているテレビ派ふぁーむのコーナーと、広島修道大学ひろしま協創中学校・高等学校が一緒に作ったシャドークイーン(紫のジャガイモ)のコラボ企画ですが、ついに、先月8月20日エディオンピースウィング広島のスタジアムグルメに商品が登場しました。

バイオレットフレンチフライ
出来上がった商品はバイオレットフレンチフライ・レモン塩です。いわゆる、紫ジャガイモのフライドポテトです。

味は通常のジャガイモに比べ、味が濃く、ほくほくしつつも、少ししっとりとした食感もあります。さらに口の中で甘さがほのかに残ります。また広島県の特産であるレモン味の塩が、暑い夏の夜に最高なビールにぴったりの味わいでした。もちろん、お子様も好きな味です。
行列ができるグルメに
午後5時から販売開始。園芸部の皆さんが手作りの商品POPを持ち、大きな声で呼びかけていました。その成果もあり、常に行列ができる状況となりました。
お客様の中には、テレビで見て買いに来られたという方が多く本当に嬉しく、感謝の気持ちでいっぱいとなりました。200食以上用意していた商品ですが、最終的にはなんと試合が始まる午後7時前に完売し、今回のコラボ企画は大成功で終える事ができました。

さらなる農てんきコラボ企画へ
きっかけは、若い世代にも農業の素晴らしさ楽しさを伝えたいというささいな気持ちでした。地元の学生さんと野菜の栽培をするというシンプルな企画が、ついには地元のプロサッカーチームを巻き込んだ大きなプロジェクトに発展しました。
今回のプロジェクトは、私だけでなく学生の皆さんにとっても心に残る非常に貴重な経験になったのではないかと思います。
今後も枠にとらわれず、新たな農業のカタチ発信していくため、さらなる新たな企画を考案・実行していこうと思います。これからの農てんきもぜひ楽しみにしていて下さい。

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当該コンテンツは、担当コンサルタントの分析・調査に基づき作成されています。
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