(株式会社ウェザーマップ 寺本卓也)
こんにちは。農てんきな気象予報士の寺本卓也です。一体いつまで暑い夏が続くんだと思っていましたが、10月下旬に入りようやく涼しい日が続いています。朝晩は冬のような寒さの所も出てきました。
やっと秋らしくなると思いきや、いやいや今月も「11月ってこんな天気や温度だったかな?」といった出来事が起きそうな気配です。また、今冬の雪や寒さはどうなるかもだいぶ予想がみえてきました。
農業目線の農家の皆様のための天気予報「農てんき」を今月もたっぷりお届けします。ぜひ最後までお付き合い下さい。
11月の天気は交互に変わる
こんな事を言ってしまっては、「年中そうじゃないか!」と思うかもしれませんが、11月の天気は交互に変わります。昨年の天気図を例にお伝えします。

ちゃんと理由がありまして、秋雨前線の勢力が弱まり11月は移動性高気圧(晴れ)と温帯低気圧(雨)が日本に交互にやってきます。このサイクルを繰り返し、冬に向かっていきます。
11月は強風(木枯らし)注意
また晴れと雨の天気が交互に変わるだけではありません。強風にも注意が必要なのが11月です。

温帯低気圧と移動性高気圧が進む速度の違いから、秋の暖かい空気と冬の冷たい空気の間がぶつかり合います。天気図はシマシマ模様となっています。等圧線の数は風の強さを表しており、少ないほど風が穏やか、一方で数が多くなるほど強風になることを示しています。
この時期に吹く強風の事を「木枯らし」と言います。シマシマ模様が増える今月は、冷たい木枯らしがビュービュー吹いてきそうです。
今年の台風はしつこい
さて、ここまではいつもの秋の天気のイメージを話しました。ここからは今年の傾向です。
実は11月だというのに、まだまだ日本の南に台風の卵らしき物ができています。平年、11月に入れば海面水温は下がり台風の発生・日本への接近は減少します。しかしながら地球温暖化の影響により今年の台風の動きはしつこいです。
今の所、日本に直撃するという予想はありませんが、念のため日々週間予報をチェックしておくとよさそうです。

11月なのに大雨注意
11月は本来、大雨となる日が起こりにくい季節でもあります。雨の降る日はありますが、夏と違ってこの時期は空気が乾燥していきます。大気中に大雨の素となる水蒸気が少ないため、必然的に雨量が抑えられるのです。
ただ、ここでもやはり地球温暖化が影響しそうなのです。日本の南には台風ができるくらいの暖かく湿った空気(水蒸気)で充満しています。台風からの暖湿な空気が温帯低気圧を刺激して、一時的に警報級の大雨となる可能性があります。

こちらは今月6日の雨量予想です。単発の大雨となるかもしれません。雨雲の動きに注意です。
11月なのに1か月雨量多め
気象庁発表の1か月予報(降水量)を見ると、全国的に「平年並みか多い」、「多い」予想となっています。特に各地とも今月上旬〜中旬頃まで曇りや雨の日が多い傾向となっています。
数日間雨が続くというよりかは、温帯低気圧が発達して大雨が来る可能性が高いかなと見ています。
11月なのに比較的暖かい
続いて、1か月予報(平均気温)の予想を見ると、これも平年より各地で気温が高い傾向となっています。

25℃の夏日が本州で発生するという事はなさそうですが、日中は日差しのぬくもりを感じられ暖かく、朝晩も一時的に寒い日があっても極端に冷え込む日が続くという事はなさそうです。
16日予報
ウェザーマップ独自の16日予報で名古屋を見てみます。最高気温、最低気温とも平年よりやや高く晴れと雨が交互にやってくる予想となっていますね。

名古屋と言えばこの時期キャベツが美味しいイメージがあります。晴れと雨、気温も暑くもなく極端に寒くもなく生育には適しているのかなという見通しではありますが、やはり気になるのは6、8、9日あたりの単発の雨が大雨になるかどうかと言った所でしょうか。
その他の地点を確認されたい方は、こちらをご活用下さい。
12月は急に冬
今回は冬の予想まで見ていきます。12月の平均気温の予想です。

全国的に平年並みの寒さといった所ですが、詳細をよく見ると、東・西日本は低い確率が40%となっています。おおむね12月らしい寒さではあるものの、「若干いつもの12月より寒くなるかもしれない」。というような意味が込められています。
11月が比較的暖かい傾向なので、12月に入り冬が急にやってきて、一気に寒さが増していきそうです。
12月は日本海側で大雪注意
12月の降水量予想を見ると、くっきりわかれているのがわかります。

北・東日本の日本海側はエメラルドグリーンで平年並みか多いとなっていて、この地域は12月早々に大雪に注意が必要です。
一方で、東・西日本の太平洋側は茶色で晴れて乾燥する日が多くなる予想です。寒さが増す一方で、冬特有の乾燥した強風が吹くため火災が発生しやすくなります。農作物の管理のため暖房を使うと思いますが、火の取り扱いには注意が必要です。
異常気象で野菜の現状は
今年もあと2か月。昨年に引き続き記録的な暑さに見舞われた一年だったのではないかと思います。
今年の10月の1か月間の平均気温は西日本で2℃程度、東日本で1℃程度平年より高く、季節外れの暑さが秋まで続いた状況となりました。

広島の青果へ取材をした際、昨年と同じような過酷な環境で野菜の入荷量など少なくなってないか心配していました。北海道のタマネギ、ジャガイモなどの生育不良については前回のコラムでもお伝えしましたが、担当の方からは今回頼もしい声が聞けました。
農家の経営努力で出荷量良好
「今年も昨年に引き続き、記録的な暑さでした。ただ、農家の皆さんは昨年よりも多めに生産したり、種をまく時期をずらしたりするなど対策をされました。猛暑による被害や影響はもちろんありましたが、野菜全体の出荷量は良好です。資材や暖房代など生産コストも上昇しており生産環境は過酷です。ぜひ沢山食べて農家の皆さんを応援して欲しいですね。」とお話をしてくれました。

おすすめだと紹介してくれた旬のハクサイは葉がしっかり巻かれて重量感もあり美味しそうです。野菜一つ一つに農家さんの苦労や努力、熱い想いがギュッと詰まっている事を引き続き発信していかねばと感じました。今夜もスーパーで野菜を買って帰ろうと思います。
シリーズ『農てんき予報〜農業に役立つ天気の情報〜』のその他のコラムはこちら
当該コンテンツは、担当コンサルタントの分析・調査に基づき作成されています。
会員登録をすると全ての「コラム・事例種」「基礎知識」「農業一問一答」が無料で読めます。無料会員登録はコチラ!
公開日
